「行ったほうがいいと思いつつ、積極的に行く気になれない」。そんな私たちの本音を産婦人科医の善方裕美先生に相談。今回は、「生理痛程度で受診してOK?」といった疑問にアンサー。
よしかた産婦人科 院長
善方裕美先生
横浜市立大学産婦人科客員准教授。医学博士。生理にまつわる様々な悩みに、カウンセリング、ホルモン治療、漢方薬、食事、運動など多方面のアプローチで治療を行う。
『女医が教える閉経の教科書』
秀和システム 1760円
できれば行きたくない気持ちを先生に聞いてみました
生理痛程度で病院に行くのは申し訳なくて…
生理痛には子宮内膜症などの病気が隠れていることも。ちょっとした不調でも迷わず受診を
生理痛はあるのが普通という認識だと、この程度で受診するのは悪いと思ってしまうよう。実際、行ってOK? 「生理痛があるなら、程度にかかわらず診療対象ですから遠慮は必要ありません。生理痛は我慢しないで、ラクに過ごせるように治療したほうがいいのです。治療法も鎮痛剤や漢方、ピルなど様々ですから自分に合う方法を検討できます。若いうちから妊娠・出産があった昔と比べて生理の回数が多い現代女性は、体の負担も大きく、子宮内膜症のリスクも高い。そう考えると、妊娠を希望しないときにピルで生理を抑えることは、将来の病気の予防にもつながるセルフケアといえます。“病気の治療”と身がまえず、体とのつきあい方を相談する感覚で受診してみてください」
特に自覚症状もないので行く必要を感じません
自覚症状がない婦人科系の病気も多数。中には、不妊につながるケースも。早期発見、早期治療がいちばんです
安易な自己判断は禁物!と善方先生。「子宮内膜症の一種であるチョコレート嚢胞や、性感染症のクラミジアなどは重症になって初めて症状が出るケースもあり、無症状でも少しずつ病気が進行していることがあります。これらの病気は、ほうっておくと不妊を招く場合もあるので、自覚症状の有無で判断してしまうのは危険。よく結婚前に“ブライダルチェック”を受けるといいといわれていますが、結婚前に限らず、子宮がん検診や性感染症検査、血液検査など、ブライダルチェックに含まれているような検査を、まず一度ひととおり受けておくといいですね。妊娠できる状態かどうかもチェックできて安心ですし、もし妊娠しづらい状態とわかった場合でも早めに治療を始められます」
いい病院や先生がわからない
日本産科婦人科学会専門医の資格があるかどうかが重要
いい婦人科や先生がわからないという場合、選び方のポイントとは? 「クチコミを調べるといいとよくいわれますが、それより大事なのは日本産科婦人科学会専門医の資格をもっている医師であることです。この資格は学会指定の病院で3年以上研修し、試験に合格したということで信頼できる医師かどうかを見極める重要なポイント。ホームページなどで医師の資格をチェックした上で選びましょう」
イラスト/いいあい 取材・原文/和田美穂 ※BAILA2022年12月号掲載