総利益は100億円以上のカリスマ個人投資家・テスタさん。「投資信託は買っているが、個別株はよく分からない」、「そもそも、株の売買って何?」、など、BAILA世代の疑問に答えてくれます。

CONTENTS
- テスタさん、利益100億円はどうやって達成したんですか?
- どうやって勝ち続けるモチベを保っているんですか?
- 【テスタさんの格言①】 「大きく勝つよりも、コツコツと利益を積み上げるのが大事です」
- 株式投資は「特別な人がやるもの」な時代は終わった
- 銀行預金は円にフルベットしている状態。物価高の今、リスクとなりうる
- 【テスタさんの格言②】 「投資で労働以上の利益を受け取り、インフレ時代に対応を」
- 「株式投資」って賭け事とは何が違うんですか?
- どうやって株式投資のリスクを抑えたらいいですか?
- 【テスタさんの格言③】 「株はギャンブルではない。そして負けなければ、おのずと勝ちになる」
- 株式投資に向き・不向きってあるんですか?
- テスタさんが「株、向いてるかも」と思ったきっかけは?
- 【テスタさんの格言④】 「世の中にワクワクできる人は投資に向いているかも!」
- 経済学など専門的な勉強って必要ですか?
- そもそも「チャート」ってどのタイミングでチェックするんですか?
- 【テスタさんの格言⑤】 「日常の中で、時間やお金をかけずに学ぶ方法もある!」
- 手元に大きなお金がないと個別株投資を始めるのは難しい?
- NISAの「成長投資枠」をうまく活用せよ!
- 実際に投資するのがまだ怖い人は……。無料で売買のシミュレーションをしてみよう
- 【テスタさんの格言⑥】 「予算を策定して慎重に。怖い人はシミュレーションから始めよう」
- もし、次に株式市場の大暴落が来たらどうする?
- 初心者は暴落に向けて投資資金を準備しておく!
- 【テスタさんの格言⑦】 「〇〇ショックも冷静に分析すればチャンスになり得ます!」
- リスクを抑えた銘柄選びのコツってなんですか?
- 個別銘柄を買う際に意識しておきたいことは?
- 【テスタさんの格言⑧】 「収益が安定している企業を、業種別に分けて探してみましょう」
- テスタさんが「金(ゴールド)」を推す理由とは?!
- 金の希少性の高さも「時代を超えた財産」となり得る理由のひとつ
- 【テスタさんの格言⑨】 「金は大きなリスクヘッジに。資産の20%は持っておいてもいい!」
- 「利益確定」って何を基準にしたらいいんですか?
- 「損切り」は次の投資に挑むための第一歩
- 【テスタさんの格言⑩】 「“買う理由”がハッキリしていれば、売るタイミングも逃さないはず!」
テスタさん、利益100億円はどうやって達成したんですか?
書店で見つけた株の本を読み、元手300万円から株式投資を開始!
今から20年前の2005年に株式投資を始め、2024年には累計利益が100億円を突破。「カリスマ投資家」として、熱狂的な人気を誇るテスタさん。現在は本業のほかに、初心者に向け株式投資の基礎知識を教える講演活動なども行っています。「100億円」は途方もない数字だけれども、投資を始めたきっかけは? そして、なぜそこまでの利益を上げられたのでしょうか?
「きっかけは、労働以外でお金を儲ける方法はないかな? と思ったから。そんな頃に、たまたま書店で株式投資の本を目にして、興味を持ちました。元手は、約300万円。利益が出たら売却し、売ったお金でまた株を買い……と、コツコツと繰り返しているうちに20年以上がたちました」
テスタさんがたまたま読んだのは、デイトレード(1日で株の売買を完了させる投資の手法)の本だったとか。デイトレに加えて、スキャルピングと呼ばれる、数秒~数分で売買する株式投資にも挑戦。最初の2カ月間はマイナスを出したものの、3カ月目からはプラスに。以来、「今に至るまで、年間でマイナスになった年はない」とのこと。
転機はアベノミクス。利益が1億円→5億円に!
テスタさんの投資方針は「一回で大儲けを狙わない」こと。マイナスを作らず、小さな利益を積み上げる、リスクを抑えた売買を徹底しているそう。2011年には資産1億円を達成。個人投資家の中で、1億円以上の利益を出した人の通称・「億り人(おくりびと)」の仲間入りを果たすことに。
そしてさらなる転機が訪れたのは2013年のこと。
「この年から、アベノミクスが始まりました。政策に先駆けて2012年の秋頃から株式相場の環境がよくなり、1億円の資産が一気に5億円に。株式投資は、その時の経済状況によって成績が左右されます。今までの投資人生の中で、2012年~2013年がもっとも利益の伸び率が高い1年間になりました」
2016年には利益10億円を突破。同時期にデイトレードから、中長期中心の投資へとスタイルを移し、コロナ禍が始まった2020年は、40億円の利益に。そして気づけば20年間の総利益は100億円超えという凄まじい結果が!
どうやって勝ち続けるモチベを保っているんですか?
家賃を5万3000円から400万円まで少しずつ上げ、やる気を高めていった!
株式投資を続けるテスタさんですが、モチベーションは一体どこにあるんでしょうか?
