当サイトでは当社の提携先等がお客様のニーズ等について調査・分析したり、お客様にお勧めの広告を表示する目的で Cookieを利用する場合があります。詳しくはこちら

  1. BAILA TOP
  2. LIFESTYLE
  3. エンタメ・インタビュー
  4. 令和のホラーブーム到来!『近畿地方のある…

令和のホラーブーム到来! 『近畿地方のある場所について』『8番出口』ほかJホラー4選【今祥枝の考える映画vol.40】

長年にわたり映画・海外ドラマの最先端を取材&執筆している今祥枝(いま・さちえ)さん。ハリウッドの大作から最新のドラマシリーズまで、劇場公開・配信を問わず、おすすめの作品を月1回ご紹介します。第40回は、小説やゲーム、YouTubeなど様々な媒体からヒット作が生まれている令和のJホラーについて最新映画を通して解説します!

映画 8番出口 主演の二宮和也の写真

2023年にインディーゲームクリエイター、KOTAKE CREATEが開発・リリースし、世界的なブームを巻き起こしたゲーム「8番出口」の実写映画化。主演は二宮和也。

読者の皆さま、こんにちは。

最新のエンターテインメント作品を、その時々のテーマに合わせてゆるりと読み解いていく、この連載。第40回は、NHK「あさイチ」でもホラーブームの特集が組まれるなどの盛り上がりを見せているJホラー映画、新作映画『8番出口』『近畿地方のある場所について』『事故物件ゾク 恐い間取り』と配信中の『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』をピックアップ! 

いつの時代にもホラーブームは定期的にやってくるけれど、近年は人気ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』からアリ・アスター監督作品まで、世界的に10代20代を中心に女性にもホラー的な要素が支持を得ています。そんな中、令和のJホラーの特徴といわれているのがフェイクドキュメンタリー形式や日常に潜む怖さを追求する作品。ホラーの切り口や恐怖表現も多様化する中で、人々を引きつける“怖い物語”の魅力について考えてみたいと思います。

CONTENTS

  1. 『8番出口』8月29日公開
  2. 『近畿地方のある場所について』8月8日公開
  3. 『事故物件ゾク 恐い間取り』公開中
  4. 『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』配信中

『8番出口』8月29日公開

シュールでスタイリッシュな映像世界に引き込まれる! 無限ループゲームの映画化

世界的にヒットした無限ループゲームを映画化した『8番出口』。

ラヴェルの「ボレロ」が流れるシュールでスタイリッシュな映像世界にぐっと引き込まれる冒頭から、誰もが身に覚えのあるような日常の延長線上にある異世界への没入感に圧倒されます。

映画 8番出口 繰り返し登場する歩く男を演じる河内大和の写真

主人公の“迷う男”が何度もすれ違う“歩く男”とは、何者なのか? 演じる河内大和の笑顔のインパクトは絶大!

二宮和也が演じる“迷う男”は、地下通路を移動しながら雑踏の中でかかってきた電話に出ると電波が悪く時々途切れてしまいます。どこか心ここにあらずの彼が、ふと気づくと地下通路をぐるぐると回っている。

あれ?と思いながら、出口8の矢印に従い歩いているのに、なかなか地上に出ることができず、さらに不気味に笑う“歩く男(河内大和)”と何度もすれ違い、何やら異様な事態に陥っていることを認識します。このループから抜け出すためには「ご案内 Information」に書いてある「異変を見逃さないこと」から始まる4つのルールに従い、地上への脱出を試みる「間違い探しゲーム」が幕を開けるのでした。

多くの人にとって、東京をはじめとする都市の迷宮のように入り組んだ地下通路で、矢印通りに進んでもなかなか目的地にたどり着けない徒労感はリアルに感じられるのではないでしょうか。演じる二宮の「日々の生活に疲れた感」を体現する演技も相まって、臨場感はたっぷり。具体的に書くことは避けねばなりませんが、特に東京在住の人にとっては身近に感じられるものがあるでしょう。

