良好な人間関係は、日々のひと言の積み重ねから! ビジネスシーンでの「よけいなひと言」を「好かれるセリフ」に変える言いかえ術をご紹介。第72回は、「徹底的にチェックしてください」。
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■「徹底的にチェックしてください」がNGなのはなぜ?
「徹底的」という言い方は、あいまい表現なので注意が必要です。
たとえば、建設現場や工場でよく聞く話ですが、危険をともなう仕事に関わる人たちに対して、「徹底的にしっかりと安全確保をしてください」と指示する場面があります。
「徹底的に」というのはとても強い言葉ですし、問題ないように思いがちですが、現場では外注や下請けも多く、本来の業務内容を理解していない人もいます。その人たちが自分の感覚で「このくらいでいいだろう」と自己判断をすると、ケガや事故を招いてしまうケースが多いのです。
■言いかえるならこれ!
細部まで確認してほしいときに「徹底的にチェックをしてください」という言い方はNG!
では言いかえるなら何て言う?
↓↓↓
「ダブルチェックをお願いします」
が正しい!
具体的に「何をどこまでやるのか」を伝えましょう。
■同じように間違いやすい表現は?
「ダブルチェックをお願いします」と、誰が聞いても理解ができる具体的な数字などを入れて、細かい指示を心がけてください。
「徹底的に」と似た言葉で、「ちゃんと」「しっかり」「きちんと」も一般によく使われます。言ったほうと言われたほうの間で、「何をどこまでやるのか」を確認していないとトラブルにつながります。
自分の要望や期待は、1から10まで説明しなければわかってもらえない。そう思って面倒でもひとつひとつ相手に伝えることが、結果的に物事をスムーズに進めるコツなのです。
■引用したのはこちら
好かれる人の言葉選びを身につける 大人の伝え方練習帳
宝島社 大野萌子著
大野萌子
公認心理師、産業カウンセラー。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ®資格認定機関)代表理事。2級キャリアコンサルティング技能士。法政大学卒。
企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントの分野を得意とする。官公庁をはじめ、大手企業、大学等で5万人以上に講演・研修を行う。テレビ、ラジオ、新聞などのメディア出演、監修多数。
取材・文/佐久間知子