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“ジューンブライド”の6月に観たい!結婚・夫婦を描く映画&韓ドラ4選【今祥枝の考える映画vol.39】

長年にわたり映画・海外ドラマの最先端を取材&執筆している今祥枝(いま・さちえ)さん。ハリウッドの大作から最新のドラマシリーズまで、劇場公開・配信を問わず、おすすめの作品を月1回ご紹介します。第39回は、“ジューンブライド”の6月に観たい新作映画&韓国ドラマ4選の見どころを解説します!

映画 ラブ・イン・ザ・ビッグ・シティ 主人公のジェヒとフンスの写真

6月13日公開の韓国映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』。映画『破墓/パミョ』で百想芸術大賞・女性最優秀演技賞を受賞したキム・ゴウンと、AppleTV+の秀作ドラマ『Pachinko パチンコ』で注目を集めたノ・サンヒョンが、友情を深めていく男女を好演。

読者の皆さま、こんにちは。

最新のエンターテインメント作品を、その時々のテーマに合わせてゆるりと読み解いていく、この連載。第39回は、結婚・夫婦の悲喜こもごもを描く映画&韓ドラ4選をピックアップ! 

限られた時間を精いっぱい生きる男女の愛を描いた『We Live in Time この時を生きてと百想芸術大賞にノミネートされた話題の韓国映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』、死後の世界でめぐり合う夫婦の最新韓国ドラマ『君は天国でも美しい』、ソ・ヨンジュン&コン・ユ共演の異色の韓国ドラマ『トランク』の4作品から、正解のない結婚や夫婦のあり方について考えてみたいと思います。

CONTENTS

  1. 映画『We Live in Time この時を生きて』6月6日公開
  2. 映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』6月13日公開
  3. ドラマ『君は天国でも美しい』(全12話・Netflix)
  4. ドラマ『トランク』(全8話・Netflix)

映画『We Live in Time この時を生きて』6月6日公開

幸せな日々に突然の変化が訪れるとき、パートナーとの愛が試される

ある日突然、余命わずかだと医師に告げられたとしたら……?

誰にでも起こり得るシチュエーションだからこそ、新進気鋭の一流シェフであり、6歳の娘エラ、最愛のパートナーであるトビアス(アンドリュー・ガーフィールド)と充実した日々を送るアルムート(フローレンス・ピュー)の“選択”に、心を揺さぶられる人が多いのではないでしょうか。

映画 We Live in Time この時を生きて パートナーとして支え合うアルムートとトビアスの写真

余命を宣告された一流シェフで一児の母、アルムート(フローレンス・ピュー)と、パートナーとして葛藤しながらも、彼女の病と真正面から向き合うトビアス(アンドリュー・ガーフィールド)。監督は『ブルックリン』のジョン・クローリー。

数年前に寛解した癌が再発し、医師から難しい状況を説明されたアルムートは、そばに寄り添うトビアスに、「また苦しい治療に耐えるだけの1年間より、最高に楽しくて前向きな半年間を過ごしたい」と言います。動ける状態を保てる治療を受けながら、寿命を全うする。アルムートは再発の可能性を覚悟して生きてきたのかもしれませんが、トビアスは一瞬あふれ出す感情をぐっとこらえるようにして、すぐにアルムートの思いを受け入れる決心をします。

映画は、現在の物語と並行して、二人の出会いから生き方の相違による仲違いを経て、恋に落ち、困難を乗り越えて子どもを授かり、想定外の出産の騒動といった「人生のモニュメント的な瞬間」の数々を振り返ります。

アルムートとトビアスにしてみれば、ただただ一生懸命に日々を生きていただけなのかもしれません。しかし、今の二人の状況が観客にはわかっているからこそ、スクリーンに映し出される瞬間のどれもが輝かしく、まるで奇跡のように感じられて、日常の何気ない会話、ちょっとしたジョークに笑う二人の姿に胸が熱くなるのでした。

人間なら誰もが避けることのできいない死に直面する二人が、幼い子どもとともに、いかにしてその現実と向き合うのか。それが本作のテーマではあるのですが、時間が交錯する作りには、キャリアや夢に向かって邁進する、経済的にも精神的にも自立した30代の女性の恋愛や結婚観、子どもを持つことへの悩みや葛藤がリアルに感じられるものがあります。

映画 We Live in Time この時を生きて 医師の説明を聞くアルムートとトビアスの写真

医師が病状を説明するのを、深刻な面持ちで聞くアルムートとトビアス。色々なことを乗り越えてきた二人が、厳しい現実に直面してもユーモアを忘れない姿に、見ているこちらが励まされる思いになる場面も多い。

