社員それぞれ必要なタイミングでの学び直しを支援する企業が増えています。「ソニーグループ株式会社」では、私費就学や、海外赴任・留学に同行するための休職を認める「フレキシブルキャリア休職制度」を導入。20代半ばで制度を利用し海外留学した女性社員にインタビューしました。
フレキシブルキャリア休職制度って何?
社員が専門性を深めるための私費就学目的の休職(最長2年)と配偶者の海外赴任や留学への同行で知見や語学力を向上させてキャリアの継続を図るための休職(最長5年)が取得できる制度。2015年に導入され、私費就学目的では国内外の大学院に通う取得例があり、就学にかかる初期費用について最大50万円までサポートを受けられる。
私費就学の場合、最長2年間の休職OK!
ソニーってこんな会社
「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」をPurpose(存在意義)とし、ゲーム、音楽、映画などのエンターテインメントや、エレクトロニクス、半導体、金融など多様な事業に取り組む。
新卒入社後4年目で休職、スウェーデンでUXデザインを学びました

クリエイティブセンター 松原明香さん 30歳
留学でコミュニティが広がり視座が転換できて仕事が面白い!
美大卒業後、ソニーに入社し事業のロゴなどのデザインを手がけていた松原さん。20代半ばに留学への思いが芽生えた。
「事業の多様化に伴いデザインの仕事の幅が広がるようになり、仕事を楽しむために勉強したいと思うようになった頃、制度の存在を知りました。会社を辞めずに留学できると嬉しく思った反面、20代後半にキャリアやプライベートのブランクをつくるのに迷いもあって。最終決断したのは留学校の合格時でした」
留学先は実践的な学びを求めて選んだ。
「私が通ったスウェーデンの学校は授業がプロジェクトベースで、実際の企業から出された課題に最終プレゼンまでチームで取り組むんです。美大では個人作業が中心でしたが、年齢も国籍も多様な仲間との共同作業からチームワークの大切さを学びました。意見を主張してすり合わせすることを面倒くさがらず、確認を繰り返して信頼関係を築く重要性を知れたのがよかったです。また、自分が今まで知り得なかったバックグラウンドやキャリアを経ている人に出会え、視野がぐんと広がりました。制度のおかげで戻る場所がある安心感のなかで、実務に生かす視点を持って学びに集中できたことが本当にありがたかったです」
帰国後は、視座の転換が仕事の糧に。
「想像できるユーザーのバリエーションが増え、検討プロセスで今まで見えなかったポイントが見えるようになりました。今は障がい者や高齢者など制約のあるユーザーと一緒に商品開発をするインクルーシブデザインに関わったり、社内のダイバーシティ活動を推進するプロジェクトに参加したりしています。未来のソニー製品がより多くの背景を持つ人に愛される製品になってほしい。そのために開発メンバーの多様化や多様な意見が取り入れられる開発プロセスが必要だと思うのでそういう活動に携わっていきたいです」
戻る場所がある安心感があったから、 留学中、学びに集中できた!

留学中は多様な仲間とグループワークが中心
学校では、たとえば「B to Bの車両レンタル会社のビジネスをB to Cに転換するには?」といったプロジェクトごとに異なる課題を複数抱えながら終日チームで取り組んだ。共同作業を通して多様な仲間との親交が深まった
学びの相棒

ワークショップ授業の意見交換では大判のふせんが大活躍。壁一面に貼られた意見の数々は年齢や国籍が多様なチームならでは。

好きなお茶を水筒に入れお供に
Q 学び直しをして得たものは?
いろんなバックグラウンドを持つ人と出会い、 想像を超える多様さがあることを知った
撮影/有馬秀星 取材・原文/佐久間知子 ※BAILA2022年2月号掲載