瀬戸内海は、穏やかな海と温暖な気候が魅力。そんな場所から生まれた豊かな食と美しい器を料理家の長谷川あかりさんがナビゲートします。

「なんでもない日を幸せにする、シンプルで豊かなごはん」をテーマに、忙しい現代人に刺さるレシピを発信。食材や調味料の組み合わせのセンスが生み出す、シンプルながら新しさとやさしさを感じる味わいと、管理栄養士の視点で栄養バランスも考慮されたメニューの両立を叶える提案で絶大な支持を集める。
CONTENTS
1.今、行きたい「直島グルメ」3選
直島は、古くからの街並みと現代アートが融合する南北約5kmの小さな島。瀬戸内国際芸術祭や直島新美術館のオープンでさらなる注目を集めている。
旅先で“食す”ということ
「私の旅のいちばんの楽しみは、“その土地の食をいただくこと”。訪れた場所ならではの食材や味つけはもちろん、お店との出会いにも心が躍ります。旅ならではのゆったりとした時の流れの中で、新鮮な食材、土地の文化、シェフの想いまで詰まった、ここでしか食べられないお料理をいただく。そんな贅沢な時間が大きな癒しになっています。そんな一皿、一杯に刺激されて、気づけば作りたいレシピが増えているんです」(長谷川さん、以下同)
ミカヅキショウテン
フェリーが発着する宮浦港から徒歩2分の場所にある小さなスペシャルティコーヒースタンドは、物置小屋をリノベーションした日本家屋の趣残る店舗が目印。Tシャツやピンバッジなど地元で生産されたオリジナルグッズも人気。

DATA
香川県香川郡直島町宮ノ浦2291の5
営業時間:月〜日曜8時30分〜17時
定休日:不定休
Instagram:@mikazukishoten
Restaurant EN(直島旅館 ろ霞)
日本料理、なのに新しい。和食の多様性を感じられる会席
「訪れて最初に目に入るのは美しい庭。一見すると簡素な美意識を宿した日本らしい庭園ですが、よく見ると多肉植物が植えられていたり、竹の立体作品が配されていたりとアートの島らしい試みが施されています。こうした現代の文化交流のエッセンスはお料理にも。合わせ出汁の深みあるキジハタのお椀にはグレープフルーツが爽やかな後味を、強肴ではマナガツオのやわらかな身とパリッとしたアーモンドが絶妙なリズムを。伝統と革新、郷土愛が見事に共存しています」

全室露天風呂つき客室を備えた島内初の本格旅館・ろ霞は「自然と人間が美しく調和する里山のような風景をこの地に」という想いからオープン。レストランENの軸は、400種類以上生息する瀬戸内の豊かな魚介を中心に据えた日本料理。現在、予約は宿泊者限定で受付中(併設のバーは宿泊者以外も利用可能)。1名あたり¥54500〜

マナガツオのアーモンドのせ

ろ霞の入り口

キジハタの葛打ち

デザートプレート
※メニューは季節により変動します
DATA
香川県香川郡直島町1234
Instagram:@rokanaoshima
定休日:不定休
宿泊者限定・完全予約制
https://roka.voyage
直島コーヒー
自家焙煎のコーヒーでひと息。窓の外を眺めながら過ごす至福の時間
「歩き疲れた体を休めるなら、ぜひとも小高い丘の上にあるこちらへ。丁寧にいれられたこだわりのコーヒーを飲みながら窓の外に視線を移すと、港での島の方々の生活が垣間見えます。バランスのとれた中深煎りのオリジナルブレンドもおすすめしたいのですが、普段は酸味のあるコーヒーを敬遠しがちな私が衝撃を受けたのが浅煎り。酸がとがっておらず、香りが優しく鼻を抜けていくのです。丁寧な手仕事による心温まる一杯がここにあります」

1年前に開店し、すでに島民からも旅客からも大人気の挽きたてハンドドリップコーヒーのお店。豆は手作業でピッキング。

「香りが広がるよう浅煎りは広めの飲み口」など店主が焙煎に合わせて最適なカップをセレクト。(上から)浅煎り¥780・中煎り¥700・中深煎り¥700・深煎り¥740

