「カリスマ投資家」として、熱狂的な人気を誇るテスタさん。総利益100億円以上の成績を持つ彼の、投資初心者に役立つ格言をお届け。BAILA世代に投資やマネーリテラシーもレクチャー!
CONTENTS
- 格言①「大きく勝つよりも、コツコツと利益を積み上げるのが大事です」
- 格言②「投資で労働以上の利益を受け取り、インフレ時代に対応を」
- 格言③「株はギャンブルではない。そして負けなければ、おのずと勝ちになる」
- 格言④「世の中にワクワクできる人は投資に向いているかも!」
- 格言⑤「日常の中で、時間やお金をかけずに学ぶ方法もある!」
- 格言⑥「予算を策定して慎重に。怖い人はシミュレーションから始めよう」
- 格言⑦「〇〇ショックも冷静に分析すればチャンスになり得ます!」
- 格言⑧「収益が安定している企業を、業種別に分けて探してみましょう」
- 格言⑨「金は大きなリスクヘッジに。資産の20%は持っておいてもいい!」
- 格言⑩「“買う理由”がハッキリしていれば、売るタイミングも逃さないはず!」
格言①「大きく勝つよりも、コツコツと利益を積み上げるのが大事です」
20年をかけて地道に利益を積み上げていったテスタさん。「元手は、約300万円。利益が出たら売却し、売ったお金でまた株を買い……と、コツコツと繰り返しているうちに20年以上がたちました」
そんなテスタさんの投資方針は「一回で大儲けを狙わない」こと。マイナスを作らず、小さな利益を積み上げる、リスクを抑えた売買を徹底しているそう。2011年には資産1億円を達成。個人投資家の中で、1億円以上の利益を出した人の通称・「億り人(おくりびと)」の仲間入りを果たすことに。
株式投資を続けるテスタさんですが、モチベーションは一体どこにあるんでしょうか?
「住まいにかけるお金です。投資を始めた頃は、5万3000円のワンルームに住んでいました。その後、利益を上げる度に少しずつ家賃の高い部屋に引っ越していき、『家賃の分は利益を出すぞ!』と、やる気を高めていましたね」
格言②「投資で労働以上の利益を受け取り、インフレ時代に対応を」

「まじめにお仕事を頑張っている方ほど、投資にも目を向けて欲しいです」とテスタさん。
「これは資本主義の仕組みなのですが、会社員をしている方にとっては、実際に働いた分よりも少ない額しか手元に入りません。それはなぜか。収益と人件費の差額で会社経営は成り立っているからです。例えば月給30万円の方って、実は30万以上の労働をしているわけですよね。一方で、株式投資では、ある企業の株を買って”株主”となり、その企業の利益を分けてもらうことができます。普段、組織でしっかり働いている人ほど、投資で労働以外のお金を受け取りに行ってみるのもいいんじゃないかなと僕は思います。搾取されている分を取り返しに行くんです(笑)!」
さらに2022年から始まった日本のインフレ政策にも「対策を講じたほうがいい」とも。
「今、日銀では年2%の物価上昇率を目指しています。国が経済発展のために行っている政策なので、悪いことではありません。年2%の上昇率と聞くとあまりぴんとこないかもしれませんが、10年たつと今よりも20%以上物価が上がることに。その分、お給料も上がるといいけれども、そううまくはいかないかもしれないですよね。となると投資の力を借りて、年2%以上の利益を自分でコツコツ作ることが必要になってきます」
格言③「株はギャンブルではない。そして負けなければ、おのずと勝ちになる」
株式投資と言われてまず思い浮かぶのは「……え、それってギャンブルなんじゃないの?」というイメージ。テスタさん、株とギャンブルって何が違うんでしょうか?
「そうですね。混同される方も多いと思いますが、違います。宝くじや競馬などのギャンブルには、胴元(どうもと)と呼ばれる主催側がいます。参加した人の出資金や利益の一部は、この胴元に吸い上げられる仕組みに。一方で、株式へ投資する場合は成長を見込める企業にお金を出し、利益が出たら分配金を受け取ります。これは“経済は上がっていく”という資本主義のルールに基づいて行うものなので、胴元はいません」
「まずは“一度に大きく勝とう”と思うのはやめましょう。株式投資=一攫千金的なイメージがありますが、僕は、トータルで利益を増やせればよいと思っています。投資を始めてから6年目で資産1億円に達しましたが、これも、勝つよりも負けを減らすように努力した結果、たどり着いたもの。たとえば僕の場合、最初はスキャルピングやデイトレードといった、超短期~短期の売買から始めました。当時はアルゴリズムが発達していなかったので勝ちやすい手法だった、という理由もありますが、手持ちの資金を株式市場に晒しているのが長くても1日以内と、負けるリスクが少ないと思ったからでもあるんです」
格言④「世の中にワクワクできる人は投資に向いているかも!」
市場の値動きに連動した投資信託などと違い、自分で銘柄を見極めて、個別の株を購入する株式投資。難しいイメージがありますが、向き・不向きはあるのでしょうか?
