より自分らしく輝くために、働き方を選択できる時代。連載第3回は、株式会社サイバーエージェント Ameba LIFE事業本部で、社員として働きながら大学講師としても活躍している茂木 栞さんをクローズアップ。
会社員として働きながら大学講師としても活躍
株式会社サイバーエージェント Ameba LIFE事業本部
茂木 栞さん
東京都出身。32歳。共立女子大学建築デザイン学科卒業。コロナ禍を機に「副業制度」を利用し個人事業主として開業。2023年からは大学でウェブデザインの講師も務める。
「私がウェブデザインの仕事に魅力を感じたのは、一人でモノ作りをするよりもたくさんの人とコミュニケーションをとりながら協力したほうが、 よりいいものができることを知ったから。
キャリアを重ねるうちに、デザイナーとして手を動かすだけでなく、組織をまとめるマネジメントへの興味も強くなりました。
現在は『Ameba LIFE』のデザイン組織の統括やディレクションなど、クリエイティブの責任者を務めています。
そして2023年からは、母校でウェブデザインを教える講師の仕事もスタート。学生たちの吸収力と成長の早さに感動させられっぱなしです!
人を育てるって面白いなと思ったし、関わる人数が多ければ多いほどやっぱりモノ作りは楽しい。
そのことを社内外で実感する毎日です」
HISTORY
2012年 1カ月間、サイバーエージェントの就活生向けクリエイティブ研修プログラムを受け、内定
2013年 サイバーエージェント入社
2015年 電子書籍サービスの子会社に出向デザイナーとして「Amebaマンガ」を担当
2017年 マッチングサービスの子会社に出向デザイナーとしてマッチングアプリ「タップル」を担当
2018年 Amebaブログ事業部に出向デザイナーとして「Amebaブログ」を担当このとき、10名ほどのデザインチームをマネジメント
2022年 Ameba LIFE事業本部に異動クリエイティブマネージャーに就任
2023年 共立女子大学の講師に
大学で教える経験が自分の引き出しにつながりました
デザイナーとしてマネージャーを目指す
今年20周年を迎える『Ameba』の各ブランドを統合した『Ameba LIFE』で、サイトのデザインや商品のクオリティなど“見えるもの”に責任を持つクリエイティブマネージャーを務めている茂木さん。デザイナーとして新卒で入社した彼女がマネジメント職に挑戦したのは、周囲からの助言があったから。
「信頼している人事の方に『マネジメントも向いていると思うよ』と言っていただけたことをきっかけに、チームでモノ作りをすることが好きな自分ならできるかもと思うようになりました。事業責任者である上司が経営参画しているのですが、その方はもともとデザイナーなんです。常にクリエイティブを大事にする上司の働き方を近くで見るうちに、マネージャーを目指すことはデザイナーとしてのキャリアの可能性を広げることだと感じたんです。様々な経験を積むうちに、マネジメントへの興味が『目指したい』という明確な意志に変わっていきました」
社内には相談できる経験者がたくさんいる
今でこそ、30人ものクリエイターを統括し、他部署とも密に連携しながら多忙な日々を送っている茂木さん。しかし多くの人が立ち止まり、キャリアについて不安を抱えたコロナ禍は、彼女の働き方にも大きな影響を与えていた。
「出社できずにずっと家にいることが不安になってしまって。そこで副業制度を利用して個人事業主として開業、デザインの仕事を副業でも請け負うようになりました。そんなある日、恩師からSNSを通じて大学講師のお誘いをいただいたんです。自分に務まるか不安で、最初はお断りしようと思ったほどでした」
そんな茂木さんの背中を押したのは、社内の多様な経験を持つ人たち。
「大学の非常勤講師を務めている仲間に相談すると、『授業計画を立てるのは大変だけど、それ以降は意外と大丈夫。やりがいがあるよ』と言ってもらえました。上司からも『両立は大変だと思うけど、学生に教える経験は勉強になる』と言われたことも大きかったです。その言葉どおり、授業は本当に楽しくて。もちろん悩むこともありますが、解決の引き出しがどんどん増えていく感覚があるんです。これまで会社で後輩に教えてきたことを講義として整理できたので、ほかの場面でも応用ができる。マネージャーとしての幅が広がったことを実感しています」
サイバーエージェントには、ほかにも女性特有の体調不良などの場合に月1回取得できる「エフ休」や、副業などの申請の方法が網羅されている「さくさくポータル」、会社の事業方針がまとめられた社内向けデジタル新聞など、社員をサポートする体制が整っているとのこと。
「社内のクリエイターに仕事を依頼できるグループ内副業制度を活用して、単発で発注することもあります。うちの会社の特徴は『これをやっちゃダメ』というルールが少ないこと。新人の頃はその自由さゆえに迷うこともありましたが、周りに相談すると、大抵は経験している人が見つかることも心強いんです。自分らしい理想の働き方をフレキシブルに選択できる環境は、キャリアを重ねた今こそ、すごく魅力的だなと感じています」
通常時(リモート・出社どちらも)のスケジュール
10:00 | 勤務開始 |
10:30 | 施策のアイディア出しなどの打ち合わせ |
12:30 | ランチ |
15:00 | メンバーとの面談や採用面接など |
16:00 | 経営会議 |
17:00 | デザイン制作 |
19:30 | 帰宅 |
チームを組む営業やプランナーの困りごとをデザインで解決するため、様々なアイディアを提案。月1回利用できる懇親会制度を利用し、チームの生の声を聞くためにランチ会をすることも。マネジメント業務だけでなくデザイン制作や資料作成をする時間も確保
授業時のスケジュール
9:00 | 大学で講義 |
14:00 | 出社 |
15:00 | 採用面接 |
16:00 | お茶タイム |
16:30 | リリース物のデザインチェック |
19:00 | 帰宅 |
週1回、前期(4〜7月)の授業を担当。午前中の講義を終えてから時差出勤。昨年は休日も授業の準備をするとがあったけど、現在は会社での業務とうまくバランスがとれるように
ON
大学のレジュメ作成は頭の整理にも。講義では普段仕事として行っているサイトの作り方やプログラミング、コンセプトメイキングなどを教えている。最後はポートフォリオサイトの作成を課題としているそう
OFF
手を動かすことが好きで、マクラメ編みのワークショップに参加することも。家で大好きなホラー映画やSF映画を鑑賞したり、一緒に暮らすパートナーが作ってくれる健康的なごはんを食べることも楽しみ
仕事のマストアイテム
1 兵庫県姫路市の「あずきミュージアム」を訪れたことをきっかけに、あずき茶のおいしさと抗酸化作用に感動。毎日タンブラーに入れて出社
2 PCやiPadを使用する際にベタつかないハンドクリームもマスト
株式会社 サイバーエージェントの「副業制度」とは?
本業に影響のない範囲であることを前提に、上長、人事への申請・承認を得られれば、社員は誰でも副業を始めることができる。2019年からは、エンジニアやクリエイターといった技術職の社員が、通常業務以外のプロジェクトを就業時間外で請け負い、インセンティブを得ることができる“グループ内副業制度”「Cycle」も導入されている。
撮影/峠 雄三 ヘア&メイク/山口春菜 取材・原文/松山 梢 ※BAILA2024年4月号掲載