ゲームを1本の映画にすることに懐疑的な人もいると思います。でも、観客も「間違い探しゲーム」に参加しながら、“迷う男”の心象風景らしきものを反映したドラマの深読みに頭を働かせる95分が、あっという間! 真っ白いタイルの明るさとは裏腹に、不条理かつ悪夢のような体験は『世にも奇妙な物語』や都市伝説的な面白さもありつつ、このジャンルにおけるニューウェーブといえるかもしれません。

映画 8番出口 繰り返し登場する歩く男を演じる河内大和の写真

ネタバレ厳禁映画の本作だが、監督と共同脚本を務めた川村元気による書き下ろしの小説版『8番出口』を先に読んでしまう人も続出中。

映画 8番出口 小松菜奈の写真

基本的に地下通路を舞台にした話だが、深読みしたくなるドラマの断片が挿入されるのが本作の面白いところ。小松菜奈が演じるのは、主人公にとって、あるいは本作において、どんな意味を持つキャラクターなのか?

『8番出口』作品情報

映画 8番出口 ポスタービジュアルの写真

『8番出口』8月29日(金)より全国ロードショー!
*舞台挨拶付き[8/8 IMAX先行上映]、8劇場限定!舞台挨拶生中継付き[8/8 IMAX先行上映]を開催

原作:KOTAKE CREATE「8番出口」
監督:川村元気
脚本:平瀬謙太朗、川村元気
出演:二宮和也、河内大和、浅沼成、花瀬琴音、小松菜奈ほか
配給:東宝
© 2025 映画「8番出口」製作委員会

『8番出口』の公式サイトはこちら

『近畿地方のある場所について』8月8日公開

心霊、呪い、不気味な伝承……日本ならではの"怖さ"がぎっしり詰まったJホラーの王道

Web小説サイト、カクヨムに投稿され、後に単行本化されてベストセラーになったホラー小説の映画化『近畿地方のある場所について』。このジャンルの名手・白石晃士監督が「フェイクドキュメンタリーと劇映画の融合」と称するように、リアリティとフェイクの境界線の曖昧さが魅力でありつつ、劇映画ならではのダイナミズムも兼ね備えた堂々たる令和のJホラーです。

今回紹介する4本の中では、おそらく一般的に一番「怖い」と感じるのが本作ではないでしょうか。

映画 近畿地方のある場所について 菅野美穂と赤楚衛二の写真

背筋による同名ホラー小説を、『貞子VS伽椰子』『サユリ』の白石晃士監督が映画化。オカルトライターの瀬野千紘(菅野美穂)とオカルト雑誌の編集者・小沢悠生(赤楚衛二)が、想像を超えた恐怖に巻き込まれていく。

オカルト雑誌の編集者が突如消息を絶ち、彼が手がけていた特集を同僚の編集部員・小沢(赤楚衛二)と女性記者・千紘(菅野美穂)が引き継ぐことに。

残されていたビデオテープの画像には、幼女の失踪や中学生の集団ヒステリー、YouTuberの心霊スポットの動画配信騒動から子供たちの奇妙な遊びまで、年代も場所も異なる過去の未解決事件や怪現象が写っていました。色々と調べていくうちに、小沢と千紘の身のまわりにも不気味なことが起こり始め、さらにすべての謎は、 "近畿地方のある場所"につながっていたことがわかります。

呪いのビデオ的なざらついた画像のリアリティに始まり、子どもが描いたらしき不気味な絵に鳥居や祠、古びた日本人形から地方に伝わる奇妙な昔話、さらには気がつくとそこにいる赤い服を着た女性や不自然に仰向けに首が反った少年など、これぞJホラーというべき要素がてんこ盛り。怖いもの見たさ気分を十分に満たしてくれるのですが、クライマックスではこれぞ白石節!という描写が炸裂して震えます。

「本物らしく見えて作り物である」からこそ、フェイクドキュメンタリーは安心して楽しめるというもの。そこに映画ならではのスケールの大きさが加わりバージョンアップした王道感が、さすがと思わせる力作です。

映画 近畿地方のある場所について 女性記者・千紘役の菅野美穂の写真

SNSで行方不明になった編集者の情報を求め女性記者の千紘。演じる菅野美穂は、撮影中はお清めの塩を持ち歩いていたそう。

映画 近畿地方のある場所について オカルト雑誌の編集者・小沢を演じる赤楚衛二の写真

怪現象や未解決事件を調べていくうちに、どこかでやばいと感じながらも後戻りすることができない編集者の小沢。自らも取り憑かれていく恐怖を赤楚衛二が体当たりで熱演!

