劇場アニメ『ルックバック』で声優に初挑戦！ #河合優実 #吉田美月喜「“二人”でいるからできたこと

今大注目の俳優が劇場アニメ『ルックバック』で初めての声優に挑んだ。本作で、“漫画”と真剣に向き合う少女たちに、声の命を吹き込んだ二人が収録で感じたこととは。

美月喜ちゃんの声が入った瞬間、すごくしっくりきました（河合）

『ルックバック』は漫画をきっかけにつながる少女二人の青春物語。自分が描く漫画に自信を持つ藤野の声を河合優実さんが、その藤野に憧れを抱く京本の声を吉田美月喜さんが演じた。

河合優実（以下河合）　オーディションに合格してから収録までは、少し時間があったんです。オーディションは「どんな声が出るのか何通りか聞いてみたい」という感じで進んでいったので、声は固めすぎずに挑みました。

吉田美月喜（以下吉田）　私は最初に送ったボイスサンプルと、その後の審査とで声の印象が違ったみたいで。“練習しすぎないでね”と言われたんです。

河合　そうだったんだ。難しいね。

吉田　同じ声のつもりだったから、そう言われると逆に練習したくなったりもして。でも本番の収録は、優実ちゃんと一緒にできたから心強かった！

河合　本当に！　時間をかけて、二人で演じさせていただけたのがありがたかったです。やっぱり、生でやりとりする中で感じるものは違うはずなので。

吉田　ほぼ作品の流れに沿ってとっていったので、最初は藤野一人のシーンから始まって。私はブースの外で優実ちゃんのお芝居を聴いていたんです。優実ちゃん、声優初挑戦と思えないくらい上手で！聴きながら“やばい、私の番がどんどん近づいてくる”ってプレッシャーを感じていました（笑）。

河合　いやいや（笑）。手探りでの収録だったから、とりながら納得いかない部分もあったりしたんだよね。でも、京本が登場して美月喜ちゃんの声が入った瞬間、しっくりきた感覚があった。しかも美月喜ちゃんの最初のシーンは、京本の藤野への思いが爆発するシーンで感情の昂りも高くて大変そうなのに、本当に素晴らしかった。

練習できない不安はあったけど一緒に収録できて心強かった（吉田）

藤野と京本がお互いと出会って漫画制作を始めたように、二人の人生のターニングポイントとなったことは？

河合　私は高校時代。ダンスや歌や演劇の出し物やイベントがすごく多い校風で。特に高校3年生の文化祭で、クラスのみんなと演劇をつくったことが、今の自分につながっているのかも。

吉田　どんな劇をしたの？

河合　ブロードウェイミュージカルの作品『コーラスライン』をもとにしたドキュメンタリー調の舞台で、自分たちが本人役として、この舞台のオーディションを受けるっていうストーリー。

吉田　すごい！高校生でそんな舞台をつくったなんてかっこいいね。

河合　みんなでお芝居をつくることが初めてで、すごく楽しかったんだよね。

吉田　私は中学3年生の終わり頃に芸能事務所にスカウトしてもらったことかな。それまで演技はもちろん、自分が人前に立つなんて思ってもいなくて。バスケとテニスをやっていてベリーショートで真っ黒に日焼けしていたし、よく男の子に間違えられてた（笑）。

河合　今はその面影が全然ないね！芸能界に憧れはあったの？

吉田　小学校低学年のときにモデルさんに憧れたことはあったかも。“可愛い洋服が着られていいな”みたいな（笑）。お母さんに言ってみたら「もしあなたにそういうチャンスがあるなら、運命的な出会いがきっとくるから、今は勉強しなさい」って言われたのを覚えてる。

作中では藤野と京本が夢に対して大きな壁を感じる瞬間も描かれている。

河合　仕事やプライベートで壁にぶつかったとき、いつもどうしてる？

吉田　私は課題に対して真正面から向き合うと、逆にあまりうまくいかないとも感じていて。最近はいったん離れて考えてみたりしてる。意外とそのほうがいい方向に進むことも多いよね。

河合　私も“今はこれをやるときじゃないかも”って受け入れたりする。

吉田　タイミングもあるしね。

河合　うん。ただ、避けて通れない壁に対しては“絶対に乗り越えられる力があるから大丈夫”って自分に言い聞かせて、向き合うようにしています。

劇場アニメ『ルックバック』
出演：河合優実、吉田美月喜ほか
原作：藤本タツキ『ルックバック』（集英社ジャンプコミックス刊）　
公開：6月28日（金）全国公開
小4の藤野（声：河合優実）は学年新聞で4コマの連載をしていた。クラスメイトに絶賛され自信を持っていた藤野だが、不登校の同級生・京本（声：吉田美月喜）が描いた4コマの画力に圧倒されて……。

（河合さん）ジャケット￥64900／エスアンドティ（バウム・ウンド・ヘルガーテン）　シャツ￥60500・パンツ￥27500／エイト（サムソ サムソ）　その他／スタイリスト私物　（吉田さん）すべてスタイリスト私物

撮影／山根悠太郎〈TRON〉　ヘア＆メイク／村上 綾（河合さん）、横山 藍〈KIND〉（吉田さん）　スタイリスト／高橋茉優（河合さん）、有本祐輔（吉田さん）　取材・原文／上村裕子　※BAILA2024年8・9月合併号掲載