30歳、34歳、40歳の女性3人の性や結婚観を描き話題沸騰の@BAILAオリジナル漫画『したい、されたい、したくない〜働くわたしの性事情~』の作者キョウ子先生にインタビュー! @BAILA読者へのアンケートや自身や知人の実体験などを通し描かれるリアルなセリフや、エピソードが生まれた秘話にせまります!
絶対におもしろいものになるという手応えがありました
ーー『したい、されたい、したくない〜働くわたしの性事情〜』が生まれたキッカケを教えてください。
「性をテーマに新連載を」とBAILAさんから依頼がありました。もともと女性誌が好きで読んでいたので、すごく光栄なことで嬉しかったですね。マンガMeeの編集さんを通しての依頼でしたが、ふたつ返事で「絶対にやります!」と言った記憶があります(笑)。
BAILA編集部の方とお会いしたときにものすごく話が盛り上がって。編集さん方の恋愛遍歴を聞いて取材をさせていただいたり、充実した時間を過ごせたりしたことで“これは絶対に楽しくおもしろいものを作れる!”と思えました。
ーーそこからすぐに3人の主人公がいて……というような大枠も決まったのでしょうか。
この作品は大好きだった米国ドラマの『フレンズ』をモチーフにしているんです。最初に編集さんにネームを出した段階では、『フレンズ』で描かれるカフェで明るく下ネタを話してる様子に近いものを描いていましたね。そのドラマは男女が3:3なので、今回の「したい、されたい、したくない〜働くわたしの性事情〜」もペアの男の子と含めて6人のキャラ構成にして。
あと“年齢によって変わる悩みも描きたいよね”ということで、BAILA編集部とも話し合って、30歳、34歳、40歳の3人の女性を出すことにしました。
ーーキャラクター作りをする上でヒントになったことはありますか?
連載前にBAILAの読者の方々にアンケートをとらせていただいたんですが、その結果はかなり参考になりました。
“セックスについて誰にも打ち明けてない秘密を教えてください”、“セフレはいますか”とか、性についての質問でしたが、みなさん熱心に答えてくださって。
そのアンケートがあったからこそ、BAILA読者を具体的に想像しながら作っていけたと思います。
あとは実体験だったり、BAILAの編集さんから聞いた体験談なども参考にしていますね。
ーー実際にモデルがいたほうが描きやすいものですか?
私が描く登場人物にはほぼモデルがいますね。
ゼロから作ったことは今までないかもしれません。性や家族をテーマにした作品を描く前は、実は青春スポーツ漫画を描いていたんですが、それも私が高校時代にバスケ部だった実体験がもとになっていたので。作品のジャンル問わず、モデルはほぼいます。
実際にいる人物に実際にあったできごとをそのまま描いて、そこに自分や担当編集さんが思ったことを描き足すくらいしか私はしていなくて。なので、“お話を作ってる”という感覚は実はあまりないかもしれないですね(笑)。
ーー先生や担当編集さんが思ったことという部分は、話しながら見つけていく感じですか?
そうですね。編集さんと「このキャラはこういうことを言わない気がする」とかあーだこーだキャラについて話す時間が一番楽しいです。
もともと人と一対一で深い話をするのも好きで。他人の噂話とかはどうでもよくて、その相手が今いちばん何を気になってるのかとか話すのがめちゃめちゃ好きだし、興味があります。
悩みの種類は違っても、目の前のことに常に全力!
ーー本作に登場するキャラクターを描く上で大事にしていることは何でしょうか?
みんなそれぞれ仕事を頑張っていて、悩みの種類は違えど、目の前の人間関係にも常に全力!な感じは大事にしたいと思ってます。
内容面ですが、キャラがある主張をした時にそれが世間一般の価値観とどう衝突するのかというところが見どころなので、そこはいつも編集さんと話し合って作っています。
ーー本作をはじめ、キョウ子先生はこれまでも結婚や性にテーマをおいた作品を描かれていますが、このテーマを描こうと思ったキッカケや理由はありますか?
