この数カ月でテレワークにも慣れてきたという人も多いのでは? がしかし!慣れたときこそ要注意! 文面だけの簡素なやりとりやオンライン会議での気が緩んだ言動…。自分は無意識でも、相手に不快感を与えている場合が意外と多いんです。今までのようにそばで指摘してくれる人がいないからこそ、気を付けなくてはならないのがテレワーク。非常識と思われないためにも、テレワークでのマナーをここでしっかりとチェックしてください。
教えてくれたのは…
竹之内幸子先生
株式会社Woomax代表取締役。大学卒業後、石油会社に入社。中小企業でアカウンティング業務を経験後、営業支援コンサルタントとして全国300社のクライアントの課題解決に携わる。2012年に女性活躍推進研修やコンサルティングを行う(株)Woomax 設立。ダイバーシティを推進すべく、女性活躍におけるサポート活動を幅広く行っている。著書に『思い通りの人生に変わる 女子のための仕事術』(ダイヤモンド社)など。
Q1 仕事の業務連絡にLINEはアリ?ナシ?
気軽にやりとりできるLINEを仕事で使ってもいいもの? メッセージを送る場合、目上の人にスタンプや絵文字はOK?
A 緊急の連絡や簡易的な確認はアリ。正式な申請や長文の連絡ではナシ
「LINEは基本的にプライベートで使用するものですが、職場で使用が認められていれば上手く活用するとよいでしょう。『電車がストップしており、遅刻しそうです』など緊急の連絡や、『明日のミーティングで報告してもよろしいですか?』など“YES”“NO”の返事を欲しいときに使うのはアリです。メールに入れるような時候の挨拶や署名は省き、できるだけ端的に表現するようにしてください。スタンプや絵文字の使用は、相手が使ったら自分もそれに返すくらいに留めるのがよいでしょう。プライベートではスタンプのやりとりが多くなることもありますが、ビジネスでは一往復までを目安とし、それ以上続きそうなときは『引き続きよろしくお願いいたします』で会話を締めるようにしましょう。」(竹之内先生)
Q2 連絡や報告の頻度ってどのくらいがベスト?
リモートワークだとどうしても自分のペースで仕事をしがちになり連絡不足になることも。逆に、不安になってこまめに連絡を取ってしまう人も多そう。理想的なやりとりは?
A チーム内であらかじめ報告の頻度を決めておくこと
「上司に『進捗状況などは毎週木曜日にメールでご報告するといった流れでよろしいですか?』と報告のタイミングを擦り合わせておくとよいでしょう。また、『提出した書類に修正すべき点があれば●日までにお教えください』など自分から確認や依頼をすることで相手も管理しやすくなります」(竹之内先生)
Q3 テレビ会議での身だしなみはどこまで気を付けるべき?
オンラインミーティングでの服装は?メイクは? どこまで配慮すればいいか分からない…(汗)
A そこまで見えないと思っているボトムスや髪型にも注意!
「画面に映るのは上半身ですが、資料を取りに行くなどうっかり下半身が映るときもありがち。服装は全身映ることを意識することが大切です。お互いに在宅ワークであればジャケットを着用する必要はありませんが、いかにも部屋着のようなだらしなく見えるものはNG。千鳥格子やヘリンボーン、ピンストライプなど細かく規則性のある柄は相手には歪んで見えたり、目がチカチカする可能性があるので避けて。メイクはコンシーラーでくまを隠すなど素肌を明るく見せるのがポイントです。ヘアもツヤと清潔さを感じさせるように整えることもお忘れなく」(竹之内先生)
Q4 テレビ会議でやってしまいがちな失敗は?
自分では無意識の行動が画面の向こうの評価は案外辛口なんてことも…。テレビ会議での態度で気を付けておくべきことを知りたい!
A 無表情、ノーリアクションはNG! 表情やうなずきを意識して
「会議中、肘をついたり、椅子にもたれかかったり、何気ない態度なのに画面にその姿が映ると途端に印象が悪くなってしまいます。オンライン会議の場合、NGなのは無表情でいることです。表情をつける・うなずくなど、ちゃんと話しを聞いていることが相手に伝わるようにアピールを。また、オンラインに接続するタイミングは会議開始の5分前くらいを目安にしてください。オンタイムで入ろうとして接続不良が起きると会議を遅らせる原因にもなります。対面のときと同じように5分前行動を心がけて」(竹之内先生)
Q5 音声が途切れたり、インターホンが鳴ったり…。突然のハプニングはどうすれば?
通信状態が不安定で相手の音声が途切れたときは、「聞こえませんでした」と言っていいもの? その他、会議中に不測の事態が起きた場合どう対処するのがスマート?
A 緊急の場合は断った上で対処。緊急外であれば様子を見て会話の中断を避ける
「相手の音声が多少途切れる程度であれば、その後の話しで聞き取れなかった部分がリカバリーできるものです。もし、解決できないことであればツール内のチャットなどで『先ほど、〇〇の件で音声が途切れました。△△という認識でよろしいでしょうか?』と質問して確認をしましょう。マナーとして会議の流れを止めないことが大前提です。宅配の予定があるときは時間の調整をしたり、電話やインターホンはサイレントモードにしたりするなど、会議に支障がないように配慮しましょう。それでも対応しなければならないときは『対応後、すぐに戻ります』と告げて自分側の音声が相手に聞こえないようにミュート機能にし、席を外して。子どもが映り込んでしまった場合は慌てて追い払うのではなく、タイミングが良ければひと言挨拶をさせてから退出させるのが理想です」(竹之内先生)
◆まとめ
LINEも自宅での空間も基本的にプライベートで使っているもの。それがリモートワークによってオフィシャルとして使用せざるを得ない状況に。そこが混乱の元になっているよう。まずはプライベートとオフィシャルの線引きをきちんとすること! LINEも仕事で使うのであればアイコンや名前の設定、言葉づかいに気を付けること。オンラインでのミーティングも服装やメイク、デスクに座る姿勢や画面に映る背景など仕事モードを意識する必要があります。文面や画面を通してしかコミュニケーションを取れないからこそ、「見られている」意識を高めて丁寧に対応することがポイントに。そして、離れているからこそ、小さな対応の差で印象が左右されやすいともいえるので、しっかりマナーを押さえましょう!
イラスト/いらすとや 取材・文/堀 朋子 構成/田畑紫陽子〈BAILA〉