書籍やYouTubeで自身のタイムパフォーマンス術を発信する勝間和代さんの自宅に訪問! タイパ10倍にする選りすぐりのツールやデスクまわりのこだわり、パフォーマンスが上がる習慣などをたっぷり教えてくれました。
1.タイパを極めたら労働は一日3時間に減り収入は約5倍に!!
書籍『仕事も人生もうまくいく! 勝間式 タイムパフォーマンスを上げる習慣』で、収入を上げながら労働時間を3時間に減らすことに成功した、タイパ術を伝授している勝間さん。タイパを意識し始めたのは、一日10時間以上働くこともあった30代前半の頃だそう。
「きっかけは、年上の友人の“40代になったら、人生を逆算し始める”という発言でした。睡眠不足で働き、お酒もタバコもたしなんでいた当時、体にガタがきていたこともあり、人生に残された時間を真剣に考えるようになりました。お金は増やせるけれど、時間は増やせない。いくらお金があっても、それを使って有意義な時間を過ごすことができなければ、何にも意味がないのではないか?と感じました」
「人生の質のよし悪しは、どれだけ一生の間で自分の時間を持ち、自分がやりたいことに時間を投資できたか」で決まると言い、自分のために自由に時間を使える状態を「時間リッチ」と呼ぶ。「人生の多くを占めるのは仕事です。仕事は人にいい影響を与えるものですし、私自身ずっと続けたいと思っています。でも、自分の時間もつくるためには、どうしたらいいのか。その近道が、タイムパフォーマンスを上げることです」
20年間、試行錯誤を重ねながらたどり着いたタイパ術は、生活習慣の改善から電化製品の選択まで多岐にわたる。
「たっぷり寝る&運動することによるパフォーマンスの向上から、時間の無駄遣いをなくすこと、仕事も家事も高性能の最新テックに頼ることなど、ありとあらゆる角度からアプローチしています。健康を維持することは、病気を防ぎ、人生の時間を縮めないことにもつながる。電化製品の購入にはお金がかかりますが、時間を買うと考えれば決して高くはありません。それらはすべて、将来のための投資と考えています。慣れ親しんだツールや方法を変えるための時間そのものが無駄なのでは?と思う人もいるかもしれませんが、いずれ必ず、何倍にもなって返ってくる。私がそれを立証しています!」
2.タイパ10倍にするためここまでやります!
音声入力を極めて執筆時間が3分の1に
「音声入力を導入して、かれこれ10年。今は原稿からメール、LINEの返信まですべて音声入力しており、原稿執筆にかかる時間は3分の1に短縮されました。Windows11は音声入力の精度がグンと上がり、より正確に入力するために、会議用マイクを設置。また、ショートカットを設定したマウスを使い、音声入力に切り替える手間を省いています」
使いやすさのためならキートップも自作!?
「日本語を効率よく打てる“ひらがな入力”を実践しているのですが、愛用しているキーボードは、変換キーが小さくて打ちづらかったんです。SNSの親指シフトコミュニティをのぞいたところ、押しやすいサイズのシフトキーの3Dデータが共有されていたので、それをもとに『DMM.make』にキートップの制作を依頼。制作費¥6400で完璧なキーボードが完成しました」
スマホはGoogle Pixel 7シリーズを3台使い
「愛用する最大の理由は、音声入力の精度の高さ。非常に速く、句読点まで入れて仕上げてくれるんです! 以前使っていたiPhoneよりもリーズナブルで、Androidのコスパのよさに驚きました。寝室専用の7aは主に睡眠管理のために使っており、大容量のProは動画撮影用。7は普段使いに。それぞれの用途に合わせて、PCもスマホも複数持つようにしています。優秀な部下が何人もいるような便利さがありますし、スマホを探し回るストレスからも解放されます(笑)」
気になったアイテムはAmazonで即購入!
「仕事の効率を上げるためのトライ・アンド・エラーとして、私が大切にしているのが新しいテックの導入。経費は時間に対する投資と考えて、気になるものは迷わず購入し、旧来の方法と比べてタイパがアップするか検証しています。実際に使って試さないと意味がないので、返品可能な商品が多いAmazonを重宝! 返品できなかったものはネットで売ったり、友人にあげたりしています」
3.こだわり抜いた1軍! タイパ10倍ツール
日々タイパUPの研究を欠かさず、年に数十台の新商品を購入する勝間さん。今の愛用ツール&その理由を聞きました!
