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【 #ミシェル・ヨー 】2023年 #アカデミー賞 #主演女優賞 受賞! ほか4人のノミネート女優の見どころ&キャリアをまとめてチェック!

世界中の映画ファン、映画人たちが注目する年に一度の華やかな祭典、第95回アカデミー賞授賞式が3月12日(現地時間、日本時間は13日)に開催された。今回はアカデミー賞主演女優賞を受賞したミショル・ヨーはじめ、女優部門の候補者の中から、5人をピックアップ。今作で演じた役の見どころや全世界を虜にする魅力を解説!

この記事を書いたのは…
今祥枝/Sachie Ima

映画・海外ドラマ 著述業/ライター・編集者

今祥枝/Sachie Ima


雑誌やウェブ媒体にて映画・海外ドラマに関する記事を執筆。『BAILA』本誌連載は、創刊時から担当。著作に『海外ドラマ10年史』(日経BP)など。

目次

  1. 第95回アカデミー賞主演女優賞受賞! ミシェル・ヨー
  2. 第95回アカデミー賞主演女優賞ノミネート ケイト・ブランシェット
  3. 第95回アカデミー賞主演女優賞ノミネート アナ・デ・アルマス
  4. 第95回アカデミー賞主演女優賞ノミネート ミシェル・ウィリアムズ
  5. 第95回アカデミー賞助演女優賞ノミネート ステファニー・シュー
  6. 第95回アカデミー賞主演女優賞・助演女優賞ノミネート一覧

第95回アカデミー賞主演女優賞受賞! ミシェル・ヨー

映画エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの主演、ミシェル・ヨーの写真

写真:REX/アフロ

アジア旋風を巻き起こしている今年の台風の目、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で華麗なるカンフーと七変化を披露するミシェル・ヨー。アジア人女優として初の主演女優賞を受賞するという快挙を成し遂げ、アカデミー賞に新たな歴史を刻んだ。

マルチバースとカンフーを掛け合わせたぶっ飛んだ世界観の本作で、ヨーは並行世界に存在する様々な“自分”を演じ分けながら、いつ見ても変わらずキレッキレのカンフーもたっぷりと見せてくれる。

一方で、現実世界で彼女が演じるエヴリンは、生活に追われ、優しいけれどピリっとしない夫と反抗期全開の娘に手を焼きながら、あり得たかもしれない別の人生に思いを馳せる中年女性の悲哀がなんとも愛おしい。ヨーの魅力を余すところなく引き出してくれたダニエルズ監督には感謝の念しかない。

映画007/トゥモロー・ネバー・ダイの写真、ミシェル・ヨーとピアース・ブロスナン

『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』で、ボンド役のピアース・ブロスナンと共演するミシェル・ヨー。 写真:AFLO

中国系マレーシア人として生まれたヨーは、ロンドンでバレリーナを目指すがケガで断念した。その後、香港でアクション俳優としての地位を確立。『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』に抜擢されて以降は、ハリウッドで活躍してきた。

『グリーン・デスティニー』『シャン・チー/テン・リングスの伝説』から『クレイジー・リッチ!』まで、幅広いジャンルで活躍するヨーの実力はお墨つき。アカデミー賞授賞式では、「これは夢が叶うという証」「 私の母、世界中の母にこの賞を捧げたい。彼らはスーパーヒーロー」と語り、世界中の映画ファンが拍手喝采、感涙する感動の受賞スピーチとなった。

  • 映画エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの写真、主演のミシェル・ヨー

    『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』3月3日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 © 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

  • 映画エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの写真、主演のミシェル・ヨー

    『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』3月3日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 © 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

第95回アカデミー賞主演女優賞ノミネート ケイト・ブランシェット

映画TAR/ターの主演、ケイト・ブランシェットの写真

写真:REX/アフロ

『アビエイター』『ブルージャスミン』に続き、『TAR/ター』で著名な女性指揮者リディア・ターを演じて3度目のオスカー候補となったケイト・ブランシェット。

監督のトッド・フィールドが「唯一無二のアーティスト、ケイト・ブランシェットに向けて書いた」と語るように、世界最高峰のオーケストラの一つであるベルリン・フィルで、女性として初の首席指揮者に任命されたターの重圧と孤独、驕りと狂気を体現する彼女は、震えるほど美しくも恐ろしくもある。