「住まいにかけるお金です。投資を始めた頃は、5万3000円のワンルームに住んでいました。その後、利益を上げる度に少しずつ家賃の高い部屋に引っ越していき、『家賃の分は利益を出すぞ!』と、やる気を高めていましたね」
そしてさらにモチベを上げるために、5億円を達成したのちに、住まいを兵庫から東京へと移したのだそう。
「5億円の利益を上げた時点で、もう地元では一生暮らしていけるような気がして。このまま株式投資を続けるか悩みました。なぜなら投資にはリスクがあります。5億円が10億円になってもそこまでの変化はないかもしれないけれど、5億円が0円になったら人生が変わってしまう。このあたりでやめておいたほうが人生的にも正解かも?とも思いました。
するとモチベーションが落ちて、同時に成績もダウン。このままではいけないと思い、変化を起こすために上京を決意しました。それまでは家賃25万円ほどの家に住んでいたのですが、東京で家賃100万円のマンションを借りて、さらに自分を追い込んだんです。その後、また少しずつ家賃を上げていき、最高では月に400万円の部屋を借りていたことも。家賃だけで年間5000万円近くは必要になるので、『その分、利益を出そう』と真剣に投資と向き合いましたね」
今は「家賃を落としても投資へのモチベは下げない」を実践中
ちなみに最近は引っ越しをして「家賃を下げました」とのこと。
「若い頃よりも欲望が減ってきたのか、ちょっとだけ“終活”みたいなものも意識するようになっていて(笑)。今までは家賃を上げることで頑張ってこられたのですが、家賃を下げても己の中にある情熱をどれだけ高く保てるのか挑戦してみたいと、自分を新たなフェーズに立たせています。いっそのこと、古民家に住んでみようかなとも思ったものの、あまり現実的ではないなと考え直し、今は家賃300万円ぐらいの部屋に。今のところ、やる気を保ちながら、新しい環境になじんでいます」
【テスタさんの格言①】 「大きく勝つよりも、コツコツと利益を積み上げるのが大事です」
20年をかけて地道に利益を積み上げていったテスタさん。「負けなければ勝ち」の投資哲学を基に、BAILA読者に向けて、株式投資の基本や、金融リテラシーを伝授していきます。

株式投資は「特別な人がやるもの」な時代は終わった
労働しているだけだと一方的に「搾取」されてしまう。まずはそれに気づこう!
株式投資というと、テスタさんのような専業トレーダーや、経済に詳しい「特別な人」がやるものと思いがち。自分には関係ないと考えている人も多いはず。ところが「まじめにお仕事を頑張っている方ほど、投資にも目を向けて欲しいです」との意見が。
「これは資本主義の仕組みなのですが、会社員をしている方にとっては、実際に働いた分よりも少ない額しか手元に入りません。それはなぜか。収益と人件費の差額で会社経営は成り立っているからです。例えば月給30万円の方って、実は30万以上の労働をしているわけですよね。一方で、株式投資では、ある企業の株を買って”株主”となり、その企業の利益を分けてもらうことができます。普段、組織でしっかり働いている人ほど、投資で労働以外のお金を受け取りに行ってみるのもいいんじゃないかなと僕は思います。搾取されている分を取り返しに行くんです(笑)!」
毎年2%物価が上がっていけば、10年後には今より20%以上の物価高になる
さらに2022年から始まった日本のインフレ政策にも「対策を講じたほうがいい」とも。
「今、日銀では年2%の物価上昇率を目指しています。国が経済発展のために行っている政策なので、悪いことではありません。年2%の上昇率と聞くとあまりぴんとこないかもしれませんが、10年たつと今よりも20%以上物価が上がることに。その分、お給料も上がるといいけれども、そううまくはいかないかもしれないですよね。となると投資の力を借りて、年2%以上の利益を自分でコツコツ作ることが必要になってきます」
銀行預金は円にフルベットしている状態。物価高の今、リスクとなりうる
現金は知らない間に目減りしている
この物価上昇率をさらに深掘りしていくと、「円のみの銀行預金はメリットが少ない」という結論に。
「毎年2%ずつ物価が上昇していくと、今ある手持ちの現金100万円は、10年後には約82万円の価値に落ちることに。銀行にただ預けているだけの貯金は、資産としてはどんどん目減りしていってしまいます。また円での貯金は、実は“日本円に全額投資”しているのと同じ状態。この先、日本が国際的な有事に巻き込まれる可能性がないとは言えないですし、円にフルベットするよりは、円、ドル、金など、資産をいろんなものに分散して持っておいたほうが、個人的にはいいと思います」
手始めにNISAで投資信託を買うのもアリ!
とはいえ、テスタさんのように、いきなり個別銘柄の売買に踏み込むのはハードルが高すぎるし、知識もない……。そんな人はどうすればいいですか?
「NISAで、日本以外の国の株式が入っている投資信託を買うのもいいと思いますよ。アメリカは先進国の中でも人口が増え、産業も拡大する見込みがあります。また、別の新興国の成長に投資しておくのもアリだと思いますね。NISAは少額から始められて、しかも売却益が非課税になるんですよね。やっておいて、損はないんじゃないかと思います。投資信託は、個別銘柄を集めたもの。『投資信託の中身って何だろう?』、『どんな銘柄が入っているんだろう?』と、意識が向くようになれば、個別株の投資にも興味が湧くかもしれません」
【テスタさんの格言②】 「投資で労働以上の利益を受け取り、インフレ時代に対応を」
労働収入と株式投資の基本について、そして日本経済の現状についても解説してくれたテスタさん。シリーズのほかの記事でも、「投資ってギャンブルみたいなものだよね?」など、初心者のギモンに答えていきます。

「株式投資」って賭け事とは何が違うんですか?
ギャンブルには「胴元」がいる。一方で、株式投資は資本主義の成長にお金を投じる行為
株式投資と言われてまず思い浮かぶのは「……え、それってギャンブルなんじゃないの?」というイメージ。そして勝てれば一攫千金、負ければ資産を失ってすっからかん、といった、0か100かみたいな漠然とした恐ろしさも。テスタさん、株とギャンブルって何が違うんでしょうか?
