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【料理家・長谷川あかりロングインタビュー】家でしか食べられない“特別ではないからこそ特別な味”。初連載「ご自愛ごはん」に込めた想い

【料理家・長谷川あかりロングインタビュー】家でしか食べられない“特別ではないからこそ特別な味”。初連載「ご自愛ごはん」に込めた想い

美味しいものを家で作って食べたいとき、頼りになるのがBAILA世代の料理家・長谷川あかりさんが手がける、大人気連載「長谷川あかりのご自愛ごはん」。何かと忙しい私たちが、「食べたい!」「作りたい!」と思える一皿が必ず見つかるのは、レシピがどれも長谷川さん自身の経験から生まれているから。

ちょっと勘違いされがちな、「ご自愛」の意味。実は、ご自愛=料理、ではなくて、楽しく食べられたなら、そのごはんはどれもみんな「ご自愛ごはん」。

長谷川さんがレシピ作りで大切にしているのは、簡単であること、手軽な材料で作れること。そして、作って食べた後に自分がうれしくなること。そのお手伝いをすべくスタートしたのが、長谷川さんはじめてのレシピ連載「ご自愛ごはん」。この連載に込めた想いを、連載開始から4年が経とうとしている今、語ってもらいました。手軽で美味しい、私たちに寄り添うあの一皿には、実はこんな気持ちが込められていたのです。

ミニトマトとスモークサーモンのパスタの料理写真

ミニトマトとスモークサーモンのパスタ

長谷川あかり

料理家・管理栄養士

長谷川あかり


料理家・管理栄養士。「なんでもない日を幸せにする、シンプルで豊かなごはん」をテーマにしたレシピで人気を集める。BAILAの連載「長谷川あかりのご自愛ごはん」はWEBと本誌で展開。WEBは2品献立を紹介し、本誌では「夜ごはんから次の日のお弁当までの3食のメニューがいっきに決まる」という親切な設計。著書に『わたしが整う、ご自愛ごはん』(集英社)、『クタクタな心と体をおいしく満たす いたわりごはん』(KADOKAWA)など。Podcast「長谷川あかりのシャニカマでごめんなさい」も毎週火曜に大好評配信中。

CONTENTS

  1. 「ご自愛ごはん」とはいったい何か?
  2. なぜ、連載「ご自愛ごはん」を続けているのか?
  3. レシピ作りで大切にしていること
  4. これからの「ご自愛ごはん」

「ご自愛ごはん」とはいったい何か?

「ご自愛ごはん」=料理、ではないのです。大切なのは、あくまで“ご自愛”のところ。料理は、自分がやりたいときに、楽しんでするもの。義務感に駆られてすることではなく、あくまで自分が心地いいからするものです。
だから、「今日はへとへとで、キッチンに立ちたくないなあ」と思ったら、好きなものを買って食べるのも、ご自愛ごはん。気軽にさっと外食するのも、ご自愛ごはん。必ずしも、体によさそうなものを選んで料理することだけが、ご自愛ごはんではないのです。

 

そうは言っても、外食続きだったりテイクアウトばかりだったりすると、自分の気持ちがなぜかしんどくなることもある。それもまた、面倒なことに忙しい私たちにとっては真実だったりするわけです。
なんでしょう。あの変な罪悪感。「味濃いものばっかり食べちゃったなあ」「野菜が足りてないなあ」「これ絶対、カロリー高いよなあ」なんて、自分がとても“乱れた食生活”を送っているような気がすると、気持ちがどんどん重くなる感覚。

 
「本当は料理をした方がいいんだよなあ」なんていう後ろめたい気持ちが1%でも残っていると、「やらなくてもいいんだよ!」の声って、その1%の「本当はやりたい」に引っかかって、届かなくなってしまう。自分が納得できなくなっちゃうんですよね。それなら、自分がすっきりするためにそのときにできる範囲で料理をしてみる。でも、あくまでそれは、自分の心を軽くするため。「これくらいなら、やれるかも」と、腰を上げるきっかけに私のレシピがなれたなら、とても嬉しいです。(長谷川さん、以下同)

ブロッコリーとさば缶の梅トマトスープの料理写真

ブロッコリーとさば缶の梅トマトスープ(書籍『わたしが整う、ご自愛ごはん』収録)

なぜ、連載「ご自愛ごはん」を続けているのか?

