スカーフがこの秋またトレンドになっている。クラシカルな70年代のレディスタイルへの回帰、90年代を思わせる大胆なプリントのブーム、そしてここ数年冷めやらぬヴィンテージテイストへの憧れ……などなど、古き良き時代の空気を気軽に取り入れるのにぴったりの小物なのは間違いない。というより、スカーフがトレンドじゃない時代なんて、もしかしたら数えるほど少ないのでは? 改めてそう思わせるほど、一枚の存在感がファッションの空気を物語る力を持っている。
ディオールのアーカイブから蘇った「ディオール オブリーグ」パターンをシルクツイルのスカーフに。スカーフ(W90cmXH90cm)¥62,000/クリスチャン ディオール(ディオール)
時代とともにトレンドは変わり、メゾンのデザイナーも交代する。洋服はちょっとしたシルエットの変化で流行遅れになってしまうものもあるけれど、スカーフはといえば、四角い一枚の布の中に、時代の空気と、タイムレスなメゾンの哲学のようなものが両立していて、その魅力が色あせない。しかも大きく主張することなく、身に着ける人の工夫で様々な表情を見せてくれるから、いくつになっても、どんなシーンでも楽しめる。30代は、この先トレンドが巡ってくるたび「あの時買っておいてよかった」と思うスカーフを手に入れるのにいいタイミング。憧れのブランドの”いい時代”を、気軽にクロゼットに加えてみよう、きっと将来の楽しみが増えるはず。
【select point】
長く、自分らしく使い続けたい、プリントスカーフの名品5
知っているとさらに愛着がわく、人気ブランドのヒストリー【ヴァレンティノ】
メゾン ヴァレンティノは1960年、伝説的なファッションデザイナー、ヴァレンティノ・ガラヴァーニとビジネスパートナーであるジャンカルロ・ジャンメッティにより設立。芸術品のようなドレスや、ヴァレンティノを象徴する鮮烈な赤”ヴァレンティノ・レッド”など、ラグジュアリーでエレガントなデザインを次々と発表し、世界の社交界やファッショニスタたちが熱烈に支持された。2008年にヴァレンティノ・ガラヴァーニはデザイナーを引退。クリエイティブ ディレクター、マリア・グラツィア・キウリとピエールパオロ・ピッチョーリへとバトンが渡され、華麗な世界観を見事に引き継ぎ、成功を納めた。2016年、ブランドに17年在籍したマリア・グラツィア・キウリは、8年間務めた共同クリエイティブ ディレクターを退任し、ディオール初の女性アーティスティックディレクターに就任する。これを受け、ヴァレンティノは単独クリエイティブ ディレクターとしてピエールパオロ・ピッチョーリを指名、現在に至る。
アンダーカバーとコラボレーションした2019年秋冬コレクションのスカーフ。スカーフ(W90cmXH90cm)¥53,000/ヴァレンティノ インフォメーションデスク(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)
ロマンティックで愛に満ちたイメージと、それを具現化する芸術品とまで評されるクリエイション、ふたつが融合したヴァレンティノのファッションアイテムは、いつかは自分のものに、と憧れる存在であり、ひとたび手にすれば、一生をかけて大切にしたくなる。2019年秋冬のコレクションは、クリエイティブ・ディレクターのピエール・パオロ・ピッチョーリが、親交の深いアンダーカバーのデザイナー、高橋盾にグラフィックを依頼して完成したコラボレーション。愛し合う恋人たちの姿や情熱的な薔薇、愛を象徴するバタフライなど、アーティスティックな感性があふれたアイテムが揃う。
同コレクションのランウェイでは、大胆なプリントドレスも登場。