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【読者のお悩みQ&A】仕事、婚活、夫、将来...バイラ読者の悩みに姜尚中さんが回答!

バイラ読者にアンケートを実施。仕事、友達、将来などで、悩んでいること、疑問に思うことを教えてもらいました。読者の問いに、政治学者の姜尚中さんはどうこたえるのか!?

目次

  1. 1.仕事のモチベーション
  2. 2.母になる覚悟
  3. 3.婚活が苦しい
  4. 4.親との確執
  5. 5.友人との溝
  6. 6.夫への不満
  7. 7.政治への不信
  8. 8.将来への不安

1.仕事のモチベーション

〈お悩み〉単調な繰り返しの毎日で、仕事にモチベーションがもてません(A・34歳・卸売業)

職場や仕事に何の不満もありません。ただこのまま10年20年と同じことをやって年を取っていくのかなという漠然とした不安があります。キャリアアップのための資格なども特にない仕事です。昔は夢を持って生きていましたが、今は仕事へのモチベーションをもてません。生き生きと仕事をしている人たちがうらやましいです。

仕事を通じてしか自己実現ができないというのは間違いです──姜

仕事を通じてしか自己実現ができないというのは間違いです──姜

読者のアンケート結果を見ると、Aさんと同じような悩みを抱えている人は少なくありませんでした。

「就職難でやっと得た正社員の職というだけで何も楽しくない」「好きな仕事ではないので、惰性でこなしているだけ」など、仕事にモチベーションをもてないことに苦痛を感じているようでした。

これはもうシンプルに頭を切り替えればいいと思います。仕事にモチベーションがもてないのであれば、仕事以外のところに生きがいを見つけ出せばいいということです。好きなことを続けるには、自由に使えるお金が必要ですから、あなたにとって、仕事は大事なものになってくるはずです。

もちろん一日のうちで仕事をしている時間は長いので、その時間がつまらないより、楽しいほうがいいに決まっていますし、生きがいを感じながら仕事ができるのは、素晴らしいことです。

ただ、生きる上で大切なのは、自己実現であって、それが仕事を通じてしかできないという考え方は、僕は違うと思います。ある人は、趣味を通じて、またある人は、子育てを通して自己実現を果たすかもしれません。それは人それぞれです。中には、はなから仕事にやりがいは求めず、むしろ「趣味を充実させたいから、とにかく定時に終わる仕事がいい」と割り切って考えている人もいますが、それは悪いことではないのです。

仕事というと、使命感と結びつけたり、何か神聖なものだという思いが、特に古い世代にはまだ残っています。しかし「働かざるもの、食うべからず」という近代という時代を経て、豊かになった今、働く意味も変わってこざるをえません。仕事に人生をかけるような生き方より、仕事による身体的・精神的な制約を避ける人が増えるのは当然でしょう。

ですから、充実した仕事をしている人が偉くて、仕事をビジネスとしてこなしている人はつまらない──というような思い込みは捨てたほうがいいと思います。Aさんも自分自身を必要以上に卑下することはないのです。

ただ、その上で、仕事に生きがいを見いだしたいということであれば、転職をするというのもひとつの手です。そのときに、大切にしてほしいのは、社会的な評価とは関係なく、自分の内側から価値を見いだせるような仕事を選んでほしいということです。お金がもうかるとか、華やかで人からうらやましがられるといった快・不快で仕事を選ぶのではなく、自分の人格と深く結びついた仕事に出会えたとき、Aさんもやりがいを感じることができるようになるのではないか。そんなふうに思います。

【姜尚中さんが回答!】仕事についてのお悩みを詳しくチェックする!