「正直なところ、向き・不向きはあるような気がしています。向いていると思うのは、株の銘柄についてワクワクできる人。もう少し簡単に言い換えると、世の中で起こっているモノやコトに好奇心を持てる人だと思います。不向きな人は、その逆になるのかもしれないですね」
情報収集が苦ではなかったことが「向いている」実感につながったというテスタさん。
「僕の場合、とにかくたくさんブログを読んで知識をつけました。株式投資を始めた2005年頃は、ちょうどブログ全盛期だったので、株式投資について書いている人がたくさんいて。皆さんの手法や投資方針などをワクワクした気持ちで読んでいました。『上手な人って、こうやって利益を出しているのか~』と感心したり。中には『明日、ここ一番の大勝負をかけます!』とか、ドラマみたいな展開の日記もあってワクワクしました(笑)。手法も手元の資金も違う、毎日300人ぐらいの個人投資家の方のブログを読んだと思いますが、まったく苦痛ではなかったですね。調べているという意識すらなかったです」
格言⑤「日常の中で、時間やお金をかけずに学ぶ方法もある!」
プロが銘柄の選定や運用をしてくれる投資信託と違って、個別銘柄への投資となると、「自分で勉強しなくてはいけない」というイメージが。勉強に充てる時間やお金もそれなりにかかりますよね?
「もちろん、ある程度の勉強や努力は必要です。でも、“経済学をみっちり学ぶ”、“専門紙を購入する”など、肩に力を入れすぎなくても大丈夫だと思っています。僕も、最初の頃こそ株の勉強のためにある程度の時間は費やしましたが、今はテレビのニュースも見ていないですし。経済の専門紙を読むこともしていません。ネットニュースや、Xで流れてくる株に関する情報をチェックしているぐらいです」
そして「特に今の時代は、お金を使わなくても株式投資への理解を深められるツールはいっぱいあります」とも。
「ChatGPTを活用してみてください。たとえば『A社の決算内容を教えてもらえますか?』、『過去10年で黒字利益を出した年はありましたか?』、『黒字は何年続きましたか?』など聞けば、答えてくれるでしょうし、分からない部分が出てくれば、自分が調べるヒントになりますよね」
格言⑥「予算を策定して慎重に。怖い人はシミュレーションから始めよう」
資金300万円で株式投資を始めたテスタさん。それが今や100億円を超える利益を出していますが、やっぱり最初からそれなりの金額を投じないと、投資で利益を得るのは難しいのでしょうか?
「そんなことはないですよ。むしろ少額から始めてください。大事なのは総資産の中でのバランス。たとえば、お仕事で貯めたお金が500万円あるとしますよね。当たり前ですが、500万円をすべて個別銘柄に投資するのは控えておいた方がいいと思います。『100万円は個別株の投資資金にしてもいい』とか、『次のボーナスのうち、1/3は個別株に投資してみよう』と決めて、それまでに勉強をし、準備を進めていくのがおすすめ。投じる金額や割合は、皆さんの手持ちのお金やライフスタイルによって違うと思うんですが、最初は無理なく、楽しめる範囲から始めるのがいいと思います」
さらにテスタさんから、個別銘柄を買う前に「こんなことをしてみても」というアドバイスが。
「『予算を決めていても、やっぱりいきなり購入するのは怖い!』という人は、実際の投資を行う前に売買のシミュレーションをするといいですよ。気になる銘柄をピックアップし、購入した“つもり”で、メモをする。そして株価が上がってきたら利益確定のために売った“つもり”で、その金額もメモ。これを繰り返して、たとえば1年間でトータルいくら利益が出せたのか、出せたならば何%ぐらいの利益なのか、答え合わせするんです。専用アプリもありますが、自分でメモすればお金もかからない。無料でできる株式投資の勉強法の一種ですが、無料だからこそ、真剣にやること! そしてトータルの利益でマイナスが出ちゃったら、『個別銘柄に、お金を入れなくてもいいかも?』、『そもそも銘柄の選び方が違っていた?』など、自分なりに見えてくるものがありますよね」
格言⑦「〇〇ショックも冷静に分析すればチャンスになり得ます!」

株式投資をするにあたって、最も怖いのが市場の暴落。「〇〇ショック」を不安に感じてなかなか投資に踏み出せない人も多いはず。どう考えればいいんでしょうか?