「そうですね。混同される方も多いと思いますが、違います。宝くじや競馬などのギャンブルには、胴元(どうもと)と呼ばれる主催側がいます。参加した人の出資金や利益の一部は、この胴元に吸い上げられる仕組みに。一方で、株式へ投資する場合は成長を見込める企業にお金を出し、利益が出たら分配金を受け取ります。これは“経済は上がっていく”という資本主義のルールに基づいて行うものなので、胴元はいません」
経済には波がある。それを理解し、リスクを最小限に抑えるのがキモ
とはいえ、経済にはアップ&ダウンがつきもの。働いて得た収入で株を購入したものの、投資先の業績が悪化したり、思わぬ不況に巻き込まれたりして、お金を失ってしまうのは怖い……!
「分かりますよ。経済は上下を繰り返しながら、長期的に見ると上がっていくものではあるのですが、短期で見ると下落や暴落の局面もあります。あとは投資先の会社の業績が思わしくなく、上場廃止になったりする場合も困りますよね。株式投資はプラスサムゲーム(最終的には参加者全員に何かしらの利益が得られる状況のこと)だけど、そういったリスクがある側面も理解をしておいたほうがいい。その上で“できる限りリスクを抑える”ことが、大事になってくるんです」
どうやって株式投資のリスクを抑えたらいいですか?
勝つのではなく負けを減らす。一攫千金は狙わない!
テスタさん自身の投資も、「リスクを抑える」という哲学は一貫しているそう。
「まずは“一度に大きく勝とう”と思うのはやめましょう。株式投資=一攫千金的なイメージがありますが、僕は、トータルで利益を増やせればよいと思っています。投資を始めてから6年目で資産1億円に達しましたが、これも、勝つよりも負けを減らすように努力した結果、たどり着いたもの。たとえば僕の場合、最初はスキャルピングやデイトレードといった、超短期~短期の売買から始めました。当時はアルゴリズムが発達していなかったので勝ちやすい手法だった、という理由もありますが、手持ちの資金を株式市場に晒しているのが長くても1日以内と、負けるリスクが少ないと思ったからでもあるんです」
「複利」の効果を利用しよう!
株式投資でコツコツ勝っていくために不可欠なのが「複利」への理解。
「これは簡単に説明すると、株の売買で得た利益+元本分を再投資すること。利益を得たら、また次の株式投資の資金に使う。大きく勝たなくてもいいんです。小さな利益でも複利で投資を回していけば、いつしか利益は雪だるまのように大きくなって増えていく。僕は、株式投資の魅力は複利効果にあると思っています」
【テスタさんの格言③】 「株はギャンブルではない。そして負けなければ、おのずと勝ちになる」
株式投資とギャンブルの違い、株はプラスサムゲームだがリスク局面もあること、そしてリスクを抑えながら資産を増やす考え方を伝授してくれたテスタさん。ほかの記事でも、投資の勉強の仕方や実際の始め方などをレクチャーしてくれます。

株式投資に向き・不向きってあるんですか?
好奇心旺盛な人は、株式投資に向いている!
市場の値動きに連動した投資信託などと違い、自分で銘柄を見極めて、個別の株を購入する株式投資。難しいイメージがありますが、向き・不向きはあるのでしょうか?
「正直なところ、向き・不向きはあるような気がしています。向いていると思うのは、株の銘柄についてワクワクできる人。もう少し簡単に言い換えると、世の中で起こっているモノやコトに好奇心を持てる人だと思います。不向きな人は、その逆になるのかもしれないですね」
会社員であっても、投資の適性を持っている人はいるということでしょうか?
「専業トレーダーとは違い、何らかの形で企業や組織に属している人は、自分の携わっている業界に詳しいし、世の中のトレンドや情報に敏感なイメージがあります。これは株式投資をする面で、大きなメリットだと思います」
実は毎日のちょっとしたことが、投資のヒントになる
実はテスタさん自身も、日々の生活の中から投資のヒントを得ているんだそう。
「コロナ禍の間に、とあるカラオケの会社の株価が下がったんですね。密の回避が叫ばれていた時期で、確かにカラオケは感染の可能性が高い娯楽と言われていました。でも、その会社の業績をよく調べたら、カラオケ以外の事業も展開していて。さすがにカラオケ部門の収益は低調だったものの、その他の事業はうまく回っていたし、経営状態が悪いわけではなかった。前代未聞の感染症が広がってしまったせいで集客は減ってしまったけれど、カラオケ好きな人ってたくさんいますし、カラオケビジネス自体は何も悪くない。『コロナ禍が収まったら、またみんなで集まって楽しく歌える日が来るはず』、『そうしたら業績も再び上向くだろう!』と明るい未来をイメージして、その会社の株を購入。結果的にコロナ禍が落ち着いた頃に、想定していた通り億単位の利益を得ることができました」
テスタさんが「株、向いてるかも」と思ったきっかけは?
1日に300人の個人投資家ブログを、ワクワクしながら読んでいた!
