働く30代が抱える日々のもやもやを、一見冴えない(!?)アンガールズの田中卓志先輩にぶつける連載【隣の部署の田中先輩】第28回! 今回は、パソコン操作が苦手な上司に時間を奪われてモヤモヤするという悩みに田中先輩が的確アドバイス!
《今月のお悩み》パソコン操作が苦手な上司に時間を奪われています(34歳・事務)

最近、社内のシステムが整理され、パソコンが新しいものに変わったり、データをまとめるシステムが変わったりしました。それによって、上司がいちいち「これどうやるんだっけ?」とちょっとしたことを聞いてくるようになりました。上司のことは嫌いではないし、嫌われたくないのですが、正直作業が止まってしまうのでモヤモヤします。
田中先輩の答え…頼り頼られ貸し借りゼロ。“お互い様”の関係を目指せ!

上司にお世話になった恩を今返すときかもしれない
僕もね、インスタグラムの使い方がいまだによくわからなくて。若いマネージャーに質問したくなる瞬間が多々あるんですよ。でも、「タグ付けってなに?」って今更聞くのも恥ずかしいし、ウザイと思われるのもイヤだから。なるべくネット検索をして自分で調べるように心がけてはいるんだけど……。おじさんはね、わからないのよ。調べても、説明を読んでも、そこに書いていること自体がもう理解できないのよ(涙)。結果、僕のインスタ技術は止まったまま。スマホやパソコンも同様に使いこなすことができず、最近やっとエアドロップを覚えたばかり。それすらも、昨日できたと思ったら今日はなぜかできなかったり。頭の中はいつも「?」だらけ。僕自身、文明機器の進化から置いていかれぎみ。だからこそ、相談者さんよりも上司の気持ちがわかってしまうっていうね。
仕事に集中しているときに話しかけられたら困るし、それを何度も繰り返されたらイラッとくるのは当たり前。時間は誰にとっても大切なものだからこそ、本当は会社が上司の進化対策を打つのがいちばんの解決策なんだよね。たとえば、上司の質問に時間を搾取されるなら、そこにお手当を出すとか。指導係という役職をちゃんと据えて、そこに就いた人の賃金もアップする。そうすれば、おじさん世代も気兼ねなく質問することができるしね。でも、実現させるのは難しいんだろうなぁ。ならば、自分が新入社員だった頃を思い出してみるのはどうでしょう。過去には自分にも未熟だった時期が必ずあるわけで。一緒に取引先をまわってくれたり、ミスしたときにかばってくれたり、落ち込んだときに飲みに連れていってくれたり……振り返れば、上司に助けてもらった経験が必ずあると思うんです。今はその“お返し”をしていると考えるというか。育ててくれた両親への恩返しとして、大人になってから仕送りをするのと同じ感覚でね。ただ、まったく助けてもらった記憶がなかったり、部署異動を繰り返した末、ほとんど交流のない人が上司になっている場合は困っちゃうよね。親どころか親戚でもない、血縁でもない知らないおじさんに返す恩はないもんねぇ。
そもそも、頼られるのって悪いことではないと思うんですよ。それは職場での自分の存在意義につながると思うし。なのに、相談者さんがモヤモヤするのはそれが一方通行だからなのかな。たとえば、「ありがとう」とコーヒーを一杯おごってくれたり、上司から返ってくるものが少しでもあれば気持ちは変わるのかもしれないよね。頼られっぱなしがモヤるなら、自分も上司を頼る。貸し借りゼロの関係に持っていくのもひとつの手。「こういうときはどうしたらいいんですか?」なんて、質問をどんどん投げかけて。自分は新しい技術を提供するから、上司からは経験値を提供してもらう、そんなお互い様な関係が築けたら最高だよね。
上司を頼ったときに「忙しいんだけど」と断られてしまったらどうすればいいか? それはもう、ハリセンでぶちたたいてください(心の中で)。「パソコン教えてやったろ‼」と叫びながら(心の中で)。で、今後はこっちも「忙しいんで」を返せばいいんです。いつか自分も年をとる日が来るかもしれないけど、「こんなクソ上司にはならないぞ!」って思いながらね。

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田中卓志
たなか たくし●1976年生まれ、広島県出身。大学時代の友人、山根良顕とお笑いコンビ「アンガールズ」を結成。「呼び出し先生タナカ」(フジテレビ系)など多数のバラエティで活躍中。
撮影/黒沼 諭〈aosora〉 ヘア&メイク/高橋将氣 スタイリスト/高山良昭 イラスト/ますこえり 取材・原文/石井美輪 撮影協力/アワビーズ ※BAILA2025年4月号掲載