映画 近畿地方のある場所について 怪現象があったとされる鳥居の写真

心霊現象やネット怪談、都市伝説、呪いから“村もの”の要素まで、海外作品にはない日本独特の“怖さ”が本作の醍醐味。エンディングで流れる椎名林檎の主題歌「白日のもと」のインパクトも後を引く。

『近畿地方のある場所について』作品情報

映画 近畿地方のある場所について ポスタービジュアルの写真

『近畿地方のある場所について』8月8日(金)より全国ロードショー!

原作:背筋「近畿地方のある場所について」(KADOKAWA)
出演:菅野美穂、赤楚衛二ほか
監督:白石晃士
脚本:大石哲也 白石晃士
脚本協力:背筋
配給:ワーナー・ブラザース映画

©2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

『近畿地方のある場所について』の公式サイトはこちら

『事故物件ゾク 恐い間取り』公開中

霊だって優しい人が好き⁉︎ "恐すぎない”日常系ホラーが令和のトレンド

もしかしたら、自分も知らずに「事故物件」に住んでいるのかも……⁉︎ そんな極めて身近な題材で不安をかき立てるのが、事故物件に住み続けるお笑い芸人・松原タニシによるノンフィクション書籍「事故物件怪談 恐い間取り」シリーズです。

本書に基づき、2020年に亀梨和也を主演に迎えて映画化した『事故物件 恐い間取り』は、空前の大ヒットを記録しました。公開中の第2弾『事故物件ゾク 恐い間取り』は恐怖描写が増えていますが、主演の渡辺翔太のやさしげで穏やかな佇まいと陽性のキャラクターがよく効いており、やはりいい意味で「安心して楽しめる」ところが令和の新しいトレンドでしょう。

映画 事故物件ゾク 怖い間取り 主演の渡辺翔太の写真

ひょんなことから「事故物件住みますタレント」として活動を始めることになる桑田ヤヒロ。アイドルグループ「Snow Man」の渡辺翔太が好演。

令和のホラーブームを象徴する『変な家』。その先駆けとなったのが、『事故物件 恐い間取り』だと思います。

続編となる本作の主人公・桑田ヤヒロ(渡辺翔太)は、タレントになる夢を追って福岡から上京し、TV番組やSNSのためのネタ欲しさに事故物件に住むことに。「必ず憑りつかれる部屋」「いわくつきの古い旅館」「降霊するシェアハウス」と、仕事は得られたもののヤバい物件を転々としながら、それぞれの物件の怪現象の謎に迫ります。

ショートストーリーを積み重ねながら、根底に1本筋の通った仕掛けが終盤で明かされる展開。怪現象の描写にはゾッとする気味の悪さがありつつ、"優しく人一倍憑りつかれやすい体質"を持つヤヒロの人柄が絶妙に癒し系。だからこそ、劇中で語られる「霊だって優しい人が好き」というパワーフレーズにも納得してしまうのですが、よく考えたらそれってどうなんでしょうね?

いやホラーなんだから怖くてなんぼでしょうという意見もわかります。もちろん怖いは怖いんですよ。でも、デートや友達同士で観に行くにはほどよいレベルとでも言いましょうか。トレンドの日常系ホラー代表として、気軽にトライしてみてはいかでしょうか。

映画 事故物件ゾク 怖い間取り タレント志望のヤヒロが訪れた芸能事務所社長・藤吉との写真

上京したヤヒロが紹介されて訪れた芸能事務所の社長・藤吉清(吉田鋼太郎)は、いかにもうさんくさい業界人っぽさがありながら憎めないところも。ホラーではあるけれど、ヤヒロと藤吉のコミカルなやりとりが息抜きに⁉︎

映画 事故物件ゾク 怖い間取り 主人公のヤヒロと知り合う女優の春原花鈴の写真

エキストラの仕事が入ったヤヒロは撮影現場で可愛いらしい春原花鈴(畑芽育)と知り合い、心を通わせていく。二人のシーンは、ホラー映画とは思えないさわやかさも。

映画 事故物件ゾク 怖い間取り いわくつきの旅館で怪現象に見舞われるヤヒロの写真

心霊番組のレポーターの仕事を得たヤヒロ。ロケで訪れた栃木の古い旅館で大きな物音や旅館の主人の奇妙な笑い声に音声トラブルと、怪奇現象に見舞われる。

『事故物件ゾク 恐い間取り』作品情報

映画 事故物件ゾク 怖い間取り ポスタービジュアルの写真

『事故物件ゾク 恐い間取り』絶賛上映中!