情報収集が苦ではなかったことが「向いている」実感につながったという。
「僕の場合、とにかくたくさんブログを読んで知識をつけました。株式投資を始めた2005年頃は、ちょうどブログ全盛期だったので、株式投資について書いている人がたくさんいて。皆さんの手法や投資方針などをワクワクした気持ちで読んでいました。『上手な人って、こうやって利益を出しているのか~』と感心したり。中には『明日、ここ一番の大勝負をかけます!』とか、ドラマみたいな展開の日記もあってワクワクしました(笑)。手法も手元の資金も違う、毎日300人ぐらいの個人投資家の方のブログを読んだと思いますが、まったく苦痛ではなかったですね。調べているという意識すらなかったです。
今だったら、XなどSNSやYouTubeでも情報や知識を得られるんじゃないでしょうか。ただし詐欺への誘導や誤情報も多いので、その点は気をつけていただきたいですが……。僕は、株式投資は、知識を身につければ『勝てるべくして勝てるもの』だと思っています。1億円までは、勉強すれば利益を得られる肌感覚がありますね」
投資の勉強はダイエットと同じ。「まず、続けてみる」
「投資の勉強を続けるコツは、ダイエットや筋トレと少し似ているかもしれません」と語るテスタさん。
「ダイエットや筋トレって一気に頑張るとリバウンドしたり、頑張ること自体が嫌になっちゃいますよね。投資の勉強も同じ。『毎日、何かしら株に関する情報に触れよう』ぐらいの気軽さでいいと思います。少しでいいので毎日コツコツ続けると、自分なりに見えてくるものがあるはず」
【テスタさんの格言④】 「世の中にワクワクできる人は投資に向いているかも!」
具体的な経験談を交えながら、株式投資に向いている人について考察してくれたテスタさん。興味を持った人は株について少しずつでも調べてみると、知らず知らずのうちに力がついているかも。

経済学など専門的な勉強って必要ですか?
経済専門紙、ニュースはそこまで深掘りしなくても大丈夫!
プロが銘柄の選定や運用をしてくれる投資信託と違って、個別銘柄への投資となると、「自分で勉強しなくてはいけない」というイメージが。専門知識を身につけたり、最新情報もアップデートし続けていくのが基本に? ……となると、勉強に充てる時間やお金もそれなりにかかりますよね?
「もちろん、ある程度の勉強や努力は必要です。でも、“経済学をみっちり学ぶ”、“専門紙を購入する”など、肩に力を入れすぎなくても大丈夫だと思っています。僕も、最初の頃こそ株の勉強のためにある程度の時間は費やしましたが、今はテレビのニュースも見ていないですし。経済の専門紙を読むこともしていません。ネットニュースや、Xで流れてくる株に関する情報をチェックしているぐらいです」
ChatGPTを、投資の情報集めに活用するのも手!
そして「特に今の時代は、お金を使わなくても株式投資への理解を深められるツールはいっぱいあります」とも。
「ChatGPTを活用してみてください。たとえば『A社の決算内容を教えてもらえますか?』、『過去10年で黒字利益を出した年はありましたか?』、『黒字は何年続きましたか?』など聞けば、答えてくれるでしょうし、分からない部分が出てくれば、自分が調べるヒントになりますよね」
そもそも「チャート」ってどのタイミングでチェックするんですか?
身近にあるものを、株価の値動きに紐づけてみよう
さらに株式投資をする際に、最低限知っておきたいのが、銘柄別の株価の値動きをグラフにした「チャート」の存在。証券口座を持っている人ならば、専用アプリで見ることができる。まだ口座を持っていない人も、Googleファイナンスなど、ネット上からも無料で確認可能。しかしこれも、チャートだけを見るのは、なかなかしんどいし、味気ない……!
「そうですよね。こちらの記事でお話した、“日常の中でワクワクしたことを投資のヒントにする”話じゃないですけれども、たとえばお気に入りの化粧品を見つけたら、『この会社、上場しているのかな?』、『(上場しているなら)株価のチャートを調べてみよう』と考えるクセをつけてみてください。生活の中で、気になる→調べるを習慣化してしまえばいいのかなと思います。1年も見続ければ、おのずとその会社の動きや市場の動向もつかめ、投資への底力もつきます」
完全無料・テスタさんの勉強法!
ちなみにテスタさんの場合は、初心者時代にこんなやり方で市場の値動きを掴んだのだという。
「僕が株式投資を始めた2005年頃は、東京証券取引所に上場している企業は約4000社ほどありました。でもその中で、実際に経済を動かしている会社は400社ぐらいだったんですね。そこで、400社の銘柄名と銘柄コード(銘柄に割り当てられている4桁の番号)をリストアップし、毎日、チャートを見ていました。1日1回必ずチェックしていましたが、かかる時間は30分ぐらいだったと思います。それでも、1年たつとぱっとチャートを見ただけで『この会社は、最近、いい値動きをしているな』、『そろそろ株価が上がりそうだ』などの見当がつくように。自分でも実力がついたと感じました。時間もさほどかからず、そしてもちろん無料です。お金をかけなくても、勉強する方法はあるんです」
【テスタさんの格言⑤】 「日常の中で、時間やお金をかけずに学ぶ方法もある!」
個別株投資のための、具体的な学び方を伝授してくれたテスタさん。身近なところから興味を広げていけば、おのずと投資センスも磨かれるかも。

手元に大きなお金がないと個別株投資を始めるのは難しい?
大きな金額を投じなくてもいい。大事なのは総資産の中での割合
資金300万円で株式投資を始めたテスタさん。それが今や100億円を超える利益を出していますが、やっぱり最初からそれなりの金額を投じないと、投資で利益を得るのは難しいのでしょうか?