映画 We Live in Time この時を生きて 待望の妊娠がわかった瞬間のアルムートとトビアスの写真

現在進行形の物語に挿入される回想シーンで、紆余曲折を経て子どもを持つ決意をし、妊娠が判明した喜びを分かち合うアルムートとトビアス。

経済的にも精神的にも自立した30代の女性が、家庭を築くことへのリアルな葛藤

英国の脚本家でトニー賞にノミネートされた劇作家でもあるニック・ペインは、本作について「30代で恋に落ちると、人は若い頃とはかなり違った決断をするのではないかと考え、そこに興味を引かれた」と語っています。

トビアスと出会った当時のアルムートは、既に自分の生活スタイルが完全にでき上がっています。仕事に邁進し、プライベートの時間はほとんどないけれど、前途洋々。同時に、30年以上生きてきた中で、挫折や喪失感など心の奥深くにしまった傷もまた、彼女のある種の頑固な人格を形成しています。

一方のトビアスは最初の結婚が破綻し、年齢的にも子どもがいる家庭を切望しています。しかし、アルムートとの関係に本気になりそうだと感じて、そのことを口にした途端、アルムートの表情はこわばります。34歳で妊娠・出産までの時間はあまりないといったことを言われて憤然とし、「そういうことは約束できない」「聞かれるのさえ、ふざけんなと思っている」ときっぱり。

それはそうだよなあと、観ている方としても思うのですよね。なんと言っても、シェフとして料理に向き合うアルムートは、最高にかっこよく、輝いているのですから。でも、人生は何が起きるのかわからないもの。アルムートは色々な経験を経て、トビアスと家族を築くことになる。それが彼女にとって、どれほどの幸せをもたらしたのかは言うまでもありません。

しかし、だからこそ、アルムートが人生の最後に成し遂げようとしたこと、トビアスにも隠していた決断には、驚かされると同時に納得できるものがあるのでした。愛する人のパートナーであり、母親であり、一人の人間としてアルムートが最後に選んだ生き方には、様々な意見があると思いますが、現代を生きる女性にとって共感を呼ぶものであり、改めて自分の生き方を見つめ直すきっかけにもなりそうです。

映画 We Live in Time この時を生きて 一流シェフとして働くアルムートの写真

自身が築いてきたキャリアに誇りを持ち、決して妥協しないアルムート。『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』『オッペンハイマー』のフローレンス・ピューの、芯が強くも柔軟性を感じる演技が素晴らしい。

映画 We Live in Time この時を生きて アルムートとトビアス、幼い娘エラの写真

つきあい始めた当初のアルムートとトビアスと、娘エラが誕生して仲よし家族になった、その後の姿の対比に人生は予測できないものだと改めて思わされる。常に受動的に見えて、実は強い人間であることを説得力を持って伝えるアンドリュー・ガーフィールドの演技も秀逸。

『We Live in Time この時を生きて』作品情報

映画 We Live in Time この時を生きて 日本版ポスタービジュアルの写真

『We Live in Time この時を生きて』6月6日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー!

監督:ジョン・クローリー
出演:フローレンス・ピュー、アンドリュー・ガーフィールドほか
© 2024 STUDIOCANAL SAS – CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

『We Live in Time この時を生きて』の公式サイトはこちら

映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』6月13日公開

自分らしく生きることを貫く女性と、本当の自分を隠して生きる男性の共通点とは?

「普通の幸せ」とか「人並みの人生」といった言葉は気軽に使われていますが、ともすると危うさがあると思いませんか? 普通や人並みの定義は個々人で違うもの。誰の何と比較して、自分を普通だとか人並みだと思うのでしょうか。

本作の主人公ジェヒ(キム・ゴウン)は自由奔放でわが道をいくタイプ。一方、大学で知り合ったゲイであることを隠しているフンス(ノ・サンヒョン)は、穏やかで繊細な性格の持ち主です。性格も何もかもが正反対のこの二人が、まさに社会通念として根強くはびこる“普通”という概念になじめないことを共通点として、強い絆で結ばれていきます。

映画 ラブ・イン・ザ・ビッグ・シティ 大学時代のジェヒとフンスの写真

韓国の作家、パク・サンヨンの小説『大都会の愛し方』の一編「ジェヒ」をベースに映画化。自由奔放なジェヒ(キム・ゴウン)とゲイであることを隠して生きるフンス(ノ・サンヒョン)。性格が正反対の二人が、特別な契約を結んで同居することに。