2.母になる覚悟

〈お悩み〉母になる決心がつきません。私に育てられるだろうかと、心配になってしまいます(N・30歳・独立行政法人)

30になった! 結婚して1年たった! 育休も3年とれる! の好条件が三部作なのにいまだに母になる勇気が出ません。私にちゃんと育てられるだろうかと心配になります。仕事柄、事件を起こした、引きこもりになる子どもたちも見てきたので自分の中で、子どもを持つことへのハードルが高くなっているような気がします。

母親になる覚悟は妊娠、出産を通してできてくるものです──姜

母親になる覚悟は妊娠、出産を通してできてくるものです──姜

今の時代、子どもを育てることは勇気のいることですよね。犯罪に巻き込まれないか、引きこもりにならないだろうか、虐待などせず、育てられるだろうか。悩みは尽きないと思います。

でも、母になる覚悟というものは、妊娠や出産を経て、次第にできてくるものだと思います。わが子を抱いて母性や父性が芽生える人もいます。小さい命を「守りたい」という強い気持ちが親としての自覚を目覚めさせるのです。

また、Nさんの夫は、子どもを望んでいるのでしょうか。産む、産まないの最終判断は、女性が決めるものだと思いますが、子育てには、父親も関わります。相手の意見を聞くことで、Nさんの不安も解消されるかもしれません。一度よく話してみてください。


いずれにしてもここまで考えている時点で、Nさんはすでに母になる準備ができていると思います。だから未来のことをあまり心配しすぎないで。ときにはケセラセラの精神も必要です。

【姜尚中さんが回答!】母になる覚悟についてのお悩みを詳しくチェックする!

3.婚活が苦しい

〈お悩み〉品定めするような視線に傷つくことも。婚活するたびに、メンタルがやられます(J・29歳・サービス業)

婚活をすればするほど、鬱々とした気分になります。相手からは品定めするような視線を向けられ、数回デートしてもなあなあのままフェードアウトするような薄い関係性、楽しい瞬間はあるけど傷つくことのほうが多く、心が疲れます。最近はマッチングアプリにも登録しましたが、不安もあり、なかなか一歩踏み出せません。

一度、立ち止まって自分が結婚に求めるものは何か、よく考えて──姜

一度、立ち止まって自分が結婚に求めるものは何か、よく考えて──姜

「婚活」という言葉は、近年、よく耳にします。いかにもどこかの広告代理店が考えそうな言葉ですが、「婚活」と呼ぶことで、飲み会などにもカジュアルな気持ちで、参加できるのかもしれませんね。

ただ、婚活で実際にやっていることは、Jさんの言うように、ある意味、「品定め」です。相手の年収はいくらなのか、気づかいのできる人か、趣味は何か。そして自分が相手を品定めしているのと同様に、自分も相手から品定めされ、自分の価値を評価されます。これは想像以上に精神的なダメージが大きいでしょう。

また、上野さんとの対談にも出てきましたが、そもそも結婚は因習的なもので、それゆえに「何歳までに結婚しなければならない」というようなことが、私たちの頭には、刷り込まれています。だから人の目が気になるし、非常に焦るわけです。特に女性は、子どもを産むことを考えると、やはり年齢を意識せざるをえません。

しかし婚活でメンタルを削られているのであれば、やはりJさんは、一度、立ち止まったほうがいいと思います。そしてあらためて、自分が結婚に何を求めているのか、よく考えてみてください。ここが明確ではないと、相手を選ぶときに多くを求めすぎたり、ブレたりして、うまくいきません。ひと休みしている間、自分の結婚観をあらためて見直してみてください。

またマッチングアプリについては、僕はかならずしも悪いものとは思いません。かつてであれば、おせっかいな「お見合いおばさん」がいましたが、今はその代わりを業者やアプリが担っているわけです。マッチングアプリのほうが気楽に出会えるということであれば、利用すればいい。ただ、やはりリスクがありますから、そのへんは充分、注意してください。

【姜尚中さんが回答!】婚活についてのお悩みを詳しくチェックする!

4.親との確執

〈お悩み〉親に祖母の介護をさせられています。仕事にも行けず、つらい毎日を送っています(T・29歳・家事手伝い)

高校卒業後、畑仕事や家事するかたわら、祖母の介護をしてきました。おむつ交換やお風呂など、とても大変ですが、家族はほとんど手伝ってくれません。それどころか親は、「あんたは、そのくらいの仕事しかできないから」と介護を押しつけた上にバカにします。祖母のことは好きですが、外に働きに行くこともできず、正直つらいです。

親の意見は気にせず自分を第一に考えてすぐ家を出たほうがい──姜

親の意見は気にせず自分を第一に考えてすぐ家を出たほうがい──姜

アンケートからは、Tさんの悲痛な思いが伝わってきます。両親からは介護要員として見なされ、家族の中で、自分だけが就職もせず、祖母の面倒を任されて、自身の可能性を奪われた状態です。