「そんなことはないですよ。むしろ少額から始めてください。大事なのは総資産の中でのバランス。たとえば、お仕事で貯めたお金が500万円あるとしますよね。当たり前ですが、500万円をすべて個別銘柄に投資するのは控えておいた方がいいと思います。『100万円は個別株の投資資金にしてもいい』とか、『次のボーナスのうち、1/3は個別株に投資してみよう』と決めて、それまでに勉強をし、準備を進めていくのがおすすめ。投じる金額や割合は、皆さんの手持ちのお金やライフスタイルによって違うと思うんですが、最初は無理なく、楽しめる範囲から始めるのがいいと思います」
30代・BAILA世代は、コツコツと資産を増やせる年代。だからこそ慎重に
また「年齢的にも焦って利益を上げようと思わなくて大丈夫です」とのこと。
「人生100年時代ですから。BAILAを読んでらっしゃる30代は、まだ充分に資産を増やしていける年代。確かに個別銘柄の中には、1年に株価が3倍に値上がるベンチャー企業、みたいなものもあります。たとえばもし、そんな銘柄を調べ上げ、投資資金の100万円をフルベットして大きな利益を出せたらすごいです。でも、そんなに急いで勝率を上げなくても大丈夫。それに僕の中では、資金を一極集中すると、その分、下げも激しい実感があります。長い時間軸で市場を捉えて、少しずつ個別銘柄に資金を投じていきましょう」
NISAの「成長投資枠」をうまく活用せよ!
年間240万円の非課税枠の中で、個別銘柄を買ってみる
テスタさんはBAILA読者に向けて「NISAの成長投資枠を使ってみたらどうですか?」と、アドバイス。NISAの年間360万円の非課税枠のうち、120万円はつみたて投資枠。この枠内で国内外の投資信託を購入している人も多いはず。そして残りの240万円の成長投資枠は、「何を買えばいいんだ?」、「どう使ったらいいんだ?」と、迷って放置している人も多い。
「非課税になる年間投資額の360万円を1年で割ると月に30万円になりますが、この金額を毎月投資に回せる人って、そんなに多くないと思います。上記で株式投資と経済の相互関係についてお話したように、NISAは、インフレに備えて月に1万円でも積み立てておいたほうがいいんですが、残りの240万円の非課税枠内で、さらに予算を決めて投資信託ではなく個別銘柄の購入を考えてみるのも有効だと思います 」
実際に投資するのがまだ怖い人は……。無料で売買のシミュレーションをしてみよう
さらにテスタさんから、個別銘柄を買う前に「こんなことをしてみても」というアドバイスが。
「『予算を決めていても、やっぱりいきなり購入するのは怖い!』という人は、実際の投資を行う前に売買のシミュレーションをするといいですよ。気になる銘柄をピックアップし、購入した“つもり”で、メモをする。そして株価が上がってきたら利益確定のために売った“つもり”で、その金額もメモ。これを繰り返して、たとえば1年間でトータルいくら利益が出せたのか、出せたならば何%ぐらいの利益なのか、答え合わせするんです。専用アプリもありますが、自分でメモすればお金もかからない。無料でできる株式投資の勉強法の一種ですが、無料だからこそ、真剣にやること! そしてトータルの利益でマイナスが出ちゃったら、『個別銘柄に、お金を入れなくてもいいかも?』、『そもそも銘柄の選び方が違っていた?』など、自分なりに見えてくるものがありますよね」
【テスタさんの格言⑥】 「予算を策定して慎重に。怖い人はシミュレーションから始めよう」
「元本を大きく入れる必要はない」、「不安な人はシュミレーションから始めよう」と、リスクを限りなく抑えた投資方法を教えてくれたテスタさん。まずは手持ち資金を見直して、無理のない予算を組んでみよう!

もし、次に株式市場の大暴落が来たらどうする?
暴落は「必ずくる」もの。売るのではなく、絶好の買い場と考えよ!
株式投資をするにあたって、最も怖いのが市場の暴落。2005年から株式投資を始めたテスタさんは、2008年のリーマン・ショックも経験済み。さらに2020年のコロナ禍では「コロナ・ショック」と言われるほどの大暴落にも遭遇した。直近では、トランプ大統領が就任後、関税問題で株価の下落が起こり……。こうした「〇〇ショック」を不安に感じてなかなか投資に踏み出せない人も多いはず。どう考えればいいんでしょうか?
「気持ちは分かります。特に日本では、1990年代初頭にバブル景気が終了したあと、日経平均株価の史上最高値が2024年まで、約35年更新されなかったこともあり、“不景気で株価がなかなか上がらない”という感覚が刷り込まれている人も多いですよね。資本主義経済は下落と上昇を繰り返しながら、全体的に上がっていくものなのですが、歴史的に見ても“〇〇ショック”は、必ず起こるものなんです。
ただ冷静に考えると、そこで資産が減るのは、そもそも“株を持っている人”だけ。そして大損するのは、下落時に株を売ってしまった人です。売った人が『大損した』話だけが広まってしまい、“〇〇ショックは恐ろしい”というイメージが一人歩きしている面も否めません。暴落は、これから株式投資を始める人にとっては、むしろチャンス。株価がど~んと下がったところで市場に参入できる、絶好の買い場なんです」
すでに個別銘柄を持っている人も、新たな買い増しのチャンス
コロナ・ショックの際に、業績が低迷していたカラオケの会社に目をつけて、市場の回復とともに億単位の利益を得たエピソードも語ってくれたテスタさん。ショックが起こっても、市場から撤退せず、さらに資金を投入すれば利益を上げられるのだ!
「コロナ・ショックは、起こることを予測できる人はもちろん誰もいませんでしたし、相場全体が一気に下落しました。カラオケは感染拡大に関わりのある娯楽で一時的に株価が下がっていました。中には新型コロナウイルスに、あまり関係ない業種の銘柄も下がっていたんです。どんなに暴落した市場も、必ず元に戻ります。皆さんにお伝えしたいのは、この先に“〇〇ショック”がやってきて、一時的に資産が目減りしても慌てないこと。そんなときこそ、ピンときた会社の業績を見極め、市場の復活と共に値上がりしそうな優良企業の株を買い増す、いいタイミングでもあるんです」
初心者は暴落に向けて投資資金を準備しておく!