料理を仕事にしている私ですが、もちろん料理をしたくない日はあります。高校生の頃から料理を続けてきて、それはとても楽しいことだったはずなのに、驚くことに結婚した途端、それが変わってしまったんですよ。趣味で遊びの延長みたいだったものが、なんだか急に“義務”になり、一気にしんどいものになったんですね。誰に強制されたわけでもないのに。

 

食べること。それはどうしても、日々に必要なこと。

 

どうせ毎日のことであるなら、そこにはやっぱり、楽しさやちょっとした喜びがあった方がいい。「どんな味がするんだろう?」とか「見たことない組み合わせだな」とか、もはや「トマトの赤が可愛いすぎる」とかでもよくて。大きくなくてもちょっとしたワクワクがあれば、気が楽になって、「作ってもいいかも」と思えるんじゃないかな、と私は思っています。「ご自愛ごはん」の連載を続けている、そしてもっとずっと続けていきたいなと思っている理由は、「作ってみたいな」の気持ちをちょっとでも底上げしてもらえたら嬉しから。


正直、本当に作らなくてもいいんです。「作りたいなあ」と思うだけでも、それは料理に対する大きな一歩になっていると思うし、「あ、この食材ってこんな食べ方があるんだ」と気づいてもらうだけでもいい。レシピを眺めることで、「料理っていいかもしれない」と思ってもらえれば、実は充分だったりします。

 

小松菜と塩昆布のパスタ、レタスと卵の蒸しサラダの料理写真

小松菜と塩昆布のパスタ、レタスと卵の蒸しサラダ(書籍『わたしが整う、ご自愛ごはん』収録)

個人的な話になりますが、私が料理を好きになったのは、ちょっと将来に悩んでいるときでした。「うまくいかないな」と自信をなくしていたとき、レシピ通りに作れば、美味しいものが目の前に現れるという、料理のシンプルさに救われたんですね。

 

包丁で食材を切る感覚、湯気の匂い、やわらかく煮えた野菜。単純だけれど、そういうものを一つひとつ感じていくことが、セルフメディテーション的に効いたというか。

 

料理は、しなければいけないものではありません。でも、やってみるとなかなかいいこともある。「ご自愛ごはん」の連載を通して、そんなことをちょっとでも感じていただけたらな、と思っています。

ピーマンをみじん切りにしている様子

レシピ作りで大切にしていること

心がけているのは、フローチャートにしたときに一直線に進んでいけるようなレシピ。できるだけ、フライパンを使うならそれ一つで最後まで。手順も洗いものも可能な限り少なく、そして、食材はいつものスーパーで買えるもので、こちらもできるだけ少なくてすむように。とくに疲れているときは、材料のところに文字がたくさん並んでいるだけで、「ムリ!」となるのは私も同じだからです。ときどき、クリームチーズやクミンなどの「え、それ買わなきゃダメ?」というちょっとだけ変化球な食材もあるけれど……それは、買っていただければ私のレシピでは頻出するので、ちゃんと使い切って無駄にならないはず……!

