職場は自分の時間の多くを割いて過ごす場所。ともに働く同僚ともお互いによきチームメンバーとして関われたら、余計なストレスを感じることなく、働きやすくなるはず。チームワークについて、バイラ読者のリアルな現状と本音について聞いてみました。
サイボウズ チームワーク総研
なかむらアサミさん
2006年サイボウズに中途入社。人事、広報、ブランディングを経てチームワーク総研に参画し、現在はシニアコンサルタント。グループワークや講演活動を通して、幅広い層にチームワーク術を伝えている。
【DATA1】チームで働いたことがある
ある 87%
チーム構成は所属部署に一致 79%
チームメンバーに10歳以上の年齢差 59%
ほとんどがチームで働いた経験あり。会社勤めなら所属部署=チームという人が多く、年齢やジェンダーの違いによる考え方や経験差に戸惑うことも。チームに貢献したいと思いつつ、個々人のやる気にゆだねられるだけ、という現状にモヤモヤを抱える人も少なくない。
上下関係があるのでフランクに接しづらい(29歳・事務)
スキルレベルに差がある(42歳・IT)
自分の経験値の低さが気になる(37歳・販売)
解説)「チーム」の定義は目標を達成するための集団
「似ているようで異なるのがチームとグループ。その違いは達成するべき理想や目標があるか、ないか。たまたま同じ場所に居合わせた人たちをひとくくりにしただけでもグループは作れますが、チームは共通する目標を達成するための集団です。また、チームは絆を誓い合う集団でもありません。ともに目標に向かいながらチーム内に絆が生まれたとしても、それはプロセスを経た結果にすぎません。チームワークは精神論ではないですし、チームとは、あくまでも理想や目標を達成するために力を合わせる集団なのです」(なかむらさん)
【DATA2】チームで働くことは得意? 苦手?
「チームで働く」ことが得意派と苦手派、ほぼ半々という結果に。苦手派は意外に同じような人がいて、ホッとしたかも? どちらにしても、働く以上はチームの一員になる可能性が高いなら、上手にサバイブするコツを身につけたいもの。
〈得意な人の意見〉
人の意見を聞いたりまとめるのが得意(42歳・商社)
勉強や成長につながるから(35歳・製造業)
人とかかわることが好き(32歳・看護師)
〈苦手な人の意見〉
メンバーとの温度差や仕事配分に悩む(35歳・製造業)
周囲に気をつかいすぎてしんどい(37歳・公務員)
人と話すことがストレス(31歳・IT)
解説) チームワークが得意派はこんなことに注意➡自分の成功体験にこだわりすぎないこと
チームワークが苦手派はこう発想を転換してみて➡チームワークから自分が得るものに価値を見いだす
「チームは仲よしクラブではないので、苦手意識があっても『自分にとってのチームで働く意味と価値』を見いだせれば、チームの一員としてモチベーションを持って取り組めるはず。チームで働くのが得意と自負する人も、どこでも自分のやり方が通用するとは限りません。成功体験にこだわりすぎないように、少しだけ気をつけて。リーダーは、各メンバーの様子を把握しつつ、目標に対する目線合わせを言語化し、チームがうまく動くように配慮できるとよいとされています」(なかむらさん)
【DATA3】チームワークをどう学ぶ?
会社の研修で学んだ 18%
実際に働きながら学んだ 56%
チームワークについて、研修などで学んだ経験を持つ人は少数派。多くはほうり込まれた現場で実践で学んでいる状況。とはいえチームワークとは、長時間学ぶ技術でもないそう。下の「5つの基本」がチームワークを俯瞰した視点で見るためのヒントになるはず。あらためて自分のチームワーク像をとらえ直してみて。
解説)「チームワーク」は5つの基本+実践で回る
1 理想をつくる
2 役割分担
3 コミュニケーション
4 情報共有
5 モチベーション
「リーダーが目的を実現させたい理由や想いをメンバーにしっかり伝えて、共感を得ることからいいチーム作りがスタートします。共感を得られなければ何か問題があるはず。そこをクリアにしないと前に進みません。次に役割分担を明確にし、忌憚のない議論ができる環境を整え、情報を共有して皆で仕事の進め方を決める。すると、メンバー全員が納得感を得られてモチベーションアップにつながります。チーム内で個々人の理想や不得意な部分も共有すると、配慮や共感が生まれ、より強いチームになります」(なかむらさん)
【DATA4】チームメンバーとの関わり方は
雑談をする 60%
食事会をする 26%
仕事の悩みを相談する 20%
チームワークが苦手な人も、雑談や食事会など、コミュニケーションを図る努力をしている。ただし、ダラダラしたおしゃべりや飲み会は、建設的な結果につながりにくいので、多少ドライでも時間を区切り、意識的な交流を心がけたほうがいいケースもありそう。
解説)仲よくなることが目的ではないけれど発言しやすいムードの醸成を
「無理に仲よくしたり、合わせたりするのがチームの目的ではないので、メンバーとはゴールの共有と共感さえできていれば大丈夫。ただ、たとえば目的に向かう道筋が異なったら『そういう行き方もあると発見があった!』と伝えてもいいと思います。また、ちょっとしたことでも『ありがとう』と伝えてほしいですね。『ありがとう』と言われて嫌な気持ちになる人はいませんから。定例会議前に10分程度のアイドリングタイムを設け、雑談で空気をほぐすのもおすすめ。チームのムードの向上に役立ちます」(なかむらさん)
【DATA5】バイラ読者がチームで働いて“よかった”こと
チームメンバーから感謝されるとやっていてよかったと思う(39歳・広告)
自分の専門分野だけでは視野が狭くなっていたことに気がつき、もっといい方法が見つかって順調に進んだ(32歳・研究職)
目標になるような仕事をする先輩を間近で見られたこと(42歳・IT)
個人的な仕事であっても、同僚や先輩とチーム感があると、一人じゃないと感じることができて、ストレスが軽減される(31歳・公務員)
チーム内に共通認識があるから、忙しいときに仕事を割り振れる(33歳・コンサルタント)
自分が経験していないことや、苦手なことができる人と一緒に働くと「見て学ぶ」ことができる(33歳・自営業)
悩みは尽きないけれど、やはり、目的を達成したり、自分がチームに貢献できたと実感できたりすると、「このチームで働いてよかった!」と前向きな気持ちになれる。チームで働くことで新たな学びを得て、自分自身の成長につながれば、やる気もきっとキープできる!
撮影/伊藤奈穂美 取材・原文/中沢明子 協力/すみっコぐらし ©2023 SAN-X CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.すみっコぐらしとは、すみっこにいるとなぜか“おちつく”、ちょっぴりネガティブで個性的なキャラクター。 ※BAILA2023年6月号掲載