原作:松原タニシ「事故物件怪談 恐い間取り」シリーズ(二見書房)
監督:中田秀夫
出演:渡辺翔太(Snow Man) 畑芽育 吉田鋼太郎ほか
企画・配給:松竹
©️ 2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会

『事故物件ゾク 怖い間取り』の公式サイトはこちら

『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』配信中

観客を「考察」の迷宮に誘う、モキュメンタリー式の新感覚ホラー

2022年「第2回日本ホラー映画大賞」(主催:KADOKAWA)で大賞を受賞した、近藤亮太監督の短編映画『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』を、近藤監督が自ら長編映画化。2025年1月に公開されると口コミで評判が広がり、様々な考察も盛り上がった新たな時代を思わせるJホラーです。

映画 ミッシング・チャイルド・ビデオテープ トラウマを抱える主人公・敬太役の杉田雷麟の写真

幼い頃のトラウマを抱えた敬太を演じるのは、『逃走』『プロミスト・ランド』の杉田雷麟。『呪怨』シリーズの清水崇が総合プロデュースを務めている。

幼い頃、一緒にかくれんぼをして遊んでいた弟・日向が失踪してしまい、罪悪感を持つ敬太(杉田雷麟)は、現在は行方不明者を捜すボランティア活動をしています。そんなある日、日向がいなくなる瞬間が映っている古いビデオテープが、母親から送られてくるのでした。

同居人で霊感の強い天野司(平井亜門)は敬太に深入りしないように忠告しますが、同じ頃、過去の敬太の記事を取材していた記者の久住美琴(森田想)が訪ねてくるなど、3人は何かに呼ばれるかのように日向の失踪事件の真相を求めて動き始めます。

地方の田舎町に漂う奇妙な空気感や山にまつわる不気味な言い伝え、ざらりとした質感に禍々しさのあるビデオテープの映像など、Jホラーのお約束アイテムがそろった感のある本作は『近畿地方のある場所について』に共通するものが少なくないかもしれません。

しかし本作はモキュメンタリー色が強く、ダイレクトな恐怖描写はほとんどないものの、いかにもありそうな日常の中にある違和感が終始落ち着かない気持ちにさせます。映画が終わってみれば、目に見えていた現実は本当に「見えていた通りだったのか?」など、あれこれ疑問が浮かぶ考察系の楽しさもまた本作の醍醐味でしょう。

ドラマ ミッシング・チャイルド・ビデオテープ 霊感の強い主人公の友人・司役の平井亜門の写真

霊感の強い敬太の同居人・司は、真相を求める敬太にどのような影響を与えるのか? 司を演じるのは、『アルプススタンドのはしの方』の平井亜門。

ドラマ ミッシング・チャイルド・ビデオテープ 霊感の強い司役の平井亜門と記者・美琴役の森田想の写真

敬太を追って山に入る司と記者の美琴(森田想)。二人が目撃する敬太の弟の失踪事件の"真相"とは……?

『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』作品情報

映画 ミッシング・チャイルド・ビデオテープ キービジュアルの写真

『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』各配信サービスにて配信中!

総合プロデユーサー:清水崇
監督:近藤亮太
脚本:金子鈴幸
出演:杉田雷麟、平井亜門、森田想、藤井隆ほか
配給:KADOKAWA
©︎2024「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」製作委員会

『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』の公式サイトはこちら
【今祥枝の考える映画】いま大人が見たい映画をまとめてチェック!

Feature特集

Feature特集

Rankingランキング

  • ALL
  • FASHION
  • BEAUTY
  • LIFESTYLE
  • EDITOR'S PICK