気になる企業の“ショック耐性”をチェックしてみるのもおすすめ
これから投資を始めるビギナーたちは、コロナ・ショック後の現在から、株式相場へ参加することになる。
「気になる企業がある人は、2020年の利益の数字を見て下さい。経済への影響があれだけあったので、ほとんどの企業が赤字です。その中でも、大きな赤字を出していない、もしくはすぐに赤字から回復できている企業は、優良企業ということ。『コロナ・ショックを、どうにかして乗り切っているかどうか』というのは、今も投資判断の一つの材料になると思っています」
「ショック待ち」をして買う手法もアリ!
仕事をしながら株式投資に取り組むBAILA読者の場合は「次の〇〇ショックを狙ってもいいかもしれません」とも。
「それが3年後か、5年後か、それとも10年後になるのかは分かりませんが……。ショックは必ず起こります。お仕事をしながら投資ができる環境にいる方は、暴落や下落に備えてお金を貯めておくのもいいと思いますね。市場にショックが来たら買う、みたいな形で“ショック待ち”をするのも一つの投資スタイルです」
買い方にもコツが。
「テレビなどがトップニュースで『株価が大暴落しました』と報じたら、少し買う。また次の日も『もっと下がりました!』というニュースが入ったら、さらに買い増す。そして後は、『相場が回復するのを待とう~』と、気長に構えること。下がったら、あとはは上がっていくだけですから。ショックのリスクを抑え、ギャンブルをせずに利益を得ることができます」
【テスタさんの格言⑦】 「〇〇ショックも冷静に分析すればチャンスになり得ます!」
ひたすら恐ろしいイメージがあった株式相場の暴落を、「初心者がリスクを抑えて市場に参入するチャンス」と教えてくれたテスタさん。ニュースを見るときなどに意識してみても!?

リスクを抑えた銘柄選びのコツってなんですか?
まずは“倒産する可能性が低い”企業を選んでみてください
個別株への投資をする際に、大事になってくるのが株の銘柄選び。初心者ゆえに、何を基準に選んでいいのか分からない。そしてやっぱりリスクは抑えたい。こんな場合はどうしたらいいですか?
「『ずっと黒字の会社はどこだろう?』という視点で、企業を探してください。日本にも、毎年安定して利益を出し続けている優良企業はたくさんありますよ。そういった企業は利益を得た分だけ、会社の中で資金を溜め込んでいます。これを内部留保というんですが、内部留保の多い企業こそ、不況や急な経済ショックにも耐えられる力がある。長期間黒字であれば内部留保はどんどん増え、企業の価値は上がっていきます。そういう会社は“潰れる可能性も低い”と考えて下さい。
初心者の方は、長期的に株価の値上がりが見込め、同時に内部留保の中から株主へ、配当金という“利益分の現金”をしっかり与えてくれる銘柄を探しましょう。たとえば、年に3%の配当金を出す会社の株を探して買い、そのまま持っておく。すると株価が3%上がった年は、配当金も含めて6%の収益を得たことになりますよね。持ち続けていればある程度の乱高下はありますが、株価が3%値下がりした年でも、配当金を考慮するとプラマイ0%。マイナスにはなりません。リスクの低い投資方法になると思います」
配当利回り4%以上が高配当銘柄。コツコツ持ち続けるだけで利益が
よく耳にするのが「高配当銘柄」。実際のところ、何を基準にしているんでしょうか?
「企業から株主への配当金の利率はだいたい3%~4%ほどなのですが、4%以上の配当金を出す銘柄が“高配当銘柄”と呼ばれています。日本企業の場合、配当金は年に1~2回、株主に支払われます。『えっ、4%分の現金しかもらえないの?』と思う方もいるかもしれないですけれども、4%の配当金が、いつか合計で100%以上になればそれだけで元が取れますよね。もちろん時間はかかりますが、コツコツと持ち続けることで、不労所得を積み上げることができます」
株価が上がらなかったとしても、「配当金」+「株主優待」の恩恵を受けることができる!
「株式優待でもらえる商品も“お金”と同じ。洗剤、お米など、生活必需品がもらえるのであればそれもメリットです。そして優待と配当金を合わせると、さらにその株の収益率が上がります。商品自体に2%ほどの価値があり、その上で配当金が年に4%あるとしたら、株を買い、あとは放置しておくだけで年に6%の利益が出せます。よく調べると、優待の価値+配当で10%という企業もありますよ。優待+配当で10%の株を10年以上持っていたら……。株価が上がらなくても、元本割れはしないし、勝ち確定の利益を出し続けることになりますよね。『この優待はもういいかな』と思ったときに、株価が上がっていれば売却益を得られるし、マイナスになって損切りしたとしても、『優待でもらい続けていた商品の合計と、配当金を合算すると、結局はプラスの利益を出せた』ということもあります。
ちなみに僕の場合、株式投資を始めた20年前頃に、牛丼チェーンの銘柄を購入したんです。その企業は年に2回、3000円ずつのお食事優待券をくれるんですね。それだけで何もしなくても1年に最低で6000円を得ています。これが20年間続くと、12万円分の優待券をすでにもらっていることに。プラス、配当も含めると、16万円ぐらいの利益になっていると思います。優良企業なので、僕が購入したときよりも株価も上がっています。仮にもし、その企業が倒産したとしても、購入時の金額からマイナスになることはないですし、牛丼代も浮いているので問題ありません(笑)」
個別銘柄を買う際に意識しておきたいことは?