初めて賞をいただいたのもバスケ漫画で、長年ずっと青春スポーツもののネームを出し続けていたのですが連載には至らず。
Vコミ、マンガMeeの編集さんに私がハプニングバーに行った話をしたら「それ、ぜひやりましょう!」となり。そこからはトントン拍子で連載が決まりました。
自分の体験をネームにすると通るんだなあというのは思いました(笑)。
ーーそれまで描かれていたジャンルとは異なるものを描くことに難しさは感じなかったですか?
それはなかったかなと思います。というのも、スポーツ漫画でネームを出し続けていた時期は、同人誌活動がメインで。エロ方面も描いていたので、抵抗はまったくないというか、むしろ好きでした(笑)。
スポーツ漫画は背景を描くのが本当に大変なので、むしろ方向性が変わってからのほうがラクな部分も多いかもしれません。
ーー本作で描かれるテーマには、今の女性たちにとって共感できたり、同じ考えを持つ友人が近くにいたりとかなりリアルな考え方が反映されていると思うのですが、取材などはどのようにしているのでしょうか?
大体は私の性や結婚についての考えに対しての周りのアレルギー反応がきっかけだったりします。
人と違う道を取ろうとすると全力で止めようとする人が結構多くて。そういう時に言われた「悪気のない偏見」が物語のタネになったりします。
ーー先生自身がまわりとの考え方の違いみたいなものはずっと感じていましたか?
ありましたね。うちは厳格な家庭で、とにかく性のことに厳しくて。
私は高校生のころから少しエロの要素がある作品を読むのも好きだったんですけど、それを口に出すことは許されない雰囲気でした。でも私の好きなことでもあるのに、どうしてこんなに口に出しちゃいけないんだろうということが苦しくてしょうがなかったです。
ーーその苦しさから解放されたキッカケはありますか?
漫画ですね。大学生のときに同人誌を描くようになったことが大きいと思います。
ひとりでも買ってくれる人がいるなら、多分何万人、何十万人と私の価値観に共感してくれる人がいると思えたんです。独りよがりじゃないんだなと思えたことが、私にとっては救いでした。
“もう私には漫画しかない!”とも思いましたし、漫画を描いていないと多分、私の精神は安定しないですね(笑)。
価値観も年齢とともにアップデートされるもの
ーーこの作品を描き始めたことで注目するようになったことがあれば教えてください。
オープンマリッジという考え方にはすごく共感してます。もう不倫だなんだとかで騒ぐのは時代遅れだし、自分を縛るだけだと思います。
価値観も年齢とともにアップデートされるので、一緒に暮らす相手だって生涯のうちに何回もアップデートすればいいと思います。
ーー数年前とくらべ、女性視点での性や結婚観についてがより注目されるようになった中で、本作をどのように楽しんでほしいと思いますか?
自分の中で当たり前に思ってた価値観を疑うきっかけになればいいとお思います。例えば、「セックスはパートナーとしかしない」「子供は結婚して産むもの」とか。
あとはいろんなダメな男が出てくるので、あるあるーと共感していただけたら嬉しいです(笑)。
ーー現在公開されているエピソードの中で、思い入れの強いシーンや反響の大きかったシーンを教えてください。
悠也さんは担当編集さんが「好き……」って言ってくださるので描いて良かったなあと思います(笑)。ほんとはもっと口調がオラオラ調でしたが編集部の意向でマイルドに。
あと、3話のあきらのセリフ「セックスを習おう!!」はお気に入りです。
ーーこのセリフはどうやって生まれたんでしょうか?