最近は、若くして家族の介護を担う「ヤングケアラー」が問題となっていますが、Tさんはまさにヤングケアラーだと思いますし、また支配的な両親から精神的に虐待も受けているようです。流行りの言葉で言えば、「毒親」ということになるのでしょう。このまま何も行動を起こさなければ、10年20年と同じ状態が続き、Tさんの人生は完全にスポイルされてしまうことになると思います。

これは僕のアドバイスは、はっきりしています。Tさんは早く家を出なさい、ということです。「いや、そんなことをしたら、祖母の面倒を見る人がいなくなる」と責任感の強いTさんは思うかもしれません。両親からも「ひどい娘だ」とののしられるかもしれません。しかしそのように罪悪感を感じさせるところに家族としての病があります。

本来、子どもが幸せであることが、親にとっての幸せであり、祖父母にとっての幸せでもあるはずです。しかしそうなっていないところに問題があるわけです。だから親がどう思うかということは考えなくていいので、まずは自分がどうしたら幸せになるかを第一に考えてほしい。それが親にとっての幸せになるはずだと信じて、自分の道を歩んでほしいのです。

ただ、親からの支配に慣れてしまったTさんが、自立するのは簡単ではないと思います。支配されることに慣れてしまった、Tさんと両親は、ある意味、共依存関係にあったと思いますから。しかしいつか両親は亡くなり、Tさんは一人になります。そのときに後悔することのないように、一刻も早く、自立の道を探ってください。

【姜尚中さんが回答!】親との確執についてのお悩みを詳しくチェックする!

5.友人との溝

〈お悩み〉友人との収入格差や金銭感覚の違いが、コロナ禍で鮮明に(H・30歳・医療事務)

同級生の仲よしの友人がいます。以前から彼女の収入のほうが上でしたが、コロナ禍で、私は残業代や賞与がカットされ、収入格差が顕著に。外食の際、友人は、ホテルのビュッフェなど高級店に行きたがりますが、私は現在の収入ではとてもしんどいです。「予定が合わない」と噓を言って断りましたが、今後もこれが続くとつらいです。

二人の溝は、コロナがなくてもいつかあらわになったと思います──姜

二人の溝は、コロナがなくてもいつかあらわになったと思います──姜

コロナ禍は、私たちのこれまでの暮らしを激変させましたが、そのひとつが人間関係でした。「緊急事態宣言中に友達と会わなくなり、疎遠になってしまった」「コロナ禍の間に出産した友達も多く、人生のステージが違ってしまった」「看護師のため、家と病院との往復の毎日だが、SNSを見たら友達は好きなライブで他県に遠征していて、むなしくなった」といった悩みがありました。

Hさんもそうですよね。コロナ禍で友人との間の収入格差や金銭感覚の違いがあらわになってしまったわけです。その上、彼女は医療従事者です。この2年、大変な毎日だったにもかかわらず、自分の収入のほうが低いことに対するいらだちもあったでしょう。同級生で、趣味も同じで、これまで微々たるものだった差異が、極端に目に見えるかたちで現れてきたのです。そのトリガーになったのがコロナ禍でした。

それはあたかもコロナ禍によって、社会に隠されていた問題がドラスティックに顕在化したのと同じです。新刊『それでも生きていく』でも触れましたが、「緊急事態は常態を照らし出す」という言葉があります。危機的状況によって、あぶり出されるのは、すでにそこにあった問題なのです。

つまりHさんが友人との間に感じる溝も、実はコロナ以前から二人の間に横たわっていたもので、コロナがなかったとしてもきっといつか自覚化されることになっただろうと思います。

本来、言いたいことがなんでも言えるのが理想的な友人関係です。しかしHさんは思っていることが言えないし、友人は、Hさんのそんな気持ちに気づかない。趣味の話には花が咲いたとしても苦しい胸の内を明かしたり、お互いを思いやったりすることがない二人の関係は、果たして、本当のフレンドシップといえるのか。コロナ禍は、そんなそもそも論を考える絶好の機会なのかもしれません。

友人関係は、人間関係の中で、最も自由度が高い関係です。血縁関係のように血のつながりもなければ、男女関係のように肉体のつながりもありません。上司と部下のようなしがらみもない。だから自由に縁を切っていいし、またいつ再開してもいい。「結婚したら疎遠になってしまった」などという話をよく聞きますが、友達とはそういうものなのです。

そしてその関係性が個人の自由に任されている分、友人関係にはその人の人間性が現れます。ですからHさんがどうすればいいかは、まさにHさん次第で、きっとその決断には、自身の本質が現れるだろうと思います。

【姜尚中さんが回答!】友人との溝についてのお悩みを詳しくチェックする!