とりわけ、難題であるマーラーの交響曲第5番に取り組むターが、渾身の指揮棒を振るシークエンスは圧巻の一言。ドイツ語にピアノ、アメリカ英語に指揮者の訓練など、複数の現場を掛け持ちしながら臨んだ作品とは思えないほどの完璧さ。

一方で、人生を賭けて、名誉も権威もついに得たが、その座に長く留まることにはどんな弊害があるのか。

ブランシェットはインタビューなどで、ターをシアターカンパニーを運営している自らと重ねて、孤独や苦悩に共通点があると共感を示している。女性をめぐる社会の構造的な問題と、そこから一歩進んだ議論を促すターの複雑なキャラクターを演じられるのは、彼女しかいないと思わせる名演だ。

一方で、心血を注いだ役だからこそ、役が自分の中に長くとどまり続けていることの重さや、さらには本作を最後に俳優引退をほのめかす発言も。真意はまだわからないが、『TAR/ター』を観れば、この役がどれほど彼女に大きな影響を与えたのかは想像できるのではないだろうか。

映画TAR/ターの主演、ケイト・ブランシェットの写真

写真:REX/アフロ

ブランシェットといえば、様々なチャリティ活動に熱心で子どもと一緒にデモなどに参加する姿もよく見られる。いわゆるハリウッドのパーティシーンなどとも無縁で、アカデミー賞などの権威あるアワードの問題点も臆せず発言している姿も頼もしい限り。欠点はあるのか⁉︎といぶかしんでしまうほどだが、ブランシェットも現在53歳。ずっと第一線を走り続けてきた彼女のキャリア、人生も転機にあるのかもしれない。

いずれにせよ、常にベストを更新し続けるような演技と飾らないブランシェットの魅力は無敵だ。

  • 『TAR/ター』で指揮棒を振るブランシェット © 2022 FOCUS FEATURES LLC.

    『TAR/ター』5月12日(木)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 © 2022 FOCUS FEATURES LLC.

  • 『TAR/ター』5月12日(木)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 © 2022 FOCUS FEATURES LLC.

    『TAR/ター』5月12日(木)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 © 2022 FOCUS FEATURES LLC.

第95回アカデミー賞主演女優賞ノミネート アナ・デ・アルマス

映画ブロンド、主演のアナ・デ・アルマスの写真

写真:REX/アフロ

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』で移民の看護師マルタを演じて高く評価され、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』ではキューバのCIAエージェント、パロマを演じて、世界中のファンを魅了したアルマス。

キューバ出身でスペインを経由して、2014年からロサンゼルスに拠点を移し、英語と格闘しながら活動してきた彼女にとって、今回のオスカー候補入りがどれほど今後のキャリアに弾みをつけるのかを考えると、応援せずにはいられない。

賛否両論の問題作『ブロンド』でアルマスが演じたのは、往年の銀幕のスター、マリリン・モンローだ。奇しくも、今回同じく主演女優賞にノミネートされているミシェル・ウィリアムズも『マリリン 7日間の恋』でモンローを演じてオスカー候補になったが、多くの人が知るアイコンを演じるプレッシャーは相当だったはず。

しかも、原作の小説がフィクションとして描くモンローの人生は、現実にも似たようなことがあっただろうことは想像できるが、セックスシンボルとして消費される姿は、かなりつらいものがある。その表現の是非はあるとして、彼女がモンローの魂に寄り添い、役作りをしたであろう真摯な思いと覚悟、そしてモンローのイメージを自分なりに体現する高い演技力はしっかりと伝わってくる。

