仕事の効率化もプライベートや趣味の満足度も、前向きな一歩を踏み出すために、先送り体質から抜け出さなくちゃ! メンタルコーチの大平朝子さんに、先送り体質を変える4つのアドバイスをいただきました。
メンタルコーチ
大平朝子さん
国家公務員試験を主席合格。裁判所書記官として年間2000件の裁判記録を扱うなかで問題解決のある法則を見いだし独立。女性リーダーの問題解決などに携わる。
[まずはCHECKしたい!!]先送り体質あるある
□あれもこれもと欲張る
□準備も結果も100点を目指す
□今できない理由を探す
□“難しいこと”を前提としている
「上の『先送り体質あるある』をチェックして、当てはまってる!と気づいたあなた。だからといって、自己嫌悪に陥ることも、だらしない人間だなんて思う必要もありません。まじめに日々と向き合っているから、先送りに目がいくんです(フマジメな人は先送りしてる意識さえないですから!)。もしかすると、先送りをやめること自体をストレスだと思い込み、勝手にハードルを上げているのかも。ちょっとだけ目線と意識を変えてみましょう。先送り体質は誰でも改善できます! 難しいことじゃありませんよ」
ライフハック1.前の日にちょっとだけ手をつけておく
「“前日着手”と呼んでいるのですが、たとえば、資格試験の勉強なら、イヤホンを用意してテキストを開いてから就寝する。経費の精算なら終業時に領収証をまとめて日付け順に並べてから退社する。たったこれだけのことですが、未体験を嫌う脳にとって、するべきことが既知のことに変わり、精神的な抵抗が薄くなるんです。翌日はいつもよりスムーズに取りかかることができるはず! 最初の一歩、いや半歩だけ踏み出しておくだけで、まるごと先送りをせずにすむので、ぜひ取り入れてみてください」
ライフハック2.「とりあえず木曜10時は○○の時間」と決めてみる
「自分でここまでにやるといったん決めることを“仮決め”といいます。苦手なことをやらなければいけないときほど、有効な方法です。一般的に、人は“やらされる”ことが何よりのストレス。同じ内容でも、他人から決められたとおりにするのはつらいけど、自分で決めたスケジュールなら、格段に気持ちよく動けるものなんです。たとえ与えられた作業でも、日時と時間を自分で決める=自分と約束したことになりますから、“やらされてる感”が軽減されるはず」
ライフハック3.「今日はやらない」も朝のうちに決める
「忙しい人ほど、“今はやらない”と決めてしまうことも大切です。そのタイミングは、人がすべての活動をスタートさせる朝がおすすめ。やりたいことややるべきことがあるのに思うようにいかないと、『やっぱり私ってダメだわ!』と、無意識に自分自身にダメ出しをし続けてしまうんです。頑張り屋さんが陥りやすい傾向なので注意が必要。一日の終わりに『今日もできなかった』と落ち込むより、朝のうちに自らの判断で“前向きな先送り”をすると、心が軽くなりますよ」
ライフハック4.できている人のやり方をマネてみる
「先送りせずに動けている人の特徴を分析してみましょう。一緒に働いている人や趣味の仲間なら、質問をしてみてもいいかもしれません。“私と〇〇さんじゃ性格が違うから”と言いたくなるかもしれませんが、マネをするのはその人ではなくて、行動ややり方だけ。すべてをマネできなくてもいいんです。「やるべきことを大きな塊でなく小さく刻む」の考え方を用いて一部だけでも取り入れたり、一度試してみてから、フィットしなかった部分を変えるなど、やってみてから自分流にアレンジするのもいいですね」
先送りをやめて幸せになれる人なれない人、何が違う?
自分にとってのプラス行動とゼロベース行動を把握することが重要
「プラス行動とは、自分の夢や目標を実現させたり、アクティビティを楽しんだり、人生を味わうための行動。そして、ゼロベース行動とは、マイナスの状態をプラスマイナスゼロに戻す、日常生活を維持するために必要な行動と定義しています。たとえば、たまった洗濯物を洗い干して、取り込み引き出しに戻すことですね。先送りをやめて幸せになれるのは、あいた時間でプラス行動を充実させる人なんです! あなたにとって、事務仕事=ゼロベース行動だとしたら、先送りを卒業して仕事を効率化できたとしても、あいた時間がまた事務仕事で埋まってしまったらむなしさを感じてしまうでしょう。“自分のしたいことをするために”先送りを改善することが幸せにつながるカギです」
イラスト/ボブ a.k.a えんちゃん 取材・原文/木村真悠子 ※BAILA2022年12月号掲載