窓からは港を出入りする船が見えることも
DATA
香川県香川郡直島町3299の50
営業時間:月・金〜日曜8時〜17時
定休日:火〜木曜
Instagram:@naoshima_coffee
バッグ¥29700/SAC'S BAR(サムソナイト・レッド) その他/本人私物
2.香川・高松で出合った「グルメと器」
「うどん県」で知られる香川の最大の都市・高松へ。食だけでなくアートやクラフトへの感度も高く、美術館や器のセレクトショップが集まる土地で出合った、グルメと器をご紹介。
小料理Yarn
目の前で次々と作り出される多彩な料理を五感で楽しむ
カウンター4席限定の創作料理店。自由で独創的な料理が16皿前後で構成された少量多皿なコースで次々と提供される。ランチ・ディナーお任せコース各¥17500
「キッチン前のカウンター席は舞台の最前列のよう。包丁が奏でる音や食材が変化する瞬間を見届けることができるフルコースはまさに食のライヴ。たとえば、Yarnの定番メニューのカプレーゼは、シェフの和田さんがその場でミルクからモッツァレラを作り、サッとミニトマトにまとわせてテーブルへ。私も『できたてのチーズがやわらかいうちに』と急いで口に運びます。チーズのうまみとトマトの酸味の黄金コンビに軽やかなアクセントをくれる薬味は、バジルではなくなんと紫蘇。ここでは五感をフル稼働させた食体験が待っています」(長谷川さん、以下同)

オリーブをかたどったチョコレート。中には地元産のキウイ果汁が入っている

口に入れた途端はじける果汁に思わず笑顔

白甘鯛とにんにくのクリームソース

高松市内の牧場のミルクを使った名物のカプレーゼ
DATA
香川県高松市片原町4の14片原町テラス1F
営業時間:月・土・日曜12時〜・18時〜、火〜金曜18時〜
定休日:不定休 完全予約制
Instagram:@s_restaurant_yarn
《あかりの仮説》うどんが美味しい香川はパンも美味しいはずである
温暖な気候が小麦栽培に適しており、うどんが発展した香川県。「上質な小麦とうどんの生地作りのノウハウがある香川なら同じく小麦を使ったパンも美味しいはず!」という仮説を立てて現地調査。何店舗も回って実食した結果、「仮説は正しかった! 香川のパンはパリ並みに美味しい」という結論に。中でもあかりさんおすすめのお店をご紹介。

不二ベーカリー retro
“焼きたてのパンを売る店”をコンセプトに、店先には焼き上がり時間表、陳列には「焼き上がり○分以内」の表示が。「創作のお総菜パンから硬派なパンまで。確かな実力で幅広い商品を届けてくれる町のパン屋さん」



DATA
香川県高松市春日町 1619の4
営業時間:8時〜19時
定休日:日・月曜・祝日・不定休
Instagram:@retoro_fujibakery
i am. with bread
倉庫群を改装した複合商業施設・北浜アリー内にある海に面した店舗。「バゲットなどのお食事系パンが豊富。中でもベーコンエピは今まで出会った中でいちばんの美味しさ。潮風を感じられるテラス席でいただくのも◎」



DATA
香川県高松市北浜町3の2 北浜アリー レンガ広場
営業時間:11時〜16時
定休日:火・水曜
Instagram:@iam_withbread
旅先で“器を買う”ということ
「訪れる場所に気になる器のお店がないか、行く前に必ずチェックしています。お店のセレクトから地域の生活を感じられたり、高揚感でいつもと違うものに手を伸ばしたり。そんな経験も含めて、旅の思い出になっています。集めすぎて家の食器棚にはもう空きがないので『どこにしまう?』と頭をよぎることもありますが、買わずに二度と出会えないことを後悔するより、幸福感を感じながら収納場所を悩むほうがいい。その器を見るたび、使うたびに、旅先での楽しくて美味しい時間を思い出すことができるはずだから」
コノヒノ道具店
カトラリー作家がオーナーをするアトリエ兼セレクトショップ
「道路沿いにある、ともすると見逃してしまいそうな倉庫。そっと中に入ってみると、そこにカトラリー作家・樫原ヒロさんのアトリエ兼ショップであるコノヒノ道具店が。ゆったりと時間が流れる店内で作品たちを眺めていると『どんな料理を作ろうかな』『ケーキをのせたら可愛いな』と、帰ってからの過ごし方まで想像が膨らみます。そんなふうに過ごしていると、アトリエから樫原さんが出てこられたので、少しだけ話をさせていただきました」