お互いに“世間の常識”に当てはまらないジェヒとフンスは、ひょんなことから外野の声をしりぞけるために、結託して同居生活を始めます。

しっかりと自分の価値観を持ち、青春を謳歌するジェヒに、最初はフンスは戸惑います。しかし、彼女と接するうちに、フンスも自らの殻を打ち破ろうと気持ちを外に向けて、行動に移していきます。全然違うタイプだからこそ、引かれ合うのかもしれませんが、ジェヒとフンスは最高の相棒として、充実した青春時代を過ごします。

しかし、大学を卒業して社会に出ると、人生はままならないということを嫌でも痛感する二人。自由奔放なジェヒにも決まった恋人ができますが、そんな彼女のようすが、どうにも彼女らしくないと感じてフンスは苛立ちます。一方のフンスもまた、心から愛せる相手に出逢いますがゲイであることを公にする気になれず、葛藤します。

“人並み”に結婚をしたいという気持ちもうかがえるようなジェヒと、“人並み”の人生を歩むことができない自分を恥じる気持ちから抜け出せないフンス。この二人の葛藤は、誰もが何かしら自分に重なる部分があるのではないでしょうか。

映画 ラブ・イン・ザ・ビッグ・シティ キム・ゴウンが演じる主人公ジェヒの写真

自分らしく人生を謳歌することで、傷ついてしまうことの多いジェヒ。『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』『ユミの細胞たち』など韓国ドラマでもおなじみのキム・ゴウンが、個性的で人を惹きつける魅力にあふれたジェヒを好演。

映画 ラブ・イン・ザ・ビッグ・シティ ゲイのフンスと彼の恋人スホの写真

ジェヒの影響を受けて、恋愛に冷めた態度を取っていたフンスにも恋人スホが。フンスを好演するのは、『Pachinko パチンコ』で国際的な知名度を得て、本作の演技が高く評価されたノ・サンヒョン(右)。スホ役は『花より男子』で注目を集め、ミュージカル俳優として活躍するチョン・フィ(左)。

"普通"にこだわっているうちは、自分にとっての本当の幸せは遠のいていくのかも

実は、本作の始まりは、どこかの建物の屋上でウェディング姿でタバコを吸っているジェヒのもとに、フンスが現れるところから始まります。ジェヒが誰かと結婚するらしいことは最初に明かされているのですよね。

映画は、都会に生きる二人の生きづらさを抱えた若者たちの友情、絆を題材にしています。しかし、主人公のジェヒに注目してみると、学生時代は自信を持って周囲の誤解を恐れず自分らしく生きてきたのに、社会に出るとそうしたもろもろを抑えて"普通"であろうとし(もちろん学生時代とまったく同じではいられないでしょうが)、ともすればジェヒでさえ、無意識に恋人の男性に自分を合わせようとしてしまうことも。

以前のジェヒから比べれば驚いてしまうような変化も、等身大のアラサー女性としては“あるある”という感じでしょうか。しかし、どこまで行ってもジェヒはジェヒなのです。そのことを一番わかっているのはフンスであり、そうした存在があるからこそジェヒ自身も自分を見失わずに受け入れることができたのでしょう。翻って、それはフンスにも言えることだと思います。

いずれにせよ、“普通”や“人並み”であることにこだわっているうちは、本当の幸せは遠のいていくのかも。ジェヒのように年齢を重ねて“ありのままの自分”を受け入れたとき、気づかないうちに新しい未来の扉は開かれているのかもしれません。

映画 ラブ・イン・ザ・ビッグ・シティ 仲良く迎え酒を飲むジェヒとフンスの写真

仲よく迎え酒を飲むジェヒとフンス。どれだけ激しいケンカをしようとも、最後に頼れるのはお互いしかいない二人の絆は見ていて羨ましくなる。

映画 ラブ・イン・ザ・ビッグ・シティ 社会に出たフンスの写真

兵役を経てフンスは、自らの仕事や恋愛を含めて人生に行き詰まったとき、それぞれの道を歩むジェヒとの絆が試される事態に直面する。

『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』作品情報

映画 ラブ・イン・ザ・ビッグ・シティ 日本版ポスタービジュアルの写真

『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』6月13日(金)より全国ロードショー!

監督:イ・オニ
原作:パク・サンヨン著『大都会の愛し方』より「ジェヒ」

出演:キム・ゴウン、ノ・サンヒョンほか
配給:日活/KDDI
ⓒ 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.

