韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する連載コラム。
日々の仕事に全力投球しながらも、心に大きな穴を抱えた男女が、偶然の出会いをきっかけに互いを癒やし合う過程を描いたロマンティック・ラブコメ『本日も完売しました』を紹介します。
CONTENTS
1.『本日も完売しました』作品概要
『本日も完売しました』
全12話
出演:アン・ヒョソプ、チェ・ウォンビン、キム・ボム、コ・ドゥシムほか
Netflixシリーズ「本日も完売しました」独占配信中
【あらすじ】
仕事一筋で、完売にこだわる通販番組の人気MCのタム・イェジン(チェ・ウォンビン)。彼女が売り上げトップに返り咲くべく訪れた田舎町で出会ったのは、三つの仕事を掛け持ちする謎多き農夫のマシュー・リー(アン・ヒョソプ)。自分自身を顧みずに走り続けてきた二人が、互いを癒やし、本当の自分と向き合う姿を描く。
2.耕運機に乗った“ロマンス職人”降臨
今回は、通販番組の大人気MCと農家が出会い、互いに影響し合いながらも、癒しを与えていく姿を描いたロマンチック・ラブコメディを紹介します。
キャリアのために化粧品会社と取引をしようと奔走する中で、商品の原料の作っている田舎町を訪れるタム・イェジンを『御史<オサ>とジョイ』『こんなに親密な裏切り者』のチェ・ウォンビンが。また、ミステリアスだけど世話焼きな農家のマシュー・リーを『社内お見合い』『いつかの君に』『ホン・チョンギ』のアン・ヒョソプが演じています。
アン・ヒョソプといえば都会的なイケメンのイメージ。しかし、本作ではトラクターを駆る農夫を演じているのに“ロマンス職人”の呼び名に恥じない麗しさです!
そして、レトワールの専務ソ・エリックには『九尾狐伝』『ロースクール』のキム・ボム、通販番組PDには『未知のソウル』『海街チャチャチャ』のパク・イェヨン、マシューの同僚には『素晴らしき新世界』『ヴィンチェンツォ』のユン・ビョンヒが務めています。
それでは見どころを紹介しますね!
ここからネタバレあります!

後ろ姿はタム・イェジン(チェ・ウォンビン)、その隣はマシュー・リー(アン・ヒョソプ)
ソウルの通販番組MCイェジンは、緻密な商品研究とトークの巧さで好成績をあげているにもかかわらず、彼女が扱わない化粧品のMCに看板番組の枠を奪われてしまいます。その座を取り戻す条件は、フランスの化粧品ブランド「レトワール」との契約。そのためには原料確保が必須……ということで、田舎のトクプン村を訪ね、原料の秘密を握る農夫マシューに接近するのですが……。
このマシューこそ、メチュリ(韓国語で、ウズラのこと)の愛称で村人たちから好かれており、農業(キノコ栽培)、研究開発、事業を手掛ける人物でイェジンが探している相手。イェジンはメチュリに、あの手この手で取り入ろうとするのですが……とにもかくにもクセが強い! 圧をかけられるメチュリだけでなく、観ている側もその強引さ、鋼のメンタルに辟易しちゃうんですが、物語が進むにつれて、イェジンの隠していた弱さが見え始めます。
MCという華やかな職業につきながらも、家に帰れば商品が山積み。恋人にはフラれ、家族関係も、イェジン自身のメンタルもワケありで満身創痍……。メチュリが彼女の抱えている事情を知るにつれ、最初は冷たかった彼の眼差しが、徐々に心配や労わりや優しさといったものを宿していく様子は見ごたえがあります。また、彼女を心配してあれこれと行動するのですが、その献身的な姿は胸キュン必至です!
3.田舎のスローなご近所ライフに癒される

