今の時代に刺さる優しいギャグマンガ。令和のニューヒロイン誕生『僕とロボコ』

自己肯定感と爆上がり。令和のニューヒロインは強く(物理)て、優しいロボット！
読めば心が温かくなるハートフルコメディー。

舞台は西暦20XX年、超高性能メイド型ロボットOM（オーダーメイド）が爆発的な人気を博し、一般家庭にまで広く普及した世界。主人公、平凡人(たいら ぼんど)の家には未だにOMがおらず、可愛いOMとの生活に憧れを抱いていた。あくる日、友人達からのOM自慢と生温かいプレッシャーに耐えかねたボンドは、どうにかママを説得し、ついにOMを買ってもらえることになったものの、いざやってきたのは、ユニーク過ぎる容姿とハチャメチャな挙動で、本当にOMなのかどうかも疑わしい「ロボコ」だった。

パロディー、予想外のギャグ展開、なんでもありの今のジャンプのギャグ枠。
そもそも世界線が『ドラえもん』のオマージュ作品。そして初っ端からパロディーに定評のあった『銀魂』がパロディーされた様子には笑ってしまいました。
ただ一つ、誰も傷つかず認め合い、コンプレックスを否定されることもなく、ずっと穏やかに日々が続いていくギャグマンガは今までに少なかったのではないのかなと思います。

主人公『平凡人』は、ジャンプが大好きな普通の少年ですが、びっくりするくらい心が優しく、みんなから愛されています。
最初はどうしてここまでボンドが愛されるのか不思議だったのですが、読み進めるうちに納得。この優しい雰囲気の漫画の世界は全てボンドの人徳によってできています。小学生の懐ではありません。

そんな彼の家に居候する形でやってくるのがOM(オーダーメイド)の『ロボコ』。
逞しい膝が特徴のロボコは型破りでめちゃくちゃな性格をしており、料理をさせれば出てくるのはとても料理とは言い難い出来の「押忍!!クソ男飯!!」、掃除や洗濯をさせれば壊してしまうため、メイドとしては役に立っていません。
その上性格もとってもユニークで奔放かつ自由。承認欲求が強くいつも自分の『カワイイ』を認めてほしがっています。ちなみに呪術廻戦の五条先生にガチ恋中。わかるよ、かっこいいよね。
しかし、元の性格はとっても世話焼きでお姉さん気質。いざというとき頼れる存在です。

そんな二人の周りは、見た目はガキ大将のゴリラ、しかし誰よりも優しい漢のなかの漢『ガチゴリラ』、ぱっと見金持ちで嫌みだが、実のところ親友と一緒にいるために自己鍛錬をかかさない優しい『モツオ』、学園のアイドルだが人格と顔が入れ替わりがちな『円ちゃん』など個性あふれるキャラクター揃い。
そしてみんなボンドとロボコのことが大好きで、ただただ平和な日常が続いていきます。

騒がしくありながらも、お互いを認め合い、ただキャラクターたちが楽しそうにしている様子は、読んでいるこちらにも温かさを与えてくれます。
そして繰り出されるジャンプのパロディーもジャンプファンならば必見。個人的にはハンターハンターのキメラアント篇のパロディーなど好きです。
(スラムダンクのパロディーは、今ジャンプを買っている子供たち分かるのだろうか…)

単行本の表紙も全てジャンプの名作のオマージュなんですよね。次は何のオマージュになるのかも考えるのが楽しみです。