働く大人の女性向けメディア「BAILA」と、スポーツメディア「Sportiva(スポルティーバ)」とのコラボレーションで生まれたスペシャル企画! 注目のアスリートにクローズアップ、BAILAでおなじみのヘア&メイクアップアーティストとのセッションで変身。競技中に見せる“戦う顔”とはちがう、パーソナルな輝きをお届けします。
今回登場するのは、サッカー元日本代表の岩渕真奈さん。
16歳から日本代表「なでしこジャパン」に召集され、2011年にはワールドカップ優勝を経験。ドイツ、イギリスと海外リーグに早くから挑戦し、長年活躍。2023年秋、現役を引退しました。引退後は社団法人を立ち上げ、テレビ番組のMCにも挑戦。多数のメディア出演を積極的に重ねる“ぶっちー”の、31歳の素顔に迫りました!
1993年3月18日生まれ。東京都出身。元サッカー日本女子代表。小学2年生のときに、兄が所属していたクラブチーム・関前SCで初の女子選手となりプロサッカーへの道に。国内外にて活躍後、昨年9月に引退を発表。現在は社団法人Smile Compassを設立し、子供たちに“スポーツの本来の楽しさ”を伝えるプロジェクトも始動。
岩渕真奈さんインタビュー「大人になった今は『可愛い』も受け止められる」
10代、見た目で注目されるのが嫌だった
「アスリートはビジュアルで注目度がアップして、結果的に集客に繋がったり、そういうポジティブな面もあると思うんです。それもひとつの能力だけれど、自分としてはサッカー選手である以上、サッカーで注目してもらいたいっていう気持ちがあって。『可愛いさ? そこじゃないでしょ』っていう思いが強かったんですよね。
だからお化粧もしないし日焼け止めも塗らない、見た目にこだわるようなプロセスを全くしなかったんです。みんなは、ハーフタイムになるとちゃんと塗ってたんですよ、日焼け止め。まぁ、私は『ベタつくのが嫌』とか、そういう理由もあったんですけど(笑)。でも、あらためて考えるとやっぱり嬉しいですよね、『可愛い』とか『かっこいい』とか言われたら。それは当たり前で、今は否定はしないです」
「正直、16歳の頃、自分ではサッカーが下手だ、実力が伴っていないと思っているのにメディアで特集が組まれたり、見た目を報道されたり、嫉妬をされたこともありました。いろんなことが重なって段々と嫌になっていってしまって、一時期、全ての取材を断っていたんです。
2011年のワールドカップ、なでしこジャパンで優勝したときは18歳だったんですけど、私はほぼ取材を受けていないんですよ。それを今、めちゃくちゃ後悔しています。なぜなら、当時自分がどう思っていたのか、何を考えていたのか、コメントやインタビュー記事が残っていないから。そうしていただくチャンスはあったのに……。大人になった今は『可愛い』って言われたら『イェイ!』って喜べるけれど、当時はそれが本当に嫌だったんですよね」
髪もメイクもプロにお任せ。スキンケアだけは唯一こだわりが
「ヘアサロンに行くじゃないですか、座った瞬間から『なんでもいいです』って言ってます。長年お世話になっている美容師さんだから信頼しているし、シャンプーも美容室でおすすめされたものを愛用しています。
現役を引退してからメイクをすることも増えたんですが、自分ではスキルがないし『してもしなくても変わらないでしょ』って思っていたんです。こういう撮影に呼んでいただく機会も増えて、プロにヘアメイクをしてもらえばもらうほど、自分でやるのとは違いすぎて! 余計に『セルフメイクはしなくてもいいかな』って。自分でメイクするときですか? たま~にするとしたら、TPOというか人を選ぶというか、例えば偉い人とご飯に行くときとか(笑)。友達や現役時代を知っている人と会うならすっぴんで行っちゃいます。
私、基本的にはなんでも大丈夫なんです、メイクもそれ以外でも。嫌と思ったことには嫌と言えるけれど、そう思うことも限られているというか。『なんでもいい』って嘘じゃなく思ってることが多いですね」
「唯一こだわりがあるのは化粧水かも! 5年くらい前に『SK-Ⅱ』に出合って、試しに使ってみたら『肌白くなったね』って周りから言われるようになって。私、白くはなりたいんですよ、日焼け止め一切塗らないくせに(笑)。効果を感じられたし、これだけは継続して使おうって決めて。今も洗顔と化粧水、乳液を愛用しています。
ほかにやってることは……ボディクリームはよく塗ってます。乾燥してるなと思ったらすぐ塗る、これは習慣になってるかも。あと、撮影でしてもらったメイクも寝る前には絶対に落とします。肌がカサカサするとか、メイクで息苦しいとか、違和感があるのが苦手で。とはいえ、肌の悩みもあまりないタイプかもしれません。あれこれ気にせずに生きてこられたのはラッキーだなって思ってます」
気に入っているパーツは目。今日は眉を褒められたけれど……!?