①Google Pixel 7
「常に画面が目に入るように、立てて設置しながら充電しています。連絡が来ても手もとに目を落とさずに操作できますから、すぐにPC作業に戻れるんです。ちなみに自宅の通信環境を完璧に整えているので、スマホは格安SIMで充分。通話は『Skype』アプリを使っています」
\コスパ/
②Amazonで購入したスピーカー
「Bluetoothのスピーカーは接続が切れてしまうことが多々あり、面倒だったので、ジャックでつなぐタイプに戻りました。高性能のものも散々使いましたが、オンラインミーティング程度ならこれで充分! ¥3000ほどでした」
\投資/
③ロジクールのLIFT
「ボタンを好きなショートカットにカスタマイズできる点が気に入っています。私は最も使用頻度の高い音声入力の切り替えに設定。黒を使っていたのですが、マウスパッドになじんで見えづらく不便だったので白を買い直しました(笑)」
④ファーウェイの Watch Buds
「コスパが最高のスマートウォッチ。時計の内部にイヤホンが収納され、同時に充電できて便利です。しかもイヤホンは音質もフィット感も抜群にいい! 私は一日に何度もタイマー機能を使いますが、フル充電すれば3日はもちます。寝室用にも買い、アプリで睡眠を管理しています」
\投資/
⑤マウスコンピューターのG-Tune P7
「普通のPCに比べて液晶ディスプレイがきれいで見やすく、処理スピードも速いゲーミングPC(ゲーム用PC)を愛用しています。データ量が増えてスピードが遅くなるのを避けるために、約¥30000の追加料金を払ってメモリを64GBにアップ。キャッシュを消す手間も省けます」
\投資/
⑥HHKBの Professional BT
「キーの配列が非常に合理的で、高速タイピングに適した設計のBluetoothキーボード。¥30000ほどしますが、削減できる時間を考えれば安いほど優秀。スペースキー&変換キーは、自分でキートップの幅をカスタマイズしました。最新版は打感が気に入らなかったので、あえて、ひとつ前の旧型を愛用しています」
⑦バード電子のキーボードブリッジ
「Bluetoothキーボードをのせるためのカバー。ストッパー用ラバーがついていて、ズレにくい点が◎。飼っている2匹の猫がいたるところに毛玉を吐くため、PCを守る役割も担っています」
⑧Google Pixel 7 Pro
「3台の中でも最も高性能なProは、YouTube動画の撮影専用。Proを普段使いしない理由は、私の手にはサイズが大きいため。探す手間を省くために、定位置に設置しています」
\コスパ/
⑨Amazonで購入したマイクとスタンド
「PC内臓のマイクは口との距離が遠く、雑音が入ってしまうんです。マイクを買って口の高さにセッティングしたところ、音声入力の精度が格段にアップ! USBで接続できる点が便利なこのマイクは、通常よりも太いためフィットするスタンドが見つからず、探すのが大変でした」
\投資/
⑩cheeroのPower Mountain 50000mAh
「大容量のモバイルバッテリー。1カ所で充電しようとするとコードが渋滞してしまうので、分散させるために取り入れました。デスク左側に置いている機器を主に充電しています」
4.仕事をさらにスムーズにする快適サポートアイテム
こまめに体を動かしてリフレッシュすればタイパがますますUP! まだまだある勝間さんのこだわりアイテムがこちら。
外出用セット
・マウスコンピューターの MousePro-NB430Z
・Google Pixel 7
・ファーウェイのアイウェア
「気分転換にカフェで仕事をするときや日帰り出張の際には、この一式を持参しています。ゲーミングPCは持ち運びに便利な薄型タイプ。アイウェアはイヤホンが内蔵されており、音楽を聴きながら本を読むのにぴったりなんです。外出先でも可能な限り音声入力を行っていて、スマホをマイク代わりにしています」
仕事用の椅子
・アーユル・チェアーのメディカルシート
・カリモク×ミズノのスクワットアーブル
「『ミズノ』と『カリモク』の限定コラボチェアは、座るたびにスクワット運動をサポートしてくれる優れもの。リビングのテーブルで使うには高さが足りなかったため、試しに愛用していたメディカルシートを置いてみたところ、ピッタリでした! 姿勢を正しながら運動もできる、一石二鳥のチェアが完成しました」
YouTube撮影
・エレコムのリラコン
・ロジクールのYeti マイク
・Amazonで購入したライト
「YouTubeに毎日動画を2本アップ。すぐ撮影できるよう、機材はデスク付近に置きっぱなしです。マイクはユーチューバー御用達の『Yeti』。最新版を買ったら、入力レベルを表示するLEDライトで気が散ってしまい、古いものを引き続き使っています。リラコンは録画スイッチ用、ライトはアマゾンで約¥5000で購入」
リフレッシュツール
・ドクター・スローモーなどの練習用クラブ
・Amazonで購入したヨガマット
「自宅での仕事中は適度に体を動かしてリフレッシュ。座ったまま1時間がたつとスマートウォッチが注意してくれます。趣味のゴルフのフォーム練習をしたり、ヨガマットを敷いてストレッチをしたり。薄いヨガマットは体が痛くなってしまうため、厚いものを買い直しました」
5.効率化が加速する「働き方10カ条」
タイパを意識する上で、日々の習慣や意識もガラッと変えたという勝間さん。ツールとともに真似すれば、「時間リッチ」に一歩前進!