『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』の公式サイトはこちら

ドラマ『君は天国でも美しい』(全12話・Netflix)

寿命を全うして天国で再会したおしどり夫婦。でも、年齢差は50歳……!?

コミカルなのに毎回のように泣けて、荒唐無稽なストーリーなのに人生にとって大切なメッセージがぎっしりと詰まっている。最愛の夫ナクジュンの死を看取り、自らも天寿を全うした妻ヘスクが、天国で夫に再会する本作も、そうした韓国ドラマの特徴を備えたファンタジー・ロマンスです。

ドラマ 君は天国でも美しい 天国で再会した80代のヘスクと30代の夫ナクジュンの写真

80歳で亡くなったイ・ヘスク(キム・ヘジャ)が、天国で30代に若返った夫ナクジュン(ソン・ソック)と再会する、笑いと涙にあふれたファンタジー・ロマンス。

若くして寝たきりになった夫ナクジュン(ソン・ソック)を介護しながら、60年もの長きに渡り、金貸し業で家計を支えてきたヘスク(キム・ヘジャ)。愛猫ソニャが亡くなり、最愛の夫がこの世を去り、ついに自らも旅立ちます。

天国へ行けることになったヘスクは、「何歳の姿で天国で暮らしたいか」と聞かれて「20歳と25歳の時が特に絶好調だった」と笑顔を見せます。しかし、すぐに「一緒に暮らしていると、どんどんきれいに見えるのかな。今の君が、どんな時より一番きれいだ」と言ってくれた生前の夫の言葉を思い出し、迷わず80歳を選びます。ところが、再会した夫は30代の姿でした。

当然と言えばそうなのですが、天国ではみんな若く、高齢者の姿はほぼありません。ヘスクはすぐに後悔しますが、夫の言葉を大切に信じてきたその気持ちが、なんともいじらしく純粋ですよね。ナクジュンは最初は驚いたものの、ヘスクが生前口にしていた憧れの家を用意していたり、彼女の夢をすべて叶えてあげようと一生懸命な姿に、改めてヘスクは夫への愛を感じるのでした。

ヘスク役の大ベテラン、キム・ヘジャの味わい深い演技はもちろんのこと、そんな彼女を見つめるナクジュン役のソン・ソックのまなざしの輝きには、今でも妻への愛や思いやりにあふれていて、ヘスクのようにトキメキを感じる人も多いのでは。と、ここまではほのぼのとした雰囲気でいい話なのですが、これでめでたしめでたしとはもちろんいきません。

二人の年齢差は、天国でも異質で障壁になります。体力的なものや容姿、年齢によるある種の差別的な視線など、ルッキズムやエイジズムなどのテーマもさりげなく盛り込みながら、決して褒められたことばかりではないヘスクの人生を振り返ります。母親とのつらく悲しいエピソードやナクジュンとの出会いから結婚生活のあれやこれやを追体験し、本音でぶつかり合う二人。

さらには天国だけでなく地獄も登場し、シンプルに「よりよく生きよう」と視聴者が思いたくなるようなメッセージを、これでもかとあの手この手で伝えます。

結局のところ、結婚も、夫婦としてどういう日々を送るのかも、一歩引いてみれば「どう生きるのか」という問題なのですよね。そして生きていく上で大事なのは、人と人(ペットなどのあらゆる生き物も含む)との縁であるという考え方が、本作の根底にはあります。このような前世からの縁や因果応報、天国と地獄といった発想には好き嫌いはあると思いますが、娯楽として楽しみつつ、ちょっと大きな視野で夫婦の縁というものを考えてみるのもいいかもしれません。

『君は天国でも美しい』作品情報

Netflixシリーズ『君は天国でも美しい』独占配信中!

制作:キム・ソギュン、イ・ナムギュ、キム・スジン
出演:キム・ヘジャ、ソン・ソック、ハン・ジミン、イ・ジョウン、チョン・ホジン、リュ・ドックァンほか

『君は天国でも美しい』の視聴はこちら

ドラマ『トランク』(全8話・Netflix)

心にトラウマを抱えた男女が、1年間の契約結婚をし"夫婦"として暮らすことに

夫婦って、なんだろう? 改めて、そう問われたら、明確に答えられる人はどれぐらいいるでしょうか。もっとも、夫婦のあり方は夫婦の数だけあっていいと思うのですが。

『浪漫ドクターキム・サブ』のソ・ヒョンジンと『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』のコン・ユが1年間の契約結婚せ“夫婦”を演じる本作は、サスペンス要素を交えながら、一風変わった作風で夫婦とは、愛とは何かを問いかける大人の恋愛ドラマです。

