伝達手段の大部分がメールになっている今、手書きで何かを書く機会はなかなかレア。でも、だからこそ、書く行為そのものがとても印象的なものになっている。新しい年代に入って、自分のための一生ものを買い求めるなら、万年筆やボールペンはどうだろう。ビジネスの場面でも、自分のためのプライベートな記録でも、お気に入りのペンを取り出して、さらりと紙の上に滑らせるとき、ちょっとした高揚感を感じるはず。
モンブランの「マイスターシュテュック」は、歴史的に語り継がれる名品。万年筆「マイスターテュック149」¥95,000/モンブラン
ステーショナリーに投資することは、ジュエリーや時計で身を飾るのとはまた違った、意思と知性を滲ませるもの。誰にでも目に留まるような派手さはないけれども、ふとした機会に、美しい機能的なペンを取り出したら、きっとそこから周囲の目が変わり始めるはず。一個人として「格の上がる」瞬間だ。流行に左右されない、いいものをひとつだけ。そんな筆記具を携えて、2020年代を始めてはいかが?
【select point】
見た目も書き味も美しい万年筆・ボールペンの名品5
知っているとさらに愛着がわく、人気ブランドのヒストリー【モンブラン】
モンブランは、1906年のハンブルグ、3人の創業者によって誕生した。インク漏れのない筆記具作りに情熱を傾け、ピストンコンバーター機構を備えた万年筆を開発、これは筆記の歴史に革命をもたらしたと言われる。キャップトップがヨーロッパ最高峰に似ている、ということから名付けられたと伝えられるモンブランは、パイオニア精神と卓越したクラフトマンシップで、1920年代にはヨーロッパを代表する筆記具ブランドに成長する。
「マイスターシュテュック」のペン先に刻印される4810の数字は、ヨーロッパ最高峰であるモンブランの標高を示している
1924年、歴史的なモデル「マイスターシュテュック」が誕生。最高の技術を結集した精緻な機構と、美しいデザインが融合したモンブランのマスターピースは、「世界で一番有名な筆記具」とも言われる。深い漆黒のボディ、18金のペン先、そして持った時にバランスの良い重さは、まさに万年筆の王様。一生ものであり、持っていると一目置かれる名品だ。