カニかまと鶏ひき肉、キャベツの即席粥の料理写真

カニかまと鶏ひき肉、キャベツの即席粥

そして、“特別ではないから特別な味”。実は「ご自愛ごはん」らしさって、そこかもしれないな、と思っています。
自分で料理をすること。そこで得られるいちばんいいことって、「お店では食べられない味」を作れることなんですよね。美味しいものは、外に出ればたくさんある。


でも、「家で食べたいな」って思うときって、ちょっと疲れているときだったりもします。そういうときって、ひと口めでバーンと美味しい料理だと、少し疲れてしまう。外の美味しい料理って、自分も体力がないとしっかり向き合えないところがあります。


でも、「ご自愛ごはん」で紹介しているレシピは、じわっと美味しいもの。中には冷たいものもあるけれど、基本的にはなんとなく温かくてとろみのある料理が多いです。口の中に入れたときに、ほかほかしていて、やわらかい。お店では食べられないやさしい味が、「ご自愛ごはん」らしさなんです。たとえば、「豚と大根の香味あんかけごはん」なんて、外じゃきっと食べられないと思うんですよ。パンチが弱くてお店のメニューにはなりにくい(笑)。だからお金を払っても、きっと食べられない。でも、そのじわっと広がるやさしい味が、疲れている自分を救ってくれると思うんです。

 

鶏むね肉とトマトの出汁煮の料理写真

鶏むね肉とトマトの出汁煮

加えて大切にしているのは、気持ちが上がるもの。でき上がったときに、「こんなの作れちゃった!」と嬉しくなるもの。なんなら、写真に撮ってSNSにアップしたくなるようなもの。「鶏むね肉とトマトの出汁煮」は、丸ごとトマトを使うことでなんだか粋な和食屋さんみたいな気分に。ちょっと面倒でも、大葉の千切りをのせてみる。それで「わ、可愛い!」となれば、そのひと手間のパフォーマンスはムダではないわけなんですよ。

自分のために作るのが、ご自愛ごはん。それを作れた自分を好きになれるのもまた、ご自愛ごはんなのでは?とも考えているのです。

これからの「ご自愛ごはん」

料理家長谷川あかりさんがマグカップを持って微笑んでいる様子

食べることは、楽しいこと。そして、食べたいものを自分で作れることも、楽しいこと。作りたい日も、作りたくない日も、どうしていいかわからない日も、それぞれが自分の意思で「これを選んだ」と思ったものを食べられたなら、それで充分、最高だと思っています。
そして、家で料理をしてみたいなと思ったとき、「ご自愛ごはん」をちょっとのぞいてくれたら光栄です。

疲れているときにも「これなら食べたい」と思えて、頑張らなくてもちゃんと美味しく作れる。そしてでき上がったら、「私、けっこうやるなあ」と得意な気分になれて、食べ終わったら「私って料理上手だな」とちょっと胸を張れるような。そんなレシピをこれからも、コツコツ増やしていきたいと思っています。


連載を始めてからもうすぐ4年。レシピもどんどん増えてきました。まだまだ、連載は続きます。私もきっと、料理が面倒になったり、「今日はもう、テイクアウト!」という日がこれから何度も来るはずです。そんなときでも「これなら、今日は作ってみたいかも」と思えるようなレシピを、考えていきたいなと思っています。

出演・調理/長谷川あかり 撮影/須藤敬一 スタイリング/中里真理子 取材・文/福山雅美

長谷川あかりレシピ本『わたしが整う、ご自愛ごはん』 大好評発売中

大ヒットレシピをすべて収録、新作レシピもたっぷり加えて再構成。忙しく働く人々の毎日に寄り添う2つのチャプターでお届け。


 

長谷川あかりのご自愛ごはん書籍の書影

『わたしが整う、ご自愛ごはん 仕事終わりでもサッと作れて、じんわり美味しいレシピ 30days』/¥1650(税込み)

本の購入はこちら

長谷川あかり冠ポッドキャスト番組『長谷川あかりのシャニカマでごめんなさい』

料理家の長谷川あかり(と十五年来の後輩兼担当編集ぴら)、リスナーのみなさんによる雑談番組。おいしいものが大好きであるがゆえについ気になってしまう”シャニカマ”について、ゆる〜くおしゃべりします!Have a ご自愛 day〜♡

長谷川あかりのシャニカマでごめんなさいメインビジュアル

©集英社/ery

\ポッドキャストを聴く/

長谷川あかりのシャニカマでごめんなさい

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