10銘柄ぐらいを目標にし、業種は分ける!
「手持ち資金を1銘柄に集中投資するのは避けましょう」とテスタさん。
「100万円分を株式投資に使おう、と思ったら、50万円分をA社、残りの50万円分をB社と分けること。業種も違うものにしたほうがいいですね。A社が自動車の企業だとしたら、B社は飲食店など。ちょっとずつ買い足していき、10ぐらいの銘柄に分散できればいいと思います」
個別銘柄で、分散投資が大事な理由とは?
「業績の悪化や、市場の暴落リスクを抑えるためです。A社の自動車の業績が落ちても、B社の飲食店、C社のスマホメーカーでフォローできれば、自分の資産は守れますよね。リスク分散をしておいて、トータルで利益を積み上げていけば、おのずと負けることはなくなります」
「企業への応援で買う」のはボランティアの気持ちで
ちなみに世の中には「株式投資はその企業への応援」という見方もある。テスタさん、これについてはどう思いますか?
「ボランティアみたいなものかなと。もちろん悪いことじゃないですよ。応援をしたい方はすればいいと思います。でも利益を取りに行くための個別株投資とは、また別の話だと思うので。“しっかり勝ちたい”と思うならば、リスクがどれだけ低いかをちゃんと調べた上でお金を投じていったほうがいいと思います」
【テスタさんの格言⑧】 「収益が安定している企業を、業種別に分けて探してみましょう」
個別株投資の初心者が銘柄を選ぶコツ、配当金と優待が持っている威力、そして株式市場に居残るための「分散投資」について教えてくれたテスタさん。リターンを多角的に分析して、購入する株を見極めよう。

テスタさんが「金(ゴールド)」を推す理由とは?!
金は、世界で最も安全な資産だと思います
これまで、株式投資にまつわる考え方や、勉強方法、銘柄選びや利益確定の仕方について教えてくれたテスタさん。さらに「これからは、通貨以外のものにも資産を分散投資したほうがいい」とのこと。その代表例として挙げてくれたのが金(ゴールド)への投資だ。金はなぜ、持っておいたほうがいいんでしょうか? そして円やドルといった通貨との違いは?
「円もドルもユーロも、その国や地域の通貨。今のところドルが基軸通貨という、世界中の商売や取引のための共通通貨になっています。ただし通貨は、政情や経済状況によって大きく価値が目減りする可能性が。これはもちろん基軸通貨のドルも同じです。一方で金は、“古来から変わらずに、世界共通で価値を持っている”通貨、だと思ってください。
上記で円だけの預金はリスクが高いし、インフレ経済に対応できない。そのためには外貨も含めた投資信託を持ったり、個別株に投資したりしてリスク分散しながら資産を増やしていこうというお話をしてきました。さらに資産防衛の力を高めるには通貨以外の金も、持っておいたほうがいいと僕は考えています」
金は、世界中に「買い手」がいる!
金が持つ魅力とは「世界のどこかに、必ず『欲しい』人がいるところ」とも。
「もし日本が国際的な有事に巻き込まれてしまい、円の価値がほとんどゼロになったとしますよね。そうするといくら円を持っていても、世界中の人たちから『もう円はいらない』と言われてしまうかもしれません。でも金は、世界中の人が『欲しい』と思う資産です。つまり、どこかには必ず“買い手”がいると考えると、リスクを極力抑えられる資産なんですよね」
金の希少性の高さも「時代を超えた財産」となり得る理由のひとつ
金は地球上に限られた量しか存在していない
金はもともと地球上に存在する鉱物。そのもの自体が売買の対象になるうえ、アクセサリーなどにも加工できるという、両方の価値を持っている。ただし、天然のものゆえに量には限りが。
「紙幣は紙なので、なくなったら刷ることができますよね。でも金は再生産ができません。世界には競技用プール4.5杯分ほどの金しかないといわれていますが、すでにその多くが掘り尽くされています。そういう意味でも希少価値がある。量は増えないけれども、欲しい人は減らないから、今後も安定して値上がりしていく資産と考えられているんですよね」
そしてテスタさんは、こんなユニークな見解も。
「希少性だけで考えたら、もっと採掘量が少ない鉱物もあるんですよ。プラチナは金よりも少ないと言われていますし。でもなぜか、人は金に魅了される生き物なんじゃないかと僕は思っています。通貨が発達する前の時代から『金は資産』と考えられていましたよね。人間のDNAの中には、ゴールドをありがたがるDNAがあったりするのかなあ、なんて(笑)。五輪のメダルも、1位はやっぱり金メダルですしね」
購入は、保管や交換がラクなETF(上場投資信託)がおすすめ
確かに、黄金のマスクや金の茶室など、ゴールドには普遍的な価値を持つ美術品・工芸品などのイメージも。リスクを抑えた資産形成のひとつとして、持っておくといいのかも! 気になるのは購入方法。指輪やネックレスなど身につけられる加工品を買っておくのもよさそうだが、現物の金そのものを買うとなると、保管場所や、保管するためのランニングコストがかかりそう……。
「金のETF(上場投資信託)を購入すれば、現物を持つ必要がなく、紛失や盗難のリスクを抑えられますよ。ETFとは証券取引所に上場している投資信託のこと。金のETFは、株と同じように証券会社から通貨で購入でき、相場の上下を確認できます。現物での買い増しや貸金庫での保存を否定はしないですが、ETFのほうがコツコツと買っていくためのハードルが低いかもしれないですね。やっぱり現物を手元に置いておきたい! となったら、そのETFを売却すればOK。いつでも金と交換できます」
資産額のどれぐらいを、金の購入に充てたらいいんでしょうか?