編集さんと打ち合わせをしているときに流れで生まれたような気がします。多分、先ほど言ったキャラについてあーだこーだ話している時間ですね。
あきらは研究職だし、ずっと勉強してきてるから、セックスについても習えば解決できると信じこんでいるはずだと編集さんと話して生まれたと思います。自分で書いておいていまだに爆笑しちゃいます。
あとは早紀江ちゃんがシングルで子供を産みたいと言った時に、腐れ縁の男友達が色々調べてくれるところ。婚姻という関係を結ばなくても、家族っていろんな形があるよねってところを見せたかったです。この2人は私にとって究極の理想像でもありますね。
ーー今後の展開で注目してほしい部分や、描いていきたい部分などを教えてください。
次の話のテーマは40代の性の悩みについて。
女性向風俗のセラピストさんも再登場するかも??(まだ未定)。
ありがたいことに連載期間を一年に延長していただいたので、まだまだ新しい人物を描いていきたいです。
ーー本作に限らず、漫画を描く上でキョウ子先生が大事にしていることはなんでしょうか。
ネームを切る時は、あれこれ考えずに今思ってる感情とかモヤモヤをそのまま写しとるようにしてます。そのあと編集さんに「もっと読者さんに伝わりやすくするため」情報の出し方を入れ替えるなどの道標をしていただいてます。
ありがたいことに展開自体にダメ出しされたことはないので、これからも思ったままに漫画を描いていきたいです。あと話の最後は登場人物みんなが笑顔だといいなぁと思います。
ーー先ほど、先生は漫画を描くことに救われたとおっしゃっていましたが、自分の人生に欠かすことができない漫画1冊を教えてください。
『真夜中を駆け抜ける』シリーズに最初に出会ったのは15年くらい前なんですが、何度も読み返しています。
雑誌編集者の昇が、遊び人画家の勇気に10年間もの間振り回されたり、同居したり、時には病気になりながらも一緒に歳をとっていく話です。依田沙江美先生の作品は言葉の力がすごくて。
シリーズ2巻の“千の花”の「愛は自分の思考や存在とは全く関係のないところでずっと流れている なぜそれに生かされるんだろう」は忘れられないセリフです。
ほぼ同時期に出会った『海辺のエトランゼ』も10年にわたってファンでいさせてもらっています。友達にも配ってるので何冊買ったかわかりません。最新シリーズ『春風のエトランゼ』5巻でまた号泣してしまって……。最初は沖縄、北海道、そして最新作ではなんと東京に引っ越した2人のこれからが楽しみです。
あと『スラムダンク』27巻の「こんな風に誰かに必要とされ、期待されるのは初めてだったから…」もめっちゃ泣けますよね……。
漫画人生をスタートするきっかけとなったのは『おおきく振りかぶって』で、ひぐちアサ先生に憧れて同じ雑誌に投稿しなかったら、今の私はないと思うので一生勝手に師匠だと思っています。
すみません1冊って言ってたのに……(笑)。
人と会うよりも漫画を読んでいる時間の方が好き
ーー“漫画を読むこと”は、キョウ子先生にとってどんな時間ですか?
人と会うより漫画を読んでる時間の方が好きな人間なので、漫画=人生です!
大作を読み終わったあとはマラソンを駆け抜けたような達成感がありますし、最近はエッセイ物や闘病記などの漫画もよく読みます。
本当に言葉のセンスも絵柄も、一つとして同じものがないので、時間が許す限りありとあらゆる漫画をずっと読んでいたいです。
ーー漫画はどんなときに読まれるんですか?
夜寝る前が多いですけど、もう常に読んでいる気がしますね。仕事の合間に漫画を読む……いや、むしろ漫画を読む隙間に仕事してるくらいの感覚です(笑)。ほぼ毎日、何かしらの作品は読んでいると思います。
キョウ子先生から直筆メッセージ!
貴重なお話をありがとうございました!
取材・文/上村祐子
@BAILAでは、マンガMeeの人気作品のほか、BAILAオリジナル漫画も読めます!
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どちらも、『BAILA』が30代~40代女性のファッション・美容・ライフスタイルを常にキャッチアップし、発信しているメディアであるからこその「働く女性」の描写・ストーリー展開が魅力。“大人の女性がリアルに共感できる漫画が読みたい“という声に応えます!
また、同カテゴリでは集英社の少女・女性向け漫画タイトルが集結した漫画アプリ「マンガMee」の人気作品も配信。毎週更新で、2作品・1〜5話分を期間限定で無料で読めます。
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帝王百貨店に勤務するカリスマ店員、ランジェリーフィッターの恵比寿天音。天音のもとには、下着選びや体型の悩みを抱えたお客様が毎日来店!
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物撮りカメラマンの村崎志生(むらさきしお)。年上の夫・陸生(りくお)、5歳の娘・楓子(ふうこ)と都内で3人暮らし中だが、子育てと仕事の両立に日々悩んでおり……?