ホリデーシーズンにショーウィンドウを彩るジュエリーは、ひときわ華やかな輝きに満ちている。1年の終わりと始まりを迎える時季は、宗教や文化を超えて、人の心に祝祭の気持ちを呼び起こさせるものかもしれない。心が浮き立つような、けれどどこか神聖な気持ちになるような、特別な時間。特に30代は、いいことも、そうでもないことも、新しくさまざまな出来事を受け止める時だったのではないだろうか。そんな今までとこれからをつなぐ証としてぴったりなのが、1年の締めくくりのジュエリーだ。
夜空を流れるコメット(彗星)をモチーフにした片耳のみのイヤリング。美しさと自由、そして夢を叶える力を象徴して。イヤリング「コメット コレクション」(ホワイトゴールド、ダイヤモンド)¥556,000/シャネル(カスタマーケア)
遠い昔から、輝石やゴールドで飾られたジュエリーは「お守り」としての力を持つとされてきた。幸運を呼ぶ星や月、花などの自然のモチーフ、ポエティックな意味が込められたコレクションなど、ただの装飾品以上に神秘的で、夢に溢れている。それは、少女の頃に憧れた、プリンセスやヒロインが使う魔法の道具に、どこか近いものがあるかもしれない。大人になって、目を輝かせて手に入れるお守りジュエリーは、現実を生きるためのパワーを与えてくれるもの。今までの自分に胸を張り、明るい未来に祈りを込めるために、この12月、特別なひとつを手に入れて。
【select point】
・その年に発表された象徴的な新作や限定品なら、なお思い出に
アイコニックなモチーフジュエリーの名品5
知っているとさらに愛着がわく、人気ブランドのヒストリー【シャネル】
ガブリエル シャネルは、1910年、パリ、カンボン通り21番地に開店した帽子店からその輝かしいキャリアをスタートさせた。その後、ジャージー素材を使用したドレスや男性のワードローブから着想を得たキルティングやツイードのアイテムなど、鮮やかな発想から当時の女性のドレスコードを次々と刷新。女性のための機能的で自由なデザインは革新的で、カリスマ的な人気を誇った。黒、ベージュ、ツイードなど、シャネルのアイコンは唯一無二でタイムレスな存在だが、その誕生には古い慣習を打ち破り、女性に自由を与え、解放するという意志が常にあった。
マドモアゼルが愛したカメリア=椿の花も、永遠のアイコンのひとつ。ネックレス「カメリア コレクション」(ピンクゴールド、ダイヤモンド)¥272,000/シャネル(カスタマーケア)
1921年には伝説的香水「シャネル No.5」を発表、そして1932年には、初のファインジュエリー コレクション「ダイヤモンド ジュエリー」を発表。当時世間は世界大恐慌の影響下にあったが、マドモアゼル シャネルは、経済が立ち行かない時だからこそ、価値のある本物をという思いを込めて、コメットやリボンモチーフのジュエリーを発表したという。男性や富裕階級が主導していたファッションの世界に、孤児院で育ったひとりの女性が革命を起こした。シャネルの歴史はその軌跡といえる。今もその精神はデザインの中に受け継がれ、女性を自由へと導く力となっている。