「好きなパーツは?と聞かれたら、目ですかね。チームメイトにも褒められたり、特長的って言われることも多いです。
さっき、ヘア&メイクさんに『眉がすごくいい』と言ってもらったんですけど、個人的には『えーっ!?』って(笑)。ボーボーだし、お手入れも自分ではうまくできないから、撮影のときにプロの方に甘えて整えてもらってるんですよ。今日も実は『お願いしてやってもらえるかな』って思ったら、『生かしましょう』ってほとんどやってもらえなくて(笑)」
人間関係において「嫌い」という概念はなし。「苦手」に留めるように
「サッカーって個人プレーでなくチームなので、人間関係が大いに影響してくるもの。ひとつ気になったら全部が気になりそうだから、こだわりがない性格はあっていたかもしれないです。
自分の性格を説明するのってなんだか難しいけど、さっきもお話しした通り基本的にどんなこともどんな人もなんでも大丈夫。むしろ、誰かのことを嫌いになったら自分も嫌われると思っているので『嫌い』じゃなくて『苦手』くらいの考え方を持つようにしています。
サッカー選手の目標って、最終は『勝つ』ってことなので、そこは誰しもが一緒なわけじゃないですか。例えばフィールド外で何かあったとしても、ピッチに立ったらそこだけは同じでブレない。そのために強くなる努力はみんながしている。究極それさえあればいい、だから、それ以外はなんでもいいよって思えるようになったのかもしれないです」
現役引退。自分らしく、やりたいことを見つけたい
「正直今はまだ、これがやりたいと強く思えるものは見つかっていなくて。テレビやこういった撮影や取材など、新しいことに挑戦するのもとても楽しいです。
サッカーの解説に関しては、もっと選手の良さを伝えられるようになりたいっていう向上心が出てきているけれど、まだまだ模索している段階です。
コーチに関しては、もしやるなら本気で上を目指している子たちに教えたいけれど、それにはライセンスも必要だから、腰が重い(笑)。全体を見て操れる人になりたいと思っているので、マネジメントには興味があります。
長い間海外でも生活していたので、しばらくは日本にいたいけど、いずれは海外に住めたらいいなと思っています。例えばロンドンはいろんな人がいるので好きですね。海外の魅力って、誰も他人のことを気にしていないことだと思っています。
日本ほど『可愛い』の概念が強くないし、私が目指しているのは『かっこいい』人なので、居心地がいいのかもしれません。理想は“キュート”じゃなくて“ビューティフル”という意味で『かっこいい』と言われること。これからは、そんな人を目指していけたらと思っています」
今回のメイクのつくりかた:パーツを生かした陰影ナチュラルメイク
“かっこいい”を消さずに、可愛くなりたい!
