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時代は“ゆるキャリ”へ! マンガ『プリンセスメゾン』『しあわせは食べて寝て待て』から見る仕事観の変化

昭和から令和にかけて、私たちの仕事観はどう変わった? 名作からその変遷をひもとく! 今回は、バリキャリな働き方から変容しつつある現代の女性たちを描いた『プリンセスメゾン』『しあわせは食べて寝て待て』をご紹介。

『悪女(わる)』『美少女戦士セーラームーン』から見る80〜90年代の仕事観の変化
『ハッピー・マニア』『働きマン』から、氷河期世代の女性の働き方を探る
お話を伺ったのは
トミヤマユキコさん

漫画研究者、ライター

トミヤマユキコさん


とみやま ゆきこ●1979年生まれ。早稲田大学法学部卒業。同大学院を経て、東北芸術工科大学芸術学部文芸学科准教授。漫画や小説から現代を考察する著書多数。

身の丈の幸せを前面に出した『プリンセスメゾン』

いわゆるバリキャリっぽい生き方が人気だった風潮から少しずつ風向きが変わり、2010年代以降の働く女性の新たな生き方を提示したのが『プリンセスメゾン』。平成の間に成長し、社会に出たバイラ世代にとっても、共感できるポイントは少なくないはず。

「主人公はチェーン系の居酒屋でコツコツと働く女性。彼女が掲げる“自分のためにマンションを買う”という目標は、働くことを大事にしつつ、身の丈に合った幸せに喜びを感じたいという意識の表れだと感じます。

ヒロインの生き方は、経済の低成長がデフォルトになってきた時代に、工夫をしながらいい意味で“そこそこ、ほどほど”に生きている、働く女性のロールモデルを描いていると思います。

それから男女の関係に、恋愛が重大事件として介在しないのも今っぽい。男性キャラクターも登場しますが、恋人とは違う、バディ的な立ち位置になっています」

『プリンセスメゾン』

『プリンセスメゾン』
池辺葵著 小学館
全6巻 各607円
年収250万ちょっとの独身女性・沼越幸が「自分だけの持ち家」を探し、自立していく

2014〜 自分が信じる等身大の幸せを追求する時代に

1巻p.61 ©池辺葵/小学館

『プリンセスメゾン』 池辺葵
確実な夢を目指し、外野からの声にも心折れずに淡々と働き続ける沼ちゃんは平成を生きてきた女性の等身大な姿といえそう

1巻p.90 ©池辺葵/小学館

ゆるキャリの心地よさ『しあわせは食べて寝て待て』

そして2020年代。女性の仕事観はさらに柔軟なものへとシフトチェンジ。

「『しあわせは食べて寝て待て』は、正社員を続けられなくなった30代独身の主人公が、そのことを転機に新たな豊かさを見つける話。

週4日パート、お金はない、住まいは古い団地。でも地元のコミュニティはある......と、まるで老後を先取りしたかのような生活を送りますが、これがとても心地いいんですね。

もちろんまだ、キャリアや仕事をとことん突き詰めたい人もいると思うので、そういった層が夢を持てるお仕事マンガがあってもいいとは思いますが、“明るく元気に働くことこそが幸せ!”と、ひとくくりに言えないのが今の時代。この作品は、現代の仕事への向き合い方をリアルに表現していると思います」

『しあわせは 食べて寝て待て』

『しあわせは食べて寝て待て』
水凪トリ 秋田書店
1~3巻(以下続巻)各748円
正社員を辞めてパート暮らしとなった、38歳の麦巻さと子の新しい生活と幸せを描く

2021〜 こんな働き方もアリ! 女性の仕事観は多様化へ

1巻p.5 ©水凪トリ(秋田書店)2021

『しあわせは食べて寝て待て』水凪トリ
さと子のように働き方が変わることもあり得る時代。だからこそ、どう生きるかが問われる時代に。彼女の団地スローライフは、令和の働く女性の新たなモデルとなり得る!

取材・原文/石井絵里 ※BAILA2023年1月号掲載

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