30代、上司や先輩の立場となった現在、後輩・部下に対する厳しい育て方は通用しない。かといって寄り添いすぎればナメられることもあり…一体どうすればいいの!? 有識者3名に取材したところ、親しみやすく尊敬される上司になるためのルールを発見。「それ、やりたい!」と思わせる仕事の教え方や、本人が考えて行動できるアドバイスの仕方を伝授。
株式会社マクアケ 共同創業者/取締役
坊垣佳奈さん
同志社大学卒業後、2006年にサイバーエージェントに入社。子会社3社の創業や経営参画を経て、2013年マクアケの立ち上げに共同創業者/取締役として参画。
「素を出して対話を深めて部下をしっかり肯定し、信頼関係を築けていれば注意しても関係は良好!」
立命館大学・大学院教授
山浦一保さん
スポーツ健康科学部スポーツ健康科学科教授。研究分野は産業・組織心理学、社会心理学。『武器としての組織心理学』(ダイヤモンド社)など、組織の人間関係に関する著書多数。
「雰囲気がよくなるなら、ナメられたって全然いい! 業務がやりやすいことが最優先だと考えています」
リクルートエージェント 首都圏カスタマーサービス部 部長
中村果代さん
転職エージェント、カスタマーサービス部門の部長として約75人もの部下をマネジメントしている。「話しやすく、尊敬できる」(部下の方談)と信頼されているそう。
「部下と上司という立場の差も多様性のひとつ。ともに課題を解決するパートナーとして伴走するイメージで」
新人に仕事を教えるときは「それ、やりたい!」と思わせるべし
「仕事の『型』を教えるときはやるメリットを提示」中村さん
「新人に仕事の型を教えて実践させるときは、“この方法が早く終わるよ”“お客さまに喜ばれそう”など、やるメリットを伝えています。本人の納得感を得られれば“嫌な上司に、形式張ったよくわからない仕事をやらされている”とは思わないはず」
アドバイスは、「これはどう思う?」と相談の形式でする
「部下が自分自身で考えるよう促す」坊垣さん
「部下の考えを聞き、明らかに違うと感じても、“私はこう思うけど、どう思う?”という言い方をします。一方的な指示と受け取られにくいし、部下も考えることで自分ごと化しやすくなる。一石二鳥!」
「『私には合いません』と断る選択肢を与える」山浦さん
「『こうしたらどうかな?』と問いかけるかたちなら、NGも出しやすく、上から目線にはなりません。アドバイスではなく『二人で話し合って解決策を見つける』というイメージで、部下と話をしてみては」
「内省を促しつつすり合わせながら着地する」中村さん
「本人に考えてもらえるよう、断定口調でのアドバイスは避けています。疑問を投げかけ、内省してもらいながら会話を続け、すり合わせながら着地していけば、相手の考えも尊重しやすいです」
イラスト/大窪史乃 取材・原文/東 美希 ※BAILA2023年12月号掲載