オーナーの樫原さんと対談!
カトラリー作家の樫原さんと料理家のあかりさん。職業の異なる二人の共通点とは――
あかりさん(以下、あ) 樫原さんの作品は個性があるのに器や手になじむのが魅力。ご自身の作品は「暮らしにそっと寄り添う存在」と話しているのを拝見して、私もレシピで生活に寄り添う存在でありたいと思っているのでシンパシーを感じていました。
樫原さん(以下、樫) 嬉しいです。僕は作品作りが目的ではなく、人に幸せな時間を届けたいと思ったときにできることがカトラリー作りだったんです。
あ 私も究極のところ、美味しさは第一条件ではなく、作る人の毎日を手助けしたいというのが出発点。
樫 わかります! だからこそほかの作家さんの作品も集めたこのショップをはじめました。
あ 樫原さんは道具から、私はレシピから皆さんの美味しくて豊かな時間を届けたいですね!

DATA
香川県高松市鬼無町藤井653の2
営業時間:11時〜18時
定休日:日・月曜・不定休
https://shop.konohino.com/
3.旅の思い出とともに買いたい「瀬戸内の作家の器」
ハンドクラフトの器は旅先で出会ったらそれがお迎え時。あかりさんがおすすめする、瀬戸内にルーツやアトリエがある5人の作品を紹介します。
Potter: 境 道一
深い緑と微かな黒が交じり合う織部釉の重厚な一枚
焼き締め、粉引き、織部、鉄釉、灰釉など多彩な表現が特徴。「目に入った瞬間、唯一無二のグリーンに心奪われました」(長谷川さん、以下同)。

織部釉 鎬皿 ¥4400 境道一(Instagram:@michikazu.sakai)
Potter: 境 知子
白磁で作られた端正なたたずまいは純粋さとエレガンスの共存
すべての作品を薪窯で焼成している。「白の優しい色みと洗練されたフォルムは、ティータイムに落ち着きと高揚感をくれそう」。

(右から)白磁しのぎ筒湯呑み¥3800・白釉りんか湯呑み¥3500・白磁真鍮ハンドル土瓶¥22000 境知子(Instagram:@tomokosakai323)
Potter: 平岡朋美
讃岐の岩や土を使い、自身の調合で様々な色を生み出す
地元の素材を使うことにこだわり、香川の風景や時間のイメージを作品にしている。「クラフト感のあるコロンとしたフォルムや奥行きのある色にひと目ぼれ。ホットワインを入れて飲みたい!」。

strawberry cup 各¥4950/kitahama blue stories
Potter: 土井康治朗
瀬戸内の景色から着想を得た淡く深みのある海と白雲の色
温暖でおだやかな瀬戸内海を思わせる優しげな表情。「絶妙なサイズ感と深さで汁けがあるものでものせやすい懐の広さが最高。食洗器や電子レンジOKなのも嬉しい!」。

5寸ドラ鉢(右から)白雲・せとうちブルー 各¥3520/うつわ 千鳥
Potter: スギウラ工房
愛媛の伝統工芸・砥部焼。愛らしい絵付けが食卓を彩る
すべての食卓が幸せでありますように……という願いを込めて器作りを続ける杉浦綾さん。「特徴的な愛嬌のある古典的な絵柄やポップな配色は、見るだけで楽しくなるものばかり!」。

五角小皿 各¥4180/kitahama blue stories
Let's use it!
「和洋中、どんなお料理も似合う懐の広い器が好き。そんな器を選べば、盛りつけは簡単。器の色が見えるよう、料理は真ん中に寄せて中央が高くなるよう盛るのがコツです」

実際にあかりさんが料理を盛りつけた様子はこちら。使用したのは境道一さんの織部釉 平皿で、メニューは「鱈とキャベツのオレンジジュースパスタ」。気になるレシピはWEB連載「長谷川あかりのご自愛ごはん」にて公開中!
4.自分で食べたい、みんなに配りたい!「香川のお土産グルメ」
食に並々ならぬこだわりを持つ料理家・長谷川あかりさんが、香川を旅する道中で見つけ、厳選したお土産を一挙公開! 1泊2日で巡る瀬戸内旅の行程表も、ぜひ参考にして。
うどんの揚げ菓子と揚げせんべい。食べ出したら止まらない!
「大好物のおせんべいを旅先でもハント」(長谷川さん、以下同)。