「歴史的に見ても“〇〇ショック”は、必ず起こるものなんです。ただ冷静に考えると、そこで資産が減るのは、そもそも“株を持っている人”だけ。そして大損するのは、下落時に株を売ってしまった人です。売った人が『大損した』話だけが広まってしまい、“〇〇ショックは恐ろしい”というイメージが一人歩きしている面も否めません。暴落は、これから株式投資を始める人にとっては、むしろチャンス。株価がど~んと下がったところで市場に参入できる、絶好の買い場なんです」
これから投資を始めるビギナーたちは、コロナ・ショック後の現在から、株式相場へ参加することになる。
「気になる企業がある人は、2020年の利益の数字を見て下さい。経済への影響があれだけあったので、ほとんどの企業が赤字です。その中でも、大きな赤字を出していない、もしくはすぐに赤字から回復できている企業は、優良企業ということ。『コロナ・ショックを、どうにかして乗り切っているかどうか』というのは、今も投資判断の一つの材料になると思っています」
格言⑧「収益が安定している企業を、業種別に分けて探してみましょう」
個別株への投資をする際に、大事になってくるのが株の銘柄選び。初心者ゆえに、何を基準に選んでいいのか分からない。そしてやっぱりリスクは抑えたい。こんな場合はどうしたらいいですか?
「『ずっと黒字の会社はどこだろう?』という視点で、企業を探してください。日本にも、毎年安定して利益を出し続けている優良企業はたくさんありますよ。そういった企業は利益を得た分だけ、会社の中で資金を溜め込んでいます。これを内部留保というんですが、内部留保の多い企業こそ、不況や急な経済ショックにも耐えられる力がある。長期間黒字であれば内部留保はどんどん増え、企業の価値は上がっていきます。そういう会社は“潰れる可能性も低い”と考えて下さい」
「手持ち資金を1銘柄に集中投資するのは避けましょう」とテスタさん。
「100万円分を株式投資に使おう、と思ったら、50万円分をA社、残りの50万円分をB社と分けること。業種も違うものにしたほうがいいですね。A社が自動車の企業だとしたら、B社は飲食店など。ちょっとずつ買い足していき、10ぐらいの銘柄に分散できればいいと思います」
格言⑨「金は大きなリスクヘッジに。資産の20%は持っておいてもいい!」
「これからは、通貨以外のものにも資産を分散投資したほうがいい」とのこと。その代表例として挙げてくれたのが金(ゴールド)への投資だ。金はなぜ、持っておいたほうがいいんでしょうか?
「円もドルもユーロも、その国や地域の通貨。今のところドルが基軸通貨という、世界中の商売や取引のための共通通貨になっています。ただし通貨は、政情や経済状況によって大きく価値が目減りする可能性が。一方で金は、“古来から変わらずに、世界共通で価値を持っている”通貨、だと思ってください。資産防衛の力を高めるには通貨以外の金も、持っておいたほうがいいと僕は考えています」
資産額のどれぐらいを、金の購入に充てたらいいんでしょうか?
「そうですね。金は最高のリスクヘッジとも言われているので。これからの時代は、資産の20%は金に投資しておく、とかでもいいと思います」
格言⑩「“買う理由”がハッキリしていれば、売るタイミングも逃さないはず!」

個別株への投資で難しいのが「利益確定」のタイミング。購入時よりも株価が上がり、含み益が増えると「まだ上がるから、今、確定したらもったいないんじゃないか?」と思いつつ、「でも下がったら損をしてしまう~」とモヤモヤが。その結果、なかなか売れない状態に陥りがち……。
「こういう方は少なくないんじゃないかと思います。ちょっぴり厳しい言い方になっちゃいますけど、“売りどきが分からない”っていうのは、最初の設定が甘いからなんですね。株を買う前に、『この会社のこの商品は売れる。半年後の決算前までに、株価はこれぐらい上がるだろう』と、ある程度イメージしておくことが大事なんです。そうすれば売りどきは自然と決まってくるし、なんとなく銘柄を持ち続けることはないわけです」
投資先の解像度を上げ、安定した利益を得るためにも「企業について調べたり、分析するのは大切」とも。
「過去5年分ぐらいの決算は、買う前に調べたほうがいいと思います。特に、近年で大暴落があった2020年のコロナ禍中のデータは、会社の体力が測れるのでしっかり確認しましょう。こうして企業への理解を深め、出口を決めておく。海外情勢など予期せぬ展開が起こった際にどうするか、というのも事前に考えておきましょう。たとえば『想定外に上がった場合は、〇%を売る』など。逆もしかりです。予想したとおりには株価が上がらなかった場合はどうするか、撤退のタイミングも考えておきましょう」
撮影/三浦晴 イラスト/Kanna Takeda 取材・文/石井絵里































Baila Channel



