いつもと違う顔をお届けするにあたり、まずは今回どんなメイクが希望かご本人とミーティング。
「基本はすっぴんで出かけちゃうので、こういう撮影はめちゃくちゃ楽しくて。なので、普段着ないファッションだったり、可愛い感じだったりもなりたいですね。ただ、ふりふりした可愛さじゃなく、一応サッカー選手だった過去もあるので(笑)、“かっこいい”を消さない程度に可愛くなれたら。イメージするなら、広瀬すずさんのような雰囲気が好きです」と、岩渕さん。
衣装に関しては「最近はどこに行っても『もう31歳なんだ! あんな若かったぶっちーが!!』って言われることが多いので、大人っぽくなれるなら、なってみたいです」とリクエストが。
「腕がしっかりしているのが自分では気になってるので、何か羽織りたいな~」と話しつつ、数着フィッティングして岩渕さんが選んだのはピンストライプのベストとパンツのセットアップ。気になると言っていた腕はあえて潔く露出し、ヒールを合わせて、まさにかっこよく、ヘルシーで媚びない大人の女性らしさを表現してもらった。
メイクや撮影を終えた岩渕さんは、こんな風に語ってくれた。
「メイク感が出すぎると自分じゃないみたいで違和感を感じてしまうんですが、すごく丁度いい具合に仕上げてくれて嬉しかったです。リップを塗るときに『自分のくちびるの幅じゃない!』って思ったり、まつ毛に塗ったマスカラを眉毛にも塗ったり、初めての体験も多くて、驚きと新鮮がたくさんあって、すごく楽しかった! こういう知らない自分を引き出してくれる撮影はすごく好きなので、また挑戦してみたいです」
ヘア&メイク𠮷﨑さんの解説! 今回のメイクのポイントは?
ヘア&メイクの𠮷﨑さんは「ふんわりとした毛量のある眉や、ぱっちり二重のタレ目など全体的にパーツそのものは甘さがある印象なので、メイクに甘さは入れず、素材を活かす方がより魅力を引き出せる」と判断。
岩渕さん自身も苦手だという“しっかりメイク”をすると派手になりやすいため、アイシャドウにもラメなどは使わず、さらりと陰影を加える程度に留め、リップもマットな質感で引き算をしながら血色感をプラス。
魅力的な眉は素のふさふさ感を生かしながら、自然なブラウンのパウダーをほんのりのせ、黒のマスカラで毛流れを少し強調させることで目元を印象的にアシストし、大人の魅力を後押しした。
io所属。顔だけでなく全身や全体のムードをトータルで捉え、攻めと抜け感の秀逸バランスから生み出されるヘア&メイクは、まだ見ぬ魅力を引き出すと業界でもファンが多数。
岩渕真奈さんのサッカーヒストリーをプレイバック!
2007年、14歳で日テレ・ベレーザ(現 日テレ・東京ヴェルディベレーザ)でなでしこリーグの公式戦デビュー。同年、U-16日本代表に選出。
2010年、16歳でA代表に初招集。同年のFIFA U-20女子ワールドカップで初得点を飾る。翌2011年には、FIFA女子ワールドカップ ドイツ大会には「なでしこジャパン」の一員として、チーム最年少の18歳で参加。優勝メンバーとなる。
2012年から2017年はドイツ女子リーグで活躍。バイエルン・ミュンヘンではリーグ連覇も経験。
2017年に帰国しWEリーグに所属、2020年からはイギリスへ渡り、イングランド ウィメンズ・スーパーリーグでプレー。
2023年に最後の所属チームとなったアーセナル・ウィメンFCを退団した。
イギリス アーセナル・ウィメンFC時代の岩渕さん
web Sportivaではサッカーにフォーカスしたインタビューを掲載!
「Sportiva」の公式サイトweb Sportivaでは、アザーカットとともに、競技にフォーカスしたインタビューを掲載しています。ぜひそちらもあわせてチェックして!
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撮影/三宮幹史〈TRIVAL〉 ヘア&メイク/𠮷﨑沙世子〈io〉 スタイリスト/辻村真理 取材・文/森山和子