ドラマ トランク 契約結婚を結んだインジとジョンウォンの写真

契約結婚仲介業の社員であるノ・インジ(ソ・ヒョンジン)と音楽プロデューサーのハン・ジョンウォン(コン・ユ)。1年間の契約結婚をしている二人は、ともにトラウマを抱えている。

音楽プロデューサーのジョンウォン(コン・ユ)は、父親の暴力のトラウマを抱えており睡眠障害を患っています。離婚した元妻ソヨン(チョン・ユンハ)との復縁を条件に、契約結婚仲介業の社員インジ(ソ・ヒョンジン)と1年間の契約結婚をし、一緒に暮らすことに。

元妻ソヨンがなかなか強烈で、元夫がまだ自分への未練があることを知りながら、見知らぬ女性と夫婦として暮らせといい、しかもそのようすを豪邸に仕掛けたカメラで観察しているというサディストぶり。徹底してジョンウォンを痛めつけているように見えるのですが、実際にはソヨンにもまたジョンウォンへの凄まじい執着があることがわかっていきます。

果たして、より強く相手に執着しているのはどちらなのか? 愛し合って結婚したはずなのに、愛よりも憎しみが勝っている現状は痛ましく、どうしてここまでこじれてしまったのかと思わずにはいられません。

一方のインジも、失われた結婚生活に執着があること、また人には言えない暗い秘密を抱えていることが少しずつ明らかになっていきます。そんな彼女が契約結婚仲介業で働いているというのも、何か皮肉めいたものを感じますが、どこかで自分をいじめているようにも感じられます。

そんなジョンウォンとインジが、最初は一定の距離を保ち他人行儀だったのに、次第に距離を縮めていく過程には、まるで初恋のような初々しさも。演じるソ・ヒョンジンとコン・ユの透明感のある演技とケミストリーには、はかないロマンがあります。

夫婦として長く一緒の時間を過ごしていると、愛情の感覚も距離感も、何かがズレてきてしまうこともあるでしょう。夫婦だからこそ、強い言葉で傷つけ合ったり、逆に口に出せない苦悩もあるはず。一旦距離を置くことで冷静になれるのならいいけれど、決定的に傷つけ合ってしまうのなら、一緒にいなければいけない理由はなんでしょうか?

相手への執着もまた愛ゆえと言えるでしょう。しかし、誰しもが不幸になるために夫婦になるわけではないですよね。自分がどんな夫婦でありたいか、あるいは婚姻関係を結ぶことが本当に必要なのかを含めて、冷静に自分に問い直した結果、手放した方がいいものがあるなら、思い切った決断も人生には必要なのでしょう。

こじれにこじれた夫婦の愛憎と、予期せぬ純愛ストーリーが交錯する

ドラマ トランク 契約結婚で夫婦として暮らすインジとジョンウォンの写真

お互いに言葉が少なく、もの静かな印象のインジとジョンウォン。相手のようすをそっとうかがいながら、どこかで運命共同体でもあるかのように、一緒にいると安心感があるように見える。

ドラマ トランク 元妻ソヨンと元夫ジョンウォンの写真

最初は元夫ジョンウォンをいたぶって楽しんでいたように見えたソヨン。しかし、ジョンウォンとインジの距離が近づいていくにつれて、苛立ちをあらわにしていく。ソヨンにもまた、女性としてジョンウォンには言えなかった重大な秘密を抱えていた。

ドラマ トランク ついにキスをするインジとジョンウォンの写真

それぞれに囚われている愛の呪縛から、少しずつ自由になりかけているジョンウォンとインジ。多くは語らずとも、二人はお互いがなくてはならない存在であると感じるが、大人の恋愛はそう簡単にはいかない。

ドラマ トランク トランクを持って家を出ていくインジとジョンウォンの写真

男女の恋愛と並行して描かれる、湖岸に打ち上げられた謎のトランク(インジのものと判明する)と死体をめぐる事件の真相もまた男女の愛憎に関係あるらしい。果たして、インジとジョンウォンはトラウマを乗り越え、今度こそ安らぎを与えてくれる愛を得ることができるのか?

『トランク』作品情報

Netflixシリーズ『トランク』独占配信中!

制作:キム・ギュテ、パク・ウニョン
出演:ソ・ヒョンジン、コン・ユ、チョン・ユンハ、チョ・イゴン、キム・ドンウォンほか

『トランク』の視聴はこちら
【今祥枝の考える映画】いま大人が見たい映画をまとめてチェック!

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