二人の前途には暗雲が立ち込めている……
スローライフと言いますか、トクプン村の風景とそこに暮らす人々の暮らしぶりも、本作の魅力のひとつです。
先ほども書きましたが、農業、研究開発、事業を一手に引き受けている、まさにシゴデキのメチュリ。しかし、村では「便利屋かな?」と思うほど、村の人にいいように使われているんですが、それはメチュリを信頼しているからこそでした。
牛の出産を手伝ったり、歌番組好きなお年寄りのために集会所のテレビを直したり、自分のトラクターにご近所さんを乗せてあげたりと、ブツブツ言いながらも手伝ってあげるメチュリ。そして村人たちもお願いだけするのではなく、自分の畑で採れたトウモロコシをあげたり、おかずを分けてあげたり、キノコの収穫を手伝ってあげたりするなど、持ちつ持たれつのよい関係なのでした。
たま~にうざったいときもあるけれど、それはメチュリを心配してのこと。
また、村で困っている人がいるときは、相手の事情を組んで助け合う人情味あふれるトクプン村のご近所ライフに癒されます。
また、人だけでなく、「噛みません」と書かれた小屋に住む村の愛犬チャンシクは、メチュリのランニングに勝手についてくるほど懐いているのも、またよくて。イケメンとワンコがじゃれあう農道散歩、思わず頬が緩みます。
そんなトクプン村での生活の様子を見ているだけでも、忙しい日常で疲弊気味の現代人のストレスを解消してくれるはず。なお、村のシーンは、ソウルから車で二時間半ほど離れた忠清北道・槐山(クェサン)で撮影されたとか。今夏、韓国への旅行を考えている人は、地方旅行も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
4.“無言の気遣い”が刺さる
本作のハイライトは、やはり主演のアン・ヒョソプです!
誠実まじめなメチュリは、ぶっきらぼうに見えて、誰に対しても礼儀正しい好青年。タクシー運転手には敬語で話すし、イェジンに対しても“さん”づけで呼びます。部屋も整理整頓され、料理も完璧。物語が進むほど、メチュリの知性と芯の強さがにじみ出てきて、どんどんハマってしまうキャラクター。
そのうえ、イェジンが夢遊病でケガをしないよう、無言の気遣いをするんですよ。何も言わずに家具のカドにプロテクターを取り付け、イェジンがぶつかりそうなものは全部あらかじめ片づけておく。そのうえ不眠症で夢遊病の症状が出た彼女を猛ダッシュで助けにいくとか、イェジンの父親も真っ青の包容力にキュン♡
そのうえ、首に麦わら帽子を被ってトラクターを運転する姿、アジュンマエプロンを着てキムチ漬けを手伝う姿、キノコをお世話する姿など、激レアすぎる姿が満載! イケメンと農村のケミの良さはわかっていたつもりですが、今回はケタ違いの破壊力でした。イケメンってトラクターに乗っていてもイケメンなんですね……。むしろ「働く車を動かしている」ことでイケメン度が高まっている気がします。
これまではわりと御曹司や医者といった都会的なイメージが強かっただけに、農村のアン・ヒョソプの新鮮さはクセになりそう!
なお、きのこ農場でのダイナマイト・キス(←言いたかっただけです笑)の中毒性もハンパないので、視聴の際にはお気をつけください。
そして、本作の最近の韓国ドラマらしからぬトクプン村基準のスロー展開。お話も恋模様も、まったり進みますので、ゆったりした気持ちで観てくださいね。

トウモロコシ畑を背にしたアン・ヒョソプ
5.本作から伝わる“ていねいに生きる”ことの大切さ
詳しくは本編を観ていただきたいのですが、主人公の二人が共通して抱えているのが睡眠障害です。韓国では“熟睡のために使われる消費”を意味する「Sleeponomic(Sleep + Economics)」という言葉まで生まれているほど、睡眠障害は深刻な社会問題になっているんですね……。
キャリアへの重圧に追われたヒロインが重い不眠症を抱えているという設定は、現代韓国社会を象徴したものだったわけです。
徹底した体重管理、食事は栄養摂取のためのものという意識、睡眠薬の過剰摂取で身も心もボロボロだったイェジンが、野良仕事をしたり、採れたての野菜で作った食事を食べる。そうして、クラシック音楽を聴き、ラベンダーの香りに包まれて、ぐっすり眠れたと気づいたシーンは印象的でした。やはり五感を整えることで、人は癒されるのだなと。音楽、ていねいな食事、香り、そのすべてが体と心のビタミンになるのだと、あらためて。
ストレスフルな時代だからこそ、ていねいに生きる。その大切さを、本作は伝えてくれているように感じました。

アジュンマスタイルもお似合いのチェ・ウォンビン






















































