6.夫への不満

〈お悩み〉在宅勤務で夫と一緒の時間が増えたのですが、相手の行動にイラッとくることが増えました(S・36歳・メーカー)

結婚3年目です。二人とも在宅ワークが増えましたが、家が狭くて気づまりです。また、家にいると食事の支度など、家事はいつも私。その間、夫はゲームをしています。イラッとしますが、所詮こんなものとあきらめています。夫とはお見合い結婚で、さほど好きでもなく結婚したのですが、会話も少なく、どんどん溝が深まっています。

二人の溝は、コロナがなくてもいつかあらわになったと思います──姜

夫婦の関係は、常に絶えざる形成の途上にあるのです──姜

「結婚は人生の墓場だ」というのは、フランスの詩人ボードレールの言葉です。もとの意味とは違い、日本では結婚を否定的にとらえる言葉として知られていますが、なぜ結婚が墓場かというと、結婚すれば一件落着と思って、お互いを思いやったり、二人の関係をうまくつくっていこうという意識が薄れるからだと思います。

しかし夫婦の関係というのは、その時々によって、絶えず変容していくものです。結婚当初と3年後では、また違いますし、子どもができて、運命共同体となったときも、ひとつ違うステージへと変わります。さらに子どもが巣立ち、再び「おふたりさま」になったときには、これまでとは、また違う結びつきとなります。血のつながりがない二人の関係は、常に絶えざる形成の途上にあるのです。

しかしSさんの悩みをみると、結婚して数年で、自分と夫の関係を「これ以上、変わりっこない」と見限っているところがあります。これでは、二人の間の溝はどんどん大きくなるだけです。

大切なことは「所詮こんなもの」というようなシニカルな考えを捨てることです。そしてよりよい関係をつくるために、「自分はこうしたい」「こういう関係性を築きたい」と話し合ってください。

Sさんは「この人でなければならない」ということで、結婚したわけではないようですが、一緒に暮らすなかで、「この人でなければならない」関係になることもあります。月並みですが、お互いの努力があって、夫婦関係は初めて成り立ちます。相手に求めることがあるのなら、言葉にして伝える手間を惜しんではならないと思います。

【姜尚中さんが回答!】夫についてのお悩みを詳しくチェックする!

7.政治への不信

〈お悩み〉劣化する日本の政治を変えたいけれど、何から始めればいいのか、わかりません(K・33歳・メーカー)

今やすっかり貧しい国となった日本。格差も広がるばかりです。しかし政治家は、問題を直視しようとせず、私利私欲に走るばかり。現状を変えたいと思いますが、私には政治の知識はありません。社会を変えるにはどうしたらいいのでしょうか。また知識や情報を得るとき、気をつけたほうがいいのはどんなことですか。

まずは自分にとって最も切実な問題から取り組んでみてください──姜

まずは自分にとって最も切実な問題から取り組んでみてください──姜

僕がおすすめしたいのは、自分にとっていちばん切実な問題から始めてみるということです。たとえばKさんに子どもがいるなら、保育園の問題を考えてみる。地域の待機児童の数を調べるだけでも色々なことがわかってきます。政治というのは何か特別なものではありません。いきなり天下国家を語るより、身近な問題から考えることで、より自分の価値観を反映させることができると思います。

それから情報の見分け方ですが、大切なことがひとつあって、それは、右にしろ、左にしろ、極端なことを言うメディアや人には警戒が必要だということです。人の気持ちをあおり、扇動していくようなメディアは、客観的な視点が欠けています。インターネット空間では、さらにその傾向が強くなり、あらゆる感情が増幅されます。

一方、新聞は「新聞紙」という物理的なものを俯瞰して第三者的な視点が定まってくるというメリットがあり、古いメディアですが、情報を整理する上で、とても有効なメディアだと僕は考えています。また、自著『それでも生きていく』もおすすめです。これを読めば、今世界で起きていることについて、より理解が深まるはずです。機会があれば、ぜひ手に取ってみてください。

【姜尚中さんが回答!】将来についてのお悩みを詳しくチェックする!