《1》長時間労働は絶対しないと決意するべき
「長時間働けば働くほど体力も気力も落ち、パフォーマンスも低下するという悪循環に陥ります。かつての私自身もそうだったように、長時間労働の主な原因は、仕事量ではなく効率の悪さ。つまり自分で改善できるので、テックの見直しや、日常の時間管理から始めてみましょう」
《2》慣れや飽きを肯定する
「慣れや飽きを理由に転職する人もいますが、個人的にはもったいないと感じます。慣れてスイスイ仕事ができるのは、それだけ熟練したという意味で、これまでの時間の投資の成果ですから。効率よく仕事をこなして浮いた時間をインプットに使えば、新しいアイディアが見つかるなど、さらなる向上と将来への投資につながりますよ」
《3》時間割引率の高いことはやらない
「時間割引率が高い行動とは、後になって困る結果を招く行為のこと。その代表例が、飲酒や喫煙で、現在の快楽のために未来の時間と健康を犠牲にしているといえます。ストレスを発散したいなら、健康改善や老化の防止につながる運動がおすすめ。時間割引率が高い行動は極力削って!」
《4》気力配分を意識する
「体力と同じで、モチベーションを常に一定に保ってまる一日を過ごすことは困難です。ハードな仕事やクリエイティブな作業は、気力がみなぎっている午前中の間に。疲れが出てくる夕方や夜には、さして気力を必要としないルーティンワークを行いましょう。疲れたら仮眠をとるのも効果的」
「自宅での仕事中は適度に体を動かしてリフレッシュ。座ったまま1時間がたつとスマートウォッチが注意してくれます。趣味のゴルフのフォーム練習をしたり、ヨガマットを敷いてストレッチをしたり。薄いヨガマットは体が痛くなってしまうため、厚いものを買い直しました」
《5》睡眠時間をいちばんに確保する
「睡眠の時間や質は、起きている時間のパフォーマンスに直結。睡眠時間を削ってまで働くのは、日々の時間を無駄に使っているも同然です。私はどんなに忙しくとも一日7〜8時間は寝て、スマートウォッチで睡眠管理もしています」
《6》スマートウォッチで時間を計る
「私は仕事や料理など、日常の行動一つひとつをスマートウォッチのタイマーで計り、時間を管理しています。集中力が上がりますし、自分の行動にどれくらい時間がかかるのかがわかり、予測して行動するスキルも向上。電車に乗ったときも、降りる時間にアラームを設定しておけば、読書や動画観賞に熱中でき、時間を有効活用できます」
早く始めた分だけ、時間リッチになれる。未来への投資です! できそうなことからひとつでも取り入れてみて
《7》勇気を持って手抜きする
「時間を大事にするためには、物事の優先順位をつける必要がありますよね。今やるべきこととやらなくていいことを区別した際に、やらなくていいことを切り捨てるイメージです。“念のため”に行う保険仕事も捨てるひとつ。仕事の進め方も同じで、最初から完璧に仕上げようとすると、膨大な時間がかかります。70〜80点のクオリティを目指し最後に必要なものだけブラッシュアップするほうが、気力も継続し、結果的に効率が上がりますよ」
《8》時間泥棒を撃退する
「時間泥棒の例は、ダラダラとドラマやスマホを見る行為。これら受動的な行動は1円も収入をもたらさず、能動的な行動のような充実感も得られません。たった30分と思っても、一日を1000分に換算すると3%にも及びます。本当にその価値があるのか、一度、考えてみましょう」
《9》遊ぶほど仕事がはかどる
「仕事時間が半減して遊ぶ時間が増えたところ、これまで思いもつかなかったアイディアがパッと浮かぶようになりました。その結果として、タイパや仕事の工夫もやりやすくなり、ますます仕事の効率がUP。遊びとは様々な情報を自分の中に取り入れて、新しい発想に転換していくインプットな作業。それが充実すればするほど、アウトプットの仕事もアップグレードするのだと学びました」
《10》成果報酬型の仕事を意識する
「短い時間で高い収入を得るためには、月給など固定額をベースとした仕事を続けていると限度があります。一方で、私にとってのYouTube動画制作や原稿執筆などの成果報酬型の仕事は、時間と収入のバランスを自分でデザインできる。自分の好きなように生きられること以上に豊かなことって、ないですよね? そのためにも今から効率よく仕事をして、将来に向けて時間を投資し、未来設計をしてみてください!」
勝間和代さん
1968年、東京都出身。経済評論家、中央大学ビジネススクール客員教授。5年後になりたい自分になる教育プログラムを「勝間塾」にて展開。著作累計発行部数は500万部超え。「勝間和代が徹底的にマニアックな話をするYouTube」は、登録者数が約25万人。
撮影/藤澤由加 取材・原文/中西彩乃 ※特集内で紹介しているものはすべて私物です。現在販売されていないものも含まれます。メーカーへのお問い合わせはご遠慮ください ※BAILA2023年10月号掲載