「そうですね。金は最高のリスクヘッジとも言われているので。これからの時代は、資産の20%は金に投資しておく、とかでもいいと思います」
【テスタさんの格言⑨】 「金は大きなリスクヘッジに。資産の20%は持っておいてもいい!」
あらゆる角度から、BAILA世代のマネーリテラシーを高めてくれたテスタさん。「30代はまだ資産形成の途中の段階だと思います。物価高に負けず、でも変に一攫千金を狙わずに。トータルでお金を増やせるよう、焦らずコツコツとやっていきましょう」と、一貫したアドバイスをくれました。この教えを胸に、確実に資産を増やしていきたい!

「利益確定」って何を基準にしたらいいんですか?
株を買う前に「売る時期&おおよその利益」を想定しておく
個別株への投資で難しいのが「利益確定」のタイミング。買った株って、一体いつ売ればいいのでしょうか? 購入時よりも株価が上がり、含み益が増えると「まだ上がるから、今、確定したらもったいないんじゃないか?」と思いつつ、「でも下がったら損をしてしまう~」とモヤモヤが。その結果、なかなか売れない状態に陥りがち……。
「こういう方は少なくないんじゃないかと思います。ちょっぴり厳しい言い方になっちゃいますけど、“売りどきが分からない”っていうのは、最初の設定が甘いからなんですね。株を買う前に、『この会社のこの商品は売れる。半年後の決算前までに、株価はこれぐらい上がるだろう』と、ある程度イメージしておくことが大事なんです。そうすれば売りどきは自然と決まってくるし、なんとなく銘柄を持ち続けることはないわけです」
具体的なイメージを持つためにも、企業の分析は大事
投資先の解像度を上げ、安定した利益を得るためにも「企業について調べたり、分析するのは大切」とも。
「過去5年分ぐらいの決算は、買う前に調べたほうがいいと思います。特に、近年で大暴落があった2020年のコロナ禍中のデータは、会社の体力が測れるのでしっかり確認しましょう。こうして企業への理解を深め、出口を決めておく。海外情勢など予期せぬ展開が起こった際にどうするか、というのも事前に考えておきましょう。たとえば『想定外に上がった場合は、〇%を売る』など。逆もしかりです。予想したとおりには株価が上がらなかった場合はどうするか、撤退のタイミングも考えておきましょう。上記でも話したカラオケ企業への投資では、『コロナ禍が収まって半年たったら売ろう』と決めていました」
「損切り」は次の投資に挑むための第一歩
マイナスの利益で撤退するのは、悪いことではない!
投資の世界でよく言われる「損切り」。買った値段からマイナスになってしまった株を、手放すときに使われる表現だが、テスタさんは「損切りは悪いものじゃないんですよ」と解説。
「買ったときよりも株価が下がった状態で利益確定するのは、楽しいことじゃないとは思いますが。損切りは、むしろしたほうがいいんです。評価額がマイナスになったのは、自分の読みが外れた証拠。銘柄の選び方なのか、買い方なのか、何かしらマイナスになった理由があるわけです。買ったときの値段のことは忘れ、負けを潔く認めて損をしたほうがいいです。そして失敗を学びに、次の投資へと挑みましょう。僕自身いまだに損切りをしていますよ。購入した銘柄のうち3~4割は損切りしていると思います。『そんなに?』と思われる方もいるかもしれないですが、3割、4割負けても、残りの7割、6割で勝てればOK。“トータルで勝ちに行く”ことを意識しましょう」
“塩漬け”はお金と時間をムダにするだけ
マイナスの評価額になっても「いつかプラスに転じる」と信じて、いつまでも買った株を保持し続けるのが“塩漬け”と呼ばれる行為。これはあまり推奨できないそう。
「マイナスだった株価が、確かに途中からプラスに転じることはあります。個人投資家が一度は経験することかもしれません。でもこれって、ダメな成功体験なんです。最初の設定がブレているのに、偶然プラスに戻った経験をすることで『次もきっと同じ展開になるはず』と何かしら理由をつけて、いつまでもその株を保持してしまう。これはよくないんですよ。100万円分の株を買い、10万円の損失が出たとします。『いつか10万円戻るはず~』と、ふわ~っと思いながら何年も塩漬け状態にするよりも、90万円で利益を確定しましょう。そしてその90万円で新たな銘柄に投資したほうがよっぽどいいです。中には『もうマイナスの評価益を見たくないから、何年も放置してる』という人もいますよ。でも、結局は塩漬けの株ばっかり持っていても、利益を生み出しようがないわけですから。時間もお金ももったいないです。自分と向き合い、新たなチャンスを取りに行って欲しいですね」
【テスタさんの格言⑩】 「“買う理由”がハッキリしていれば、売るタイミングも逃さないはず!」
利益確定のタイミングと、損切りの大切さを教えてくれたテスタさん。「なんとなく買い」せずにしっかり狙いを定めて購入すれば、売るタイミングもおのずと見えてきそう。
*本記事はマネー情報の提供を目的にしており、特定の金融商品の売買の推奨はしていません。記事の内容にもあるように、株式投資はリスクを伴います。自己責任の範囲内で行うようにお願い致します。
撮影/三浦晴 イラスト/Kanna Takeda 取材・文/石井絵里













































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