次回作は、『ジョン・ウィック』シリーズのスピンオフ『Ballerina(原題)』。バレリーナであり暗殺者ルーニーを演じる予定で、こちらも楽しみだ。

  • 映画ブロンドの写真、マリリン・モンロー役のアナ・デ・アルマス

    Netflix映画『ブロンド』独占配信中

  • 映画ブロンドの写真、マリリン・モンロー役のアナ・デ・アルマス

    Netflix映画『ブロンド』独占配信中

第95回アカデミー賞主演女優賞ノミネート ミシェル・ウィリアムズ

映画フェイブルマンズの主演、ミシェル・ウィリアムズの写真

写真:AP/アフロ 

スティーヴン・スピルバーグ監督の自身の原体験に基づく映画少年とその家族を描いた『フェイブルマンズ』で、主人公の強烈な個性を持つ母ミッツィを生き生きと演じて、5度目のオスカー候補となったミシェル・ウィリアムズ。

『ブロークバック・マウンテン』『ブルーバレンタイン』『マリリン 7日間の恋』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』と、どの作品で受賞してもよかったのでは?と思う名作ぞろい。誰もが受賞に文句のない俳優だと思うが、演技派俳優が何度も候補になりながら、なかなか受賞に至らないパターンに陥りそうで、老婆心ながら勝手に心配してしまう。

実力は申し分のないウィリアムズは、『フェイブルマンズ』では助演のポジションだ。主演のカテゴリーに入っているのは映画会社の思惑もあるのかもしれないが、実際に映画を観ると、彼女の演じるミッツィの存在感は際立っている。

芸術家肌で自由奔放。愛にまっすぐで情熱的。だからこその残酷さも併せ持ち、そこに引かれるいわば正反対の夫を演じるポール・ダノとのアンバランスさも絶妙。さじ加減一つ間違うと微妙な印象になりがちなキャラクターを、感情表現など実にうまくコントロールするウィリアムズの芸達者ぶりに、またしても脱帽する。

  • 『フェイブルマンズ』3月3日(金)全国公開

    『フェイブルマンズ』3月3日(金)全国公開 © Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

  • スティーヴン・スピルバーグ監督の自身の原体験に基づく映画少年とその家族を描いた『フェイブルマンズ』

    『フェイブルマンズ』3月3日(金)全国公開 © Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

第95回アカデミー賞助演女優賞ノミネート ステファニー・シュー

映画エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス、助演のステファニー・シューの写真

写真:REX/アフロ

賞レースを席巻中の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』からは4人の俳優がオスカー候補になっている。受賞したのは共演者の大ベテラン、ジェイミー・リー・カーティスだったが、今後の活躍がさらに期待されるステファニー・シューも、十二分に存在感を示した。

本作でシューが演じるのは、ミシェル・ヨー扮するエヴリンの娘ジョイ。移民2世のティーンエイジャーで女性の恋人がいるジョイが、特に母親と繰り広げるすれ違いや摩擦は、誰にでも思い当たるようなリアルな感情をダイレクトに伝えていてフレッシュな魅力がある。ヨーとの母娘の対話には、思わずほろりとさせられるものも。

もう一つ、ジョイが本作で担っている役割には驚きも楽しみもあるのだが、ビジュアル面の変化も含めて、シューの個性全開のはじけた演技はインパクトがある。堂々とした風格すらある存在感にも、大物の予感!

『シャン・チー/テン・リングスの伝説』や人気ドラマ『マーベラス・ミセス・メイゼル』などで実績を積んできたシュー。オスカーノミネーションを追い風にして、彼女のキャリアはここからますます勢いに乗るはず。今から注目しておきたい。

  • 映画エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの写真、助演のステファニー・シュー

    『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』3月3日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 © 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

  • 映画エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの写真、ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、エリザベス・シュー

    『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』3月3日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 © 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

第95回アカデミー賞主演女優賞・助演女優賞ノミネート一覧

主演女優賞

ケイト・ブランシェット『TAR/ター』
アナ・デ・アルマス『ブロンド』
アンドレア・ライズボロー『To Leslie(原題)』
ミシェル・ウィリアムズ『フェイブルマンズ』
ミシェル・ヨー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

助演女優賞

アンジェラ・バセット『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
ホン・チャウ『ザ・ホエール』
ケリー・コンドン『イニシェリン島の精霊』
ジェイミリー・リー・カーティス『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
ステファニー・スー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

イラスト/ユリコフ・カワヒロ

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