小豆島産のしょうゆで味つけされた揚げせんべい。「島の味」¥275/タケサン

麺の切れ端を揚げて作った讃岐うどんのお菓子。「ぴっぴがし」きなこ・黒こしょう各¥550/うどん・そうめん かじかわ
少し重たいけれど、それでも欲しいのが地酒と飲み物用のシロップ
「ホムパで友人に振る舞いたい飲み物を発見!」

(左)香川県産レモンと3種のスパイスで構成されたクラフトコーラの原液。「ほーぷこーら」¥1760/HOPE (右)希少糖、ハーブ、ローズマリーで作られた体に優しいシロップ。「レモンコーディアルシロップ」 100ml ¥460/まちのシューレ963(ロロロッサ)

西野金陵でつくられた香川の地酒。日本酒らしいキリッと感もありつつ、フルーティで飲みやすい。「金陵月白 吟醸」¥627/金陵
うどんではなくてあえて“パスタ”。パケが可愛くて配るのにぴったり
「オリーブも大好きな食材なので、小豆島の近くに立ち寄ったときはつい色々買ってしまいます」

おしゃれなパケに惹かれて複数買い。オリーブオイルを練り込み、小豆島に伝わる素麺の手延べ技術で作ったパスタ乾麺。かさばらないので配布用に◎。「OLIVE PASTA」¥530/小豆島庄八

日照時間全国トップクラスを誇る三豊産。「エキストラバージンオリーブオイル あかつきミッション」¥1350/三豊オリーブ
キュンとした小瓶はついつい買っちゃう♡
「パケにときめいたら軽率に買ってしまうのが小瓶系お土産。素朴なイラストといちごの赤にきゅん♡」

豊島の特産品のいちごをいちばんの食べごろ時期にソースに。「いちごソース」¥600(本店価格)/多田農園いちご家
調味料もしっかりチェック!お気に入りが実は香川のものだったという発見も
「見るだけでも楽しいのがご当地調味料。ごま油といりこは普段愛用している銘柄で、香川って美味しいものが豊富と再認識!」

(右から)頭とハラワタを手作業で取り除いてある。「パリパリ焙煎いりこ ぶどう山椒」¥700・瀬戸内でとれた上質なものだけを手詰め。「いりこ」¥1340/やまくに

小豆島オリジナルラベル。「かどやの太白ごま油」¥691/かどや製油

ぶっかけうどん用に3種のダシを配合。「讃岐うどん醤油」¥260(直営店価格)/鎌田醤油

香川本鷹唐辛子をはじめ、香川県産のものだけで作られたホットソース。「Kagawa Hot Stuff」¥864/旅ベーグル
今回紹介した内容を食べ尽くすなら!1泊2日で巡る「瀬戸内旅」行程表

DAY1
9:00ごろ 高松空港到着
10:30 Ⓐ i am. with breadで好きなパンを購入
11:30 Ⓑ kitahama blue storiesで 器を購入
12:40→13:30 高松港から宮浦港 フェリーの中でパンを食べてもOK
13:30すぎ Ⓒ ミカヅキショウテンでひと息
14:30〜 予約していたレンタサイクルで島内サイクリング アートを巡ったり、気になったお店に入ったり…
16:00 Ⓓ 直島コーヒーでコーヒーブレイク
17:00 島内散策再開
18:30 Ⓔ 直島旅館 ろ霞にチェックイン
19:00 Ⓔ Restaurant ENで夕食
DAY2
8:00 Ⓔ Restaurant ENで朝食・チェックアウト
9:07→10:07 宮浦港から高松港
12:00 Ⓕ 小料理Yarnでランチ
14:30 Ⓖ コノヒノ道具店で器を購入
16:00 Ⓗ 不二ベーカリー retroで パンを購入
18:00 高松空港へ
話題のポッドキャストでも香川旅について語ってます♡
あかりさんがパーソナリティを務める雑談ポッドキャスト、通称「シャニごめ」。今回の香川旅がテーマのep.18もぜひお聞きください!

Podcast番組「長谷川あかりのシャニカマでごめんなさい」は 毎週火曜日に各種プラットフォームで大好評配信中!
撮影/魚地武大〈TENT〉 出演/長谷川あかり ※BAILA2026年2・3月合併号掲載

BAILA編集部
30代の働く女性のためのメディア「BAILA」。ファッションを中心にメイク、ライフスタイルなど素敵な情報をWEBサイトで日々発信。プリント版は毎月28日頃発売。


























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