8.将来への不安

〈お悩み〉お金、結婚、介護…。自分の将来を考えると憂うつで夜も眠れません(M・32歳・派遣)

非正規社員として働いていますが、薄給なため、貯金はできないし、この不景気では、いつクビになってもおかしくありません。結婚もまだなので、このまま一生一人だったらどうしよう……と考えると鬱々とした気分になります。お金もない上に、一人で両親の介護を担うことを考えると、ぞっとして夜も眠れなくなります。

まずは自分にとって最も切実な問題から取り組んでみてください──姜

人間関係の幅を広げて社会関係資本を豊かにすることを心がけて──姜

「将来が不安」という声は、アンケートでも多数ありました。その原因は、ネオリベ(新自由主義)的な政治によって、「公」の部分が削られたことだと思っています。

雇用にしろ、介護にしろ、本来、政治が解決しなければならない問題です。ところが今の世の中は、「公助」が担うべきことを「自助」の領域に転嫁しているところに大きな不幸があります。また私たちの中にも人に頼らないことを美徳とする考えが浸透していて、貧困や介護は自己責任でやるべきことだと感じています。そこに生きづらさの正体があります。

これを変えるには、もっと「公助」を充実させるような政治をつくっていくことが必要ですが、それには、かなり時間がかかります。その間に個別的にできることがあるとしたら、「社会関係資本をより豊かにすること」、これに尽きます。

社会関係資本というのは、人と人との助け合いのネットワークのことです。緊急時にそうしたネットワークが提供してくれる食糧や医療、人脈は、お金と同等の価値がありますから、困っている人の救いになってくれるはずです。

ですからMさんも地域活動に参加するとか、趣味のサークルに参加するなどして、人間関係をどんどん広げていってほしい。社会との結びつきを強固にすることで、将来への不安も軽減されるはずです。

とはいえ、どんなに備えても未来はコントロールできるものではありません。たとえお金持ちと結婚したとしても、この時代、夫の商売が破綻する可能性もあります。

しかし、状況が悪くなっても苦しみや悲しみを受け入れて、自分という器を大きく、深くしていったときに、初めてリスクに左右されない何かが手に入るのです。そして自らのパーソナリティを強くすることで、私たちは不確実性に伴う不安を抱きしめて生きていけるのだと思います。

【姜尚中さんが回答!】政治についてのお悩みを詳しくチェックする!
『それでも生きていく 不安社会を読み解く知のことば』  姜尚中著  集英社 1650円 1月26日(水)発売

1月26日(水)発売!『それでも生きていく 不安社会を読み解く知のことば』 
1月下旬に上梓される本書は、2010年から2021年まで、女性誌で連載されていた姜さんの人気連載をまとめたもの。この間、東日本大震災、中国の台頭、トランプ大統領の誕生、新型コロナウイルスのパンデミック……と、世界も日本も揺れに揺れた。そんな不安社会の構造を姜さんが読み解き、苦しみや悲しみを乗り越えて生きていく術を示してくれる、現代の救済の書。劣化する日本の政治、変わりゆく知のカタチ、ジェンダーをめぐる攻防、問われる人間の価値、不透明な時代の幸福論とテーマも刺激的で、知的好奇心が満たされること間違いなし!!

『それでも生きていく 不安社会を読み解く知のことば』 
姜尚中著  
集英社 1650円

姜尚中(かんさんじゅん)

姜尚中(かんさんじゅん)


1950年、熊本県生まれ。東京大学名誉教授。長崎県鎮西学院学院長。熊本県立劇場館長。専門は政治学・政治思想史。著書に『悩む力』『漱石のことば』『母―オモニ―』『トーキョー・ストレンジャー』など多数。

撮影/渡部 伸 取材・原文/佐藤裕美 ※